「やあ、待たせたね。糸色さん」
「待ってないよ。魔女先輩」
「ウフフ、それなら嬉しいわね」
にこりと魔女先輩は笑って喫茶店の窓際の席。その真向かいに座り、人造皮革のソファに身体を預け、マスターに「いつものコーヒーをちょうだい」と伝える。
やっぱり、みんなの憩いの場なのねと感心する。マスターは気さくで優しくケーキやパフェも自作できるし、なによりコーヒーが美味しい。
「さて、貴女と真剣に話すのは初めてね」
「そうかな。うん、そうだね」
「風林館高校の魔女。本名は
「特異点、本当にいるんだ」
「ウフフ、かわいい反応するわね。九能君やなびきさんが興味を持つのも分かるわ……それに、貴女の目は変わったものも見ているし」
変わったもの?
そう言われても分からずにいると「冗談よ、そろそろコーヒーが来るから一緒に飲みましょう?」と言われ、私は本に栞を挟み、鞄に戻す……前に、差し込まれた紙を魔女先輩に返しておく。
変な気配がするものはいらないかな。
「魔女先輩、返す」
「あら、気付いていたのね」
「流石に気付くよ。見えていたから」
「ウフフ、それもそうね」
どこまでも胡散臭い人に思えるものの、霊能力を持っているのは確かなんだろう。以前、お母さんの纏っていた気配によく似ているし。
「私をからかうために誘ったの?」
「いいえ?私は楽しく遊びたい派なの。ゲンジロウちゃん、貴方もそれは知っているでしょう?」
「……ちゃん付けは勘弁してくれ」
「ウフフ、絶対にイヤよ♪︎」
マスターにちょっかいを出しながら、私に向き直った魔女先輩は「私はマジの魔女なのよ」とまた笑い、何かを高速で呟くとマスターが作り終えていたパフェを空中浮遊で引き寄せてしまった。
「おい。人前でそれはやめろ」
「あら、イヤなの?」
「バレたら面倒なんだよ」
そう苦言を告げるマスターだけれど。
魔女先輩の事を心配しているのは本当らしく、色々と文句を言いつつ、二杯目のコーヒーを運んでくれ。私にもケーキを運んでくれた。
「ウフフ、かわいいわね」
「ありがとう」
「ちなみに九能君とはどこまで?」
「?今日は買い物してませんよ?」
「あらやだ、ピュアなのね」
ピュア?
純情であるのかは分かりませんが清く正しくお付き合いしているつもりです。それに、私は許嫁のこともありますから危険な行為や何かしら行動を起こせば、彼らもやって来るだろう。