九能先輩のお家に私達はお呼ばれし、小鎌さんと句君の二人は壁に掛かっている大鎌を見ている。そういえば九能先輩は「我が家には曰く付きの道具や武具が多く存在する」と言っていたけど。
あれもそうなのかな?
「姉ちゃん、あれ『大鎖鎌・芳扇香』だよな」
「えぇ、ウチの家宝の一つね」
「「なんで九能家にあるんだ?」」
不思議そうに二人して首を傾げる二人の姿に思わず、私はクスクスと笑ってしまい、九能先輩も大鎌を見上げる二人に気づき、大正時代の折り、小柄な老人に草刈り用の鎌として買った経緯を伝えられる。
「ウチの家宝が、草刈りっ!?」
「なに?小鎌君と句君の家の物なのか?」
「付け加えると盗まれたんだよ。まさか、こんなところにあるなんて。九能先輩、もう一つ売ってなかったか?こう刃の付け根に蝶の彫りがあるんだが」
「いや、そちらは知らない。しかし、我が先祖が盗品を掴まされていたとは……くっ、お労しいや!必ずや下手人を引っ捕らえてみせようぞ!」
木刀を抜いた九能先輩に句君と小鎌さんは賛同する。このままトレーニングを始めるのかな?と思いながら九能先輩の次の言葉を待つ。
「まずは腹拵えだ!僕の奢りだ、好きなだけ出前を頼むと良い!」
スパッと「リッチ」と書かれた扇子を開く彼に少し呆れながらも食べずに動くのは危険な事には同意かな。人間の身体は想像以上にエネルギー消費するし、運動する前に軽く飲食するのは良いことだ。
「うな重四人前とラーメン三人前、炒飯大盛りと副菜盛り合わせを頼む。句君、あまり食べ過ぎるのは良くないと僕は思うぞ」
「九能君、違うのよ。元から大食漢なの」
「ひとりで十人前は余裕だぜ」
「ブラックホールみたいだよね」
そう私達は話しながら九能先輩に案内して貰い、居間に入ると小太刀さんが優雅にティータイムを楽しんでいた。あ、よく見たら糸色妙様の作品使ってるんだ。
「あら、切さん」
「こんにちは、小太刀さん」
私も似たものを使ってる。
「切君は何を食べたい?」
「切ちゃんは野菜好きだぞ。特にトマト」
「お姉ちゃんも好きだけど?」
「姉ちゃんは肉じゃん」
私もお肉好きだよ?と考えつつ、チラリと外を見ると人影が幾つか見えた。糸色家の忍びじゃない、サスケだったかな?が、侵入しようとしている人達を追い返しているのが見える。
御庭番衆の動きに似ているし、昔に別れたっていう人の子孫なのかも知れないけど。あそこまで子供のイタズラじみた技は使っていないけど。