TS憑依禪院直哉~甚爾君のお嫁さんになれなかったから恵君を食おうと思う~ 作:八握剣異常性癖魔虚羅
特別一級術師だと響きがカッコええけど、特別四級術師とかになると急にクソダサく見えるのはなんなんやろね? 特別一級術師兼『炳』筆頭の禪院直哉やで。
真希ちゃんと真依ちゃんも高専に入学して、後は宿儺の受肉の知らせが来るまではイベントも特に無いと思ってたんやけど、すっかり忘れてたイベントが残っとった。
12月24日。新宿と京都への大規模な呪霊の侵攻。傑君が乙骨君を襲うアレやね。
「百鬼夜行はええけどさ、ウチが行くのは流石に人選ミスちゃう?」
呪術界総力で対抗する為に禪院家に声がかかるのはまあ分かる。なんかアイヌの方にまで声かけとるらしいしね。結局原作で名前しか出てこぉへんかったけど、何してる組織なんやろね? アイヌ連って。
五条家は悟君が参加しとる。加茂家は憲倫……憲紀? 君が参加しとる。当主と次期当主やね。そういう意味では禪院からオトンかウチが行くのは格としては間違いじゃあらへんのやろうけど……
「呪霊操術相手やろ? 絶対甚壱君の方が向いとるって。面制圧出来るの家やったらあの人やんか。……あとあの老いぼれ爺も出来るんか?」
「規模も威力も申し分ないがな……市街地でアレが撃てると思うか?」
「あー……納得」
ブサイクメテオ、訓練場一帯を更地に出来るぐらいやもんな。いくら一般人を避難させるにしたって、街を更地にする訳にはいかんちゅうことやね。
「じゃあオトン行ってきたらええやん。偶には身体動かさんとボケるで?」
「すまんが、もう酒を飲んでしまってな」
「休日出勤の断り方か?」
別に今日飲んでようと関係あらへんやんけ。そもそもコイツ渋谷事変も酒飲みながら出陣するくせに。もうアルコールで脳がやられとるんか?
「お前が行くなら十種影法術の取り扱いが書かれた書物をやってもいいぞ? 五条悟に見せない縛りは結んでもらうが」
「娘の晴れ舞台を見せたるでオトン! 悟君の次に強いヤツって呼ばせてみせるわ!」
「そこは嘘でも五条悟を越えると言わんのか……?」
「もう負けとるからね……」
最近の話やないで。学生時代のまだ領域が使えなかった頃の悟君に、や。こっちの領域に簡易領域で対抗されるのはウチも想定してた。なんやねん落花の情をアレンジして全身の細胞を1/24秒で動くようにプログラミングするって。原子単位で呪力を動かしてるバケモンから見たら細胞単位を術式対象にする程度じゃ甘かったんやね。
ウチも今は術式反転させた上で呪力を使うこと自体を『動き』と規定して悟君にも通用する必中必殺の領域にしてんけど……『無量空処』がズルすぎんねん。情報を与えるだけで無害だから押し合いに強いは理屈がおかしいやろ。ウチも閉じない領域で外から押し潰すしかないんか?
ともかく。十種影法術の取説は純粋に有り難いで。『玉犬』はともかく他の式神を調伏する時、対処法を知ってるかどうかはデカいからな。
ほんで12月24日。当然のこととしてウチは京都に配置されたんやけど、高専の生徒もおったんやね。真依ちゃんに挨拶でもしとこか? ……なんて余裕かましてられへんね。量より質って言葉はあるけど、質を備えた量はもうズルやでホンマ。一級呪霊かてそうポンポン出てきたらアカンやろ。東京に向かわせても悟君に祓われるから強いのはこっちに集中させてんのかいね?
「恵君。実際来てみてどや? ……もう呪霊と戦ったことあるんやっけ?」
「五条先生に連れてかれたことなら。低級の呪いでしたけど」
「悟君は実践で覚えさすタイプやからねぇ……呪術師にまだなってへんのに戦わせたらアカンと思うねんけど」
「俺が望んだことですから」
恵君のお姉ちゃんが今年の頭頃やったかな。呪いにあてられて意識不明になったらしい。悟君がおって解決せえへんってことは単純な術式やあらへんのやろね。呪物でも飲んだ……ら拒絶反応で死んどるか、良くて呪物の受肉やろうからちゃうか。なんやろね?
まあそんなことがあって恵君は呪術師になることにかなり前向きになっとる。『ヒーローになりたいわけじゃない。助けたい人を助けたいだけです』やって。カッコイイ男の子やね。
「さて、今からウチらはあの呪いの群れ……千匹や言うとったかな? アレを祓いに行くわけやけど、その前に約束」
「なんです?」
「一つ。やばいと思ったらすぐに逃げること。恵君はまだまだ新米にもなっとらへん。任務遂行より命優先や」
というか呪術師見習いを前に出すなって話やねんけどな。『恵なら大丈夫でしょ~』って言うとる姿が目に浮かぶわ。アッチ側の人間の基準はやっぱウチらには分からんね。
「二つ。どんな状況でもウチが退け言うたら退くこと。恵君が死ぬんはウチが死んだ後や。年功序列やね」
まあいつでも指示が通るとこにおるとは限らへんけど、心構えがあるだけでもちゃうやろ。未亡人って言葉がある通り、恵君が死んだらウチも死ななアカンからね。若い術師は宝や。木っ端術師はなんぼ死んでもどうでもええけど。カスは宝やない。
「『縛り』は結ばんでええ。ウチと恵君の口約束や。……要は無理したらアカンちゅうだけやけど。守れる?」
「──はい!」
ええ返事やね。……十種影法術は自爆技があるのがアカンわ。実際いざとなったら悟君以外誰でも殺せるようなもんやしな。どうせ悟君あたりが教えとるやろし。なんで奥の手なのに他の家に知られとるんやろね? 江戸時代の当主、やっぱアホやわ。
低級呪霊は何の妨害にもならん。恵君のワンコも充分戦力になってくれとるし、カス達もカスなりには頑張っとる。でも高専生より弱いのはほんとにアカンと思うで。ホンマにコイツらちゃんと卒業したんか? まさか在野の呪術師適当に引っ張ってきたんちゃうやろな。
こうなってくると問題は上位の呪霊やね。一級を超えてそうな呪霊が何体かおる。一方こっちはまだまだ見習いの恵君に、カス呪術師共。京都の高専生はそれなりやけど一級相手は荷が重いやろ。少なくとも真依ちゃんは絶対に無理やね。ウチの仕事は強そうな奴らを間引くことってとこかいな。
祓って、祓って、祓って──
「ん?」
「お?」
真依ちゃんの先輩の……なんやっけ名前。
「ミス禪院か? 真依から話を聞いたことがある」
「思い出した。東堂君やね? 一級術師の」
真依ちゃんと仲良かったはず。一緒にアイドルの握手会行っとったみたいやし。なんでウチがそんなこと知ってるかはナイショやで。
「ミス禪院。一つだけ尋ねたい。──どんな男がタイプだ? 女でもいいぞ」
「ウチのことを組み伏せて泣くまでぶち犯してくれる人。強ければ強いほどええね」
瞬間、東堂葵の中に溢れ出した、存在しない記憶──
♢♢♢
「禪院先輩、相変わらず孤高の美人って感じでカッケーよな」
「スタイルもいいし……目の保養ってやつ? でも中身は最悪らしいぜ?」
くだらない下世話な話だ。コイツらは先輩のことを何もわかっちゃいない。
「お、葵君やん。今日も女のケツ追っかけとんの?」
「自分の心に嘘はつけませんから」
孤高、或いは孤独。禪院先輩を周りはそう評する。他人を寄せ付けない偏屈な女と。だが俺は知っている。周りが単純に先輩に追い付けていないだけだということを。
「先輩は、相変わらず恋人も……友も作らないのですか?」
「カスと付き合うくらいなら一人の方がマシや。葵君もそうやろ?」
「自分は……」
否定は出来なかった。退屈な人間を傍に置きたくない、という気持ちは俺にもある。ただ俺は偶々、高田ちゃんという運命に運よく出会えただけだ。
「先輩のお眼鏡にかなう人はいつ現れるんでしょうね」
「……昔、一人だけおったんよ。その人は、ウチのことなんか相手にしてくれへんかったけど」
初耳だ。この先輩にも初恋をするような時期があったのか。一体どんな益荒男なのだろうか。
「あーあ、ええ男おらんかね。なんなら女の子でもええんやけど。……葵君、なんか面白いことしてや」
「ふ……では先輩にも高田ちゃんの良いところ百選を紹介しましょう」
「まあ無責任に聞ける他人の恋路は娯楽やけども。ほんならウチは葵君が振られた時の慰め方でも考えながら聞いとくわ」
「何故振られる前提なんですか!?」
♢♢♢
「あの頃の、先輩に憧れるだけだった俺は、もう居ない……」
「なんて?」
「ミス禪院。成長した俺の姿、そこで見ていてくれ」
「なんて??????」
「噴ッ!」
気合と共に振り抜かれた拳が呪霊に叩きつけられると同時、黒い火花が爆ぜる。
「やりよるねえ。家のカス共にも見習わせたいわ。御三家の名前が泣くでホンマ」
一級相当と思しき呪霊の消失反応──を、遥かに超える、凶悪な気配。
「……本命のお出まし、かいね?」
『私ハ 鉄ノ味ガ 好キダッ!!』
「いける? 東堂君」
「無論」
葵君は頼もしいね。パッとせえへん叔父さんやら玉無しのカス集団も見習ってくれへんかな?
にしてもコイツ、見た目きっしょいわ……傑君、こんなん飲み込んでたん?
呪霊の復活サイクルってどのくらいなんだろ
とりあえず負の感情を集めやすい呪霊は復活も早そう(独自設定)
原作直哉ってどのくらい強かったら認めてくれるんだろ。乙骨にあの態度だったから全方位ドブカスかな…
まあ俺の宇宙では音が鳴るんだよ理論でうちの直哉はこうなんだよって感じで…真希真依姉妹を虐めてない時点で今更やね