女子の制服を身につけた
やっぱり強いように見えるよね。
「あかねさん、おはよう」
「お、おはよう」
いつものように挨拶しているのに、彼女の視線は私の背後に注がれ、巨大な筋肉の要塞と化してしまった小鎌さんを困惑気味に見上げている。
身長210cmという巨大な戦士はすごいね。
「小鎌さん、筋肉痛なの」
「いや、どう見ても」
「筋肉痛なのよ」
「はい、すみません」
にっこりと笑って女の子の早乙女君を見る。
君の皺寄せが小鎌さんに来ているかも知れないから、あとで全身関節外しと着脱を五、六回するからね。全く誰のせいだと思っているのかな。
「乱馬、切ちゃんも怒ってるんだ」
「お、おお」
「居るわよね。怒ると怖い人」
そんなに怒ってないけど。まあ、確かに、それなりに不満と不服と不平と不義を感じている。……それにしても、また誰かに見られている気がする。
「おはよう、糸色さん、あかねさん」
「おはよう。五寸釘君」
「オレに挨拶はねえのか?」
「早乙女のバカ」
「うるせぇー、タコ」
男の子って、どうして直ぐに喧嘩するのかな?と不思議に思いながら二人を置いて、教室に向かう。いよいよ明日早乙女君はムースと戦うことになる。
それなのに、あの余裕は何なの?
何か秘策があるなら知りたい。
「早乙女君、ムースと戦うとき、どうするの?」
「…秘密だ。覗き見してやがるからな」
「失礼ね。私、告げ口しないある」
そう言って私達の中に入り込んできたチャイナ服の女の子に早乙女君とあかねさ?は目を見開く。シャンプーが普通に学校に入り込んでいるのが、不思議なんだろうけど。私達は同い年だからね?
「ひいお婆ちゃんが乱馬落とすなら近い方が良い言ってたね。同じクラス、よろしく」
クスリと笑って職員室に向かう彼女の背中を唖然と見つめる二人を放置し、私は教室に入ると同時に机に置かれたバラの花束に動きを止める。
『来週の日曜日、デートをしよう』
あっさりとした言葉と手帳『帯刀と切の交際交換日記』という名前に苦笑を浮かべつつ、プロフィール欄に真面目に記入している九能先輩らしく思える。
まだ、タッチーかどうか判断できてないけど。
少なくとも悪意や邪意で私に近付いているわけじゃなくて、純粋な好意なんだろうと思う。私も軽く日記に文字を書き、鞄の中に仕舞う。
見られるのは恥ずかしいからね。