「其処じゃあ!!」
「チィッ!よく見破ったもんだぜ!!」
「貴様だけ影が濃い。如何に近眼乱視のオラでも見分けぐらいつくだ。況してやシャンプーを誑かす貴様の顔を見間違える訳がない!」
怒りのままに吠えるムースの言葉は実に重たく思える。けど、あれだけ真摯に想われるのは少しだけ羨ましいかな。好きな人に振り向いて貰いたい。
誰死もが願うことだ。
「けっ。こうなりゃとっておきだ」
そう言うと早乙女君は両手を開いて構える。大の字にも見える大胆不敵な構えに警戒するムース。シャンプーとお婆ちゃんも異様な構えに目を凝らす。
「遂に使うか、乱馬よ」
「そうか。遂に君の技を」
どこか感慨深く涙を流す早乙女玄馬と、その隣に立って同じように涙を流す天道早雲にあかねさんもみんなも真剣な眼差しで早乙女君とムースの事を見つめる。
「無差別格闘早乙女流必殺奥義!」
猛虎爆砕拳とは違う。
「一撃必殺を狙うかッ、ならば!」
ムースもまたチャイナ服を脱ぎ捨て、両足に爪を模した武器を構える。早乙女君は両の手を握り、腰に溜めたままムースに向かって走り出す。闘気を両の拳に溜め込み、虎爪拳に手形を変えた。
「秘技鷹爪拳ッ!!」
「撃滅破局拳、竜虎大爆裂!!」
ムースの蹴りを紙一重の間合いで躱し、早乙女君は左右の手を同時に放ったその時、強烈な気功弾がムースの身体を突き抜け、リングの外まで彼の身体を吹き飛ばしてしまった。
燃える手を振り払い、ムースを見据える。
完全に気を失っているわね。
「ヘッ。どんなモンだ!」
自慢げに親指で鼻を擦り、早乙女君は笑う。
「まだまだ、小虎じゃな」
「早乙女君、そう言う割に泣きそうじゃないか」
「だまらっしゃい!」
やいのやいのと騒ぐ大人の声を聞きつつ、私は顔を赤く染めて惚けたように早乙女君を見つめるあかねさんの事を見る。好きなら好きって言えば良いのにね。
しかし、気功闘法も身に付けているのかな。
私と同い年の男の子で、あれだけ強いなら句君とも十分に渡り合えるわけだ。九能先輩も闘気は使えるし、本当に面白い学校だ。
「成る程のう、秘策とはこの事か」
「ひいお婆ちゃん、どうするね?」
「何、ツボは突いたままじゃ。此方にワシを越える経絡術の使い手はおらん。婿殿もいずれお主に泣きついてくるじゃろう」
「流石ね♪︎」
なんか怪しい会話をしているけど。
小鎌さんは無関係だから治して貰えると助かるかな。確かに今の小鎌さんは大きくてカッコいいけど、小鎌さんは女の子なんだよね?