「ムキムキね」
「ワシは知らんぞ」
そう宣言するシャンプーのお婆ちゃんに詰め寄ることなく自分の筋肉質な身体を腕を掴み、唸るように悩む小鎌さん。その後ろの席で、ラーメンを頼んだ句君に習い、私も頼もうかと悩む。
けど、中華料理は初めてだ。
どれを頼めば良いのかと悩んでしまう私の傍に来てくれたシャンプーは食べやすいものを教えてくれ。素直に頼むと「わかったね。お婆ちゃん、大盛り」と恐ろしいことを呟いた。
大盛りなんて食べたことない。
伝えたくても既に二人は厨房にいる。
ドドンと置かれたラーメンの山に頬が引き釣り、お箸で食べ進める。濃くて、すごく重い。パスタやお蕎麦より味が濃い?等々と思考する。
けど、本当に怪しいのはお婆ちゃんだ。
私と誰か───糸色景様を見間違えるということは少なくとも最低100歳は越える達人。私より強いだろうし、杖を使った武術は槍術に通じる。
得意分野で上を行く相手かな。
「美味しいじゃろう」
「んっ、ふぁい……美味しいです」
モグモグと口許を手で隠しながら、お婆ちゃんの問いかけに答えると「本当によく似ておる。ちいと違うところもあるが、瓜二つじゃな」と、また呟く。
「しとり殿は息災と聞くが、何処に?」
「今は長野の本家で御意見番をしてるかな。しとりお婆様の発言力は当主様より上だし、なにより私達が逆立ちしたってお婆様の戦歴には敵わない」
そうお婆ちゃんに告げて、ラーメンの上に乗ったコリコリしたものに首を傾げる。これも初めて食べる。中華料理って奥が深いのね。
「おお、そうだった。切殿、人伝であるが伝えておかねばならぬ事がある」
「なんですか?」
「
宝刀。
宝刀……ダメだ。
千本を越える刀剣類に加えて、槍鉾、斧鉞、槌、弓、暗器まで沢山の品物が糸色本家には揃っている。その中から一振りを探すのは流石に疲れる。
他の人に頼めば手伝って貰えるかな。
それにしても、不破一族か。
まだ会ったことないんだけど、そんなに危ない人ばかりなのかな?と食べ終わったラーメンのスープを飲むべきなのかを句君に聞けば「オレは飲むけど、女の子は口臭とか気にするだろ」と言われた。
確かに気になるけど。出されたものを食べないのは悪いことだってお父さんに教わっているから、しっかりと飲みきってみる。
「……これ、浮いてるのなに?」
「背脂だ」
「せあぶら」
なんだろう?