TS憑依禪院直哉~甚爾君のお嫁さんになれなかったから恵君を食おうと思う~   作:八握剣異常性癖魔虚羅

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5話目

「天内優先! 傑達は先に天元様のところへ行ってくれ」

 

「油断するなよ!」

 

 五条悟が一番強いのは一人の時。

 

 甚爾君がトドメを差し切らへんって知らんかったとしても、ウチも一緒にこの場に残るって選択肢は無かったわな。蒼に巻き込まれてぺちゃんこになるオチがもう目に見えとるで。

 

 薨星宮へと向かう道中。メイドと星漿体の子がお涙頂戴のやり取りをしとった。お別れなんてとっくに分かってたろうに今更何しとるんやろね。動物の映画でも見てた方が感動するで。

 

 ほんで同化の為に天元のところへ向かわせるわけなんやけど……結局同化は拒否。やったら最初から嫌って言っとけって話やねんなこのガキ。少なくとも悟君達と合流した時点で。そしたらもっとやりようもあったろうに。それこそ一回殺して反転術式で治したりな。丁度悟君の同級生にアウトプット使いもおるんやし。なんなら構築術式でも使えば偽物の死体ぐらいなら作れたかもしれへん。まあ何て言うんか、全部時間の無駄やったねほんと。

 

 その結果が……

 

「はいお疲れ。解散解散」

 

「……なんでお前がここに居る」

 

「なんでって……ああ。そういう意味ね。──五条悟は、俺が殺した」

 

「そうか。死ね」

 

 星漿体は甚爾君に頭撃たれて死によった。悟君の気遣いも全部無駄になったわけやね。ほんで今は傑君が甚爾君と戦っとる。呪霊操術は手数の強さが強みやから、圧倒的な個の甚爾君とは相性最悪。それでも何匹か特級クラスの呪霊を飼っとるのは流石やね。

 

 甚爾君を殺したいんやったら……うん、呪霊操術じゃ無理ちゃう? 呪具を壊せるような呪霊でもおれば別か? ウチやったら両手を挙げて降参やね。星漿体が殺された時点でもう勝てたとしても何の価値も無いわけやし。敵討ちなんてアホのすることやで。勝てる相手にやったら鬱憤晴らしでええかもしれんけど。

 

 ……傑君の敗因は武器庫呪霊を取り込めなかったことやね。主従関係の出来とる呪霊は調伏出来へん。この辺の自分の術式への無理解さが一般家庭出身の弱みや。悟君も教えてやればよかったのに……って思ったけど、あの家無下限呪術以外の取説無さそうやんな。それのおかげで御三家に入れてるような家なんやから。そもそも取説あっても悟君読まなそうやけど。

 

 口裂け女の呪霊……術式っぽいの使てたし、多分上位の呪霊やんな? アレを祓われて、武器庫呪霊の調伏に失敗して。結果として傑君は惨めに床を這いつくばっとる。やっぱり雑魚の罪は弱さを知らんことなのかも分からんね。悟君を殺されて逆上してたせいも大きそうやけど。

 

「……で? お前もやるか?」

 

「んなわけないやろ。その気やったらせめて一緒に戦っとるわ。ウチ1人で甚爾君に勝てるなんて思えへんもん」

 

「だったらとっとと逃げとけよ」

 

「えー? でも甚爾君別に金にもならん殺しなんかせぇへんやろ? 可愛いお嫁さん候補やで?」

 

「あー……お前は本当にペースが狂うんだよ。二度と会うつもりも無かったってのに」

 

「ごめんちゃい。まあもう仕事も終わったしええやろ? そのお金で寿司でも奢ってや」

 

「どんな神経してんだよお前」

 

「男尊女卑の家で飄々と周りを見下せる神経」

 

「違いねぇな」

 

 傑君が血塗れで転がってへんかったら和やかな兄妹の会話にも見えたかもしれん。……あと女の子の死体も転がってたっけ。……ついでにメイドさんの死体も多分帰り道に転がってるんか。全然和やかやあらへんね。

 

「ま、甚爾君強いんやから精々長生きしてや? ほんで時々ウチにも構ってよ。代わりに恵君の面倒はしっかり見といたるから。……今どこおるん?」

 

「あ? あー……女の所? 子供の面倒は任せてる」

 

「ヒモ野郎って男尊女卑でも成り立つんやね……」

 

 まあ甚爾君は金稼いでそうだからええんか? パチンコ代たかるより自分で稼いだお金を馬とか船で溶かしとるもんな。でも売り物の場所ぐらいは覚えといた方が良いと思うで。

 

 

 

 結局寿司は奢ってもらえへんかった。盤星教の所に一緒に行くわけにもいかへんってことで薨星宮でお別れ。まあ盤星教の所に先回りするんやけど。一応宗教団体だから場所が分かりやすいのはええね。

 

 とりあえず観客席を確保しよか。早くしやんと悟君が来てまう。

 

 息を潜めて待つことしばし。血塗れの服着た悟君がやってきて──多分これバレとるね。どんな感性しとんねん。甚爾君やったら五感が強化されてるからで説明つくんやけど。『最強』にはきっと見えてる景色からして違うんやろね。

 

 そこからは知ってた通りの光景。覚醒した悟君を捻じ伏せたいって願望を抱いてもうた甚爾君が茈で吹き飛ばされて、半身を失う。いくらフィジカルギフテッドでもどうにもならんわ。むしろ即死してない分だけ頑丈さを評価してもええのかもしれへんね。

 

 まあこれで帰ってもええんやけど、一つだけ確かめなアカンことがある。

 

「……2,3年もすれば、俺のガキが禪院家に売られる。好きに──」

 

「ウチには任せてくれへんの?」

 

 原作では多分、最期の最期で息子への愛情を思い出して、禪院家に預けるよりは目の前の最強に預けた方がええって判断しての遺言やったと思うんやけど。今のウチが居る状況やったらどうやろね。我が家がゴミ溜めってのは同意やし、そこを言われたら気軽にウチに預けたらええとも言えんのやけど、それでもちょっとは信頼してもらいたい乙女心や。まあ悟君の方が強いからって言われたら言い返せんへんけどね。ウチはまだこっち側や。

 

「直哉か。……お前が当主だったら、それでも良かったかもな」

 

「恵君が禪院の方がええって言ったらどうするん?」

 

「──好きに……いや。息子を頼む。ふた、り──」

 

 二人とも。かいね。言い切れなかった部分は。悟君と一緒に子育ては流石に出来る気せぇへんけど。せめて悟君と対等って言えるぐらい強くなれたらやね。花扱いは流石にしんどいわ。お友達から始めさして欲しいもんや。

 

「……どうなん? 悟君。こんな奴の言うこと知らんって言っても誰も文句言わへんと思うけど」

 

「……ああ、そうだな」

 

 うん。ウチのことなんて完全に眼中にあらへんし、話もどこまで聞いてたんやか分からへんね。ちょっと時間置いてからの方が良さそうや。ハイになってた反動かいな。

 

 高専を通じて連絡取れるように頼んでみよか。2,3年も猶予があれば話する機会もいくらでもあるやろ。知らんけど。

 

 

 

 

 

 その夏はウチらも忙しかった。高専生が忙しいんやから御三家はもっと忙しくなるのは当たり前やね。災害の影響で呪霊が湧いたって言われとったけど、負の感情で質も上がるんが呪霊の厄介なところや。ほんで呪霊を災害や事故として処理するからまたそこへ負の感情が溜まる。そら自然呪霊も産まれるってもんや。

 

 そんな中でも高専生が村を一つ皆殺しにしたってのは大きなニュースになった。呪詛師も基本的にはそんな堂々と殺戮したりせぇへんからね。目立ったら潰されるって分かっとるから。まあ平然と『術師殺し』なんて呼ばれるほど殺しとった例外もおるけど……甚爾君は流石やね。カス共に負けへんことを理解しとる。

 

 まあウチとしては、『知ってた』以上の感想は無いんやけど、この事件から然程時間も経たずに五条家から禪院家に……というよりは悟君からウチに連絡が来た。まあ家同士でやり取りなんかさせたらこじれるに決まっとるからウチらが直接話し合った方が早いわな。

 

「それで? どこ向かっとるん?」

 

「アイツの息子のとこだよ」

 

「恵君か。というか悟君、ちゃんと甚爾君の言葉覚えてたんやね」

 

「……正直、無視しようと思ってた。けどさ、俺だけ強くても駄目みたいだから。救われる準備が出来てる人間ぐらいは、救いたいと思って」

 

「……君ほんとに悟君? 人って変われるもんやねぇ」

 

「あ? どういう意味だ──」

 

「お、あれちゃう? 恵君」

 

 ウチでも呪力の流れでなんとなく非術師か術師かは分かる。悟君ならそれ以上やろね。確か術式も分かるんやっけ? 

 

「あんた達誰? ……ていうか何その顔」

 

 悟君が色々言っとるけど全然頭に入ってこん。この擦れた感じ。そもそもの全体的な見た目。利発そうな顔。男の子とは聞いとったけど──

 

 ミニ甚爾君やん!!! 

 

 今からウチ好みに育てたら理想の甚爾君が作れるんちゃう? 術師として素人なのはこれから鍛えたらええ。十種影法術の調伏……は手伝えへんのやっけ。

 

「直哉。術師じゃない女の子が禪院に行って幸せになれる?」

 

「無理に決まっとるやろ。男のストレスの捌け口になるのが幸せなら別やろうけど」

 

 そんなことを考えてるうちに悟君がなんか聞いてきたから思わず雑に返してもうた。

 

 結果、恵君は禪院家に来ることは無くなった。お姉さんの幸せの方最優先なんやって。

 

 寝盗られやんけ〜!!! 

 

 




直哉→夏油の態度が分からん
学生夏油は顔がアカンくない甚壱君くらいには尊敬してそう。でも闇堕ちして五条を裏切ったところで評価一気に落としてそう。
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