「いったいわね!何するのよ、乱馬ッ!!」
乱馬。
そうハッキリと言い返したあかねさんはハッとしたように自分の頭を押さえ、泡まみれの手を見るなり、さらに怒って早乙女君を攻撃していく。
「あいやー、痛みで目が覚めたね」
「ショック療法というやつかな?」
「そうね」
「ところで、私の頭に手を伸ばすのは何故かな?」
「偶然ね。他意はない」
勝手にヘアメイクをしようとするシャンプーの手捌きをあかねさんと戦った後に躱すのはキツい。こうなったら槍を使って倒すしかない。
私は密かにカバンを見遣る。が、句君に預けていたカバンは消えていて、慌ててカバンを探しているとシャンプーが「探し物は此処にあるよ」と見せてきた。
「そんなに潰されたいのかなぁ?」
「フフン。
シャンプーの自信満々な宣言と共に駆け出してきた瞬間、あかねさんの攻撃を回避していた早乙女君の両足が彼女の頭に当たり、そのまま踏みつけた。
「見事な一撃だ」
「ち、ちがっ、不可抗力だって!?」
「二度も勝ってどうすんのよ!」
「誤解だああああっ!!?」
なんだか大変な事になっているように思いつつ、私はカバンを拾って中身を確認する。うん、ちゃんと財布も槍もハンカチやティッシュも入っている。
流石に中身は見られてないようで安心した。
「句君、今度は取られちゃダメだからね?」
「分かった」
肉まんで買収されちゃダメだからね?
「しかし、一件落着ですな」
「ワシも久々に良いものを見れたしな」
「ああ、そうだったそうだった。いやー、お師匠様の物とは毛色は違うが正しく獣拳!」
ウンウンと頷いて道場を出ていく父親達を見送り、私は三角関係になってしまったあかねさんと早乙女君とシャンプーの三人に苦笑いを浮かべる。
天道先輩に授業の分からないところを聴くために母屋のほうに向かう途中、早乙女君の助けを求めるような眼差しに私は無視して歩き出す。
ついでに東風先生のところで骨の様子も見て貰わないといかないかな。でも、胸骨なのが悩ましい。腕で受けるにもあの蹴りは腕に受けていたら良かったかな?
「切ちゃん、胸痛いのか?」
むにゅうっと句君の手が私の胸を掴んだ。
「何すんのよ、ばかあっ!!」
「ふべっ!」
力任せにビンタした瞬間、句君は石灯籠に激突し、背中から塀を突き破って路地に飛び出して動かなくなった。けど、今のは句君が悪い。
いきなり胸を揉まれたことに怒りつつ、フンとそっぽを向いて天道先輩のところに向かう。