句君と小鎌さんが私の事を怪しんでいる。
本条流の技を私が使った事で何かしら警戒しているのは分かるけど。怪しみながら私の作ったご飯を食べるのは危ないから止めた方がいい。
そもそも本条流の技は早乙女君と句君の戦っているときに見て覚えたものだ。本条家を脅して読んだりする必要は私にはないのだ。
「切ちゃん、本条流の他にも使えるのか?」
「うーん、使えるかな」
別にウソを吐く理由も無いから素直に答える。糸色家自体は槍術や薙刀術の他にも各分野に一定数の地位を築き、私のお父さんも政界に居る。
まあ、それは内緒らしいけど。
「……要は一人多国籍軍ってわけね」
「そんな大それた物じゃないわ。単に覚えているだけで、当主候補の序列で言えば私は8位だから、あと七人強いのが居るわよ」
「化け物かよ」
「女の子だけど?」
馬鈴薯のお味噌汁を飲みつつ、句君の罵倒を否定する。女の子に向かって化け物なんて言うのは酷いと思う。私じゃなかったら本気で怒っている。
そう考えながらタコさんウィンナーと睨み合っている句君に視線を向ける。黒目はゴマを差しただけだから、何も変なものは入っていない。
「切さん、愚弟がごめんね」
「姉ちゃんは鎌術見せてねえからだぞ」
「フッ。カマキリと同じね」
「……筋肉だるまが」
「どうしてそんなこというのぉ!?」
小鎌さんは絶叫を上げて鎌を突きつけると句君は鎖分銅を使って受け止めている。あんまり喧嘩しちゃダメだと思いながらお味噌汁を飲み、ほうっとする。
手早く片付けて歯磨きをして、九能先輩の贈ってきた薔薇の花束と手紙を見る。律儀なのか、私と交際している体の手紙を送ってくる彼に戸惑っている。
お父さんに相談しようかな。
「やあ、奇遇だね。切君」
「マンションの前で待ってたの?」
「フッ。デートするときは相手より早く着くものなのだが、良いと天道なびきが言っていたぞ」
「それは待ち合わせ場所に、だよ。おっちょこちょいなんだから」
クスクス笑って、九能先輩の隣を歩く。
しかし、九能先輩は歩みを止めて、首を傾げる。
「……ふと、森の中を思い出した」
「なんで森の中なんですか?」
「僕にも分からん」
不思議なこともあるものだと思いながら、私は九能先輩のオススメの恋愛映画を見るために映画館に向かう途中、上映時間まで時間を潰すためにショッピングをすることになった。
なんだか普通にお買い物しているだけだなあ。
デートするときって、こういうことでいいのかな?と小首を傾げながら九能先輩を見上げる。けど、チラチラと私の胸に視線を向けるのは恥ずかしいかな。