九能先輩は恋多き人のようです。
あかねさんやおさげの女(まだ会ったことはありません)に、小鎌さん、それから私など四人の女の子にお付き合いを申し込むなんて悪いことだ。
愛する人は、たった一人だけ。そっちのほうが女の子は喜ぶと思うんだけど、やっぱり好きな女の子に振り向いて欲しいから他の女の子に声を掛けるのかな。
「いや、単純に女好きなだけだろ」
「早乙女君は、そう思うの?」
「まあな。ありゃ天性の女好きだぜ」
そうなの?と考えながら早乙女君と句君のにらみ合いに信頼のような雰囲気を感じる。いわゆる好敵手、ライバルというやつなのかな。
けど、九能先輩の女の子が大好きなところはもう仕方ないのかも知れない。小鎌さん達はなにやら私には話せない内緒のお話をしているし。
みんな、とても大変な様子だ。
「なあ、お前の話してた関節を破壊する技ってのはどうやるんだ?」
「破傀拳のこと?それなら関節の隙間に指を刺したり、拳打の際に関節を浮かせて、ねじりを加えることで関節を外すことも出来るよ」
「あかねが手首を防いでたのはそれか」
竜頭拳に手の形を変える私に感心する早乙女君は「じゃあよ、アイツらが使ってた鎌や鎖分銅の流派も知ってるか?」と聞かれ、答えるべきか悩んで否定する。
そういうのは信頼関係が必要なんだよ?
「あらあら、すっかり仲良しさんね」
「あかね、取られちゃうわよ」
「ちょっと、やめてよ!そんなんじゃないって分かってるでしょう!」
クスクスと穏やかに笑うお姉さん、どこか面白いものを見るように笑うお姉さん、その二人に苦言を呈するあかねさんの三人を見つめる。
三姉妹仲良し、楽しそうです。
「全くもう。ごめんなさいね、切さん」
「よくわからないけど。大丈夫」
「オレとしては気になるけどな」
「句は黙ってなさい。アンタが喋ったら、ちょっと拗れたりするの自覚してないでしょう?」
「姉ちゃん、オレは知ってて踏み抜くぜ」
「おばか!」
騒動が大きくなるに連れて人も増えて、なんだか面白いぐらいドタバタとしている。やっぱり、みんなすごく仲良しなんですね。
「けっ。だれがこんなゴリラ女と」
「誰がこんな変態なんかと」
「ごりら?へんたい?」
ただ、やっぱり不思議になるのは二人の関係だ。
「あら、まだ聞いてないの?」
「……えと、あ、なびき先輩!」
「正解。あかねと乱馬君はね、許嫁なのよ」
「わあ!すごいです!……あれ?じゃあ、九能先輩って横恋慕しようとしているんですか?」
「まあ、そうなるわね」
そんなの許せませんね。
とても悪いことです。