早乙女君達は無事なのかと考えていたそのとき、獅子咆哮弾の闘気が吹き荒れ、鳳凰の石像の首に向かって早乙女君の身体が激突し、石像の首を叩き折った。
「糸色、その龍の頭の杖を曲げてくれえ!」
その言葉に私はミシミシと軋む身体を無理やり起こし、早乙女君の言葉を信じ、蛮竜を力任せに放り投げるも鳳凰の石像によって投擲は失敗した。
「切君!」
「帯刀君、ごめん…勝てなかった」
私の事を抱き上げる帯刀君に謝り、ひび割れる卵の奥に感じる気配に悪寒が走る。帯刀君も気付いたのか、私を抱き締めたまま走り出す。
帯刀君の手が痛いほど身体に食い込み、焦っていることだけが分かる。だけど、まだあかねさんの敵を取っていない。絶対にぶっ殺してやる。
「今は逃げることを優先してくれ」
「……足手纏いだから?」
「そうだ。衰弱した君では勝てない!」
その言葉に歯噛みし、悔しさを覚える。
私の強さを知っている帯刀君だからこそ私の弱った身体についても知っているということになる。だけど、それでも逃げたくない。
あかねさんのためにアイツを倒す。
「それに、あかね君はまだ生きている!あの竜の首を砕けば助かるのだ!!」
「え?」
「だから自分を責めるなッ」
早乙女君達の待つ場所に辿り着き、私は両腕の使えない早乙女君に気付き、彼の手に牙を突き立て、謎の結晶を噛み砕き、彼の胸元に収まったあかねさんに気付く。
こんなに小さくなってしまうなんて。
ショックを受けながらサフランを見据える。
完全体に成り果てたサフランの纏う気配に深呼吸し、彼の足元に転がっている蛮竜を引き寄せる瞬間、回転するように念じ、サフランを攻撃する。
今の私に出来る最大限の攻撃だ。
「猪口才な真似をする」
「仕返しは大事かな」
そう言いながら私は帯刀君に抱っこされたまま移動し、両腕の使える早乙女君に後を任せることになった。早乙女君、絶対にあかねさんを助けてね。
もしも、彼女を諦めたら私が殺してやる。
「帯刀君、響君達と離れててくれる?」
「何を言っている!君もくるんだ!」
「大丈夫」
にっこりと微笑みを浮かべ、立つ。
ゆっくりと蛮竜を握り締めて、全身を包み込む雷撃の痛みを堪え、早乙女君とあかねさんのために、あの龍の石像の首をへし折る。
おそらく、使えるのは一度だけ────。
蛮竜の奥義。
大鉾の矛先を天に突き立て、螺旋を描く。
雷雲よ、私に力を貸して!
「雷竜閃ッ!!!」
蛮竜は雷轟を轟かせ、円を描き、龍の首を断つ。
これで、あかねさんは助かる……!