心配性の実力者は今日も鍛え続ける   作:大気圏突破

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前話で大岩を繋いだグラビトン・ハンマーって小説版のGガンダムで実際にあったんですよね(なお小説版はアニメと違いゴッドガンダムは登場しません)なんならドモンは生身でシャイニングフィンガーをやります


作戦失敗

鉄のツメ(アイアンクロー)

 

 アイアンクローは相手の顔面を素手で掴んで締め上げるプロレス技で、開発者であった始祖だけに許された唯一無二の技名である。握力さえあれば誰でも可能であり掴む部位によって名称も変わる

 

胃袋(腹部)を掴む『ストマッククロー』

肩を締め上げる『ショルダークロー』

相手の喉を潰す『コブラクロー』

 

 じゃあ女性の胸を掴んだら『バストクロー』なのか?こち亀のアニメ版で両さんが女性怪盗を捕まえるときに「バストクロー!」と叫んでいた。しかし怪盗は女ではなく女装していた男で胸は風船で割れてしまった。では魔力でブーストされ鍛えた握力で巨乳の胸を掴んだらどうなる?

 

 

 

 時を少しだけ巻き戻そう!2人の戦闘を見ていたシャマルは機会を伺っていた。これは真剣勝負ではなくシグナムを囮にした作戦である。彼から魔力を奪いヴィータのデバイスを回収する。彼女のプライドを蔑ろにする外道の策だが現状における最善の手はこれしかなかった。

 

 

「見つけた!」

 

 誠から魔力を吸い出して後は待機しているザフィーラに連絡しデバイスを回収して逃げるだけだったが………伸ばした手が強く引っ張られてしまう

 

「えっ!」

 

 咄嗟のことで反応が遅れてしまった。伸ばした先から腕が伸びてきて何かを探すように蠢いていた。そしてその手が自身に近付き大きく主張する胸に手を置くと

 

「闇の書…貰っていくぞ!」

 

 強烈な力で左胸を握り締められた

 

 

「あぁぁん!」

 

 万力のような強さで絞られるような感覚だった。自分たちの主である八神はやてにお風呂で揉まれた時とは比べものにならない痛みに襲われて苦しみ悶え泣いている。

 

 激痛に耐えながら自由の利く残った手で攻撃を加えるが更に握る力は強まってしまい

 

伸縮自在の愛(バンジーガム)!巻きつけ!」

 

 

 掴んだモノを絶対に離さない覚悟なのかシャマルの体に十字のように巻きつけた。さて考えてもらいたい、胸や体の大小があれど騎士たちも人間と同じ構造である。つまり十字に縛られるということは

 

「食い…込んで!ちょっと、あんっ!まっ」

 

 バンジーガムが股に食い込み両方の胸が変形するほど絞られた形となってしまい皮膚が鬱血し始めた。まだ亀甲縛りの方がマシだと思うシャマルに余裕なんて無かった

 

 

 

 

 

「闇の書は絶対に離さねぇ!」

 

 あんたが握っているのはシャマルの胸だよ!それでも仕方がない自分の胸を突き刺した先が見えている訳でもないし、シグナムとの戦闘で興奮していたので冷静な判断が出来なくなっている

 

 

「リンディさん早く捕捉して!」

「エイミィ!」

「やってます!誠君もう少し頑張って!」

 

 アースラの艦内では真剣勝負を邪魔したシャマルの居場所を特定する為に躍起になっていた。モニターに映る誠は歯を食いしばって胸から突き出している手首を締め上げ蒐集をさせないようにしている。

 

 

 

 

「未確認反応接近!」

「サブモニターに映して」

 

 そこに映し出されたのは仮面の男だった。少し前に誠から受けたダメージの跡はなく無防備な彼に向かって攻撃を仕掛けようとするが

 

 

「ディバインバスター!」

 

 上空から桜色の砲撃魔法が2人の間に放たれ仮面の男は舌打ちをしながら後退をする。しかしその先には

 

【Haken Slash】

 

 黒のマントを身に纏い、金色の魔力で形成された鎌で命を刈り取ろうとするが片手で防がれてしまう。だが力で押し切ると仮面の男は地上に叩き落された

 

 

「間に合った!」

「大丈夫ロクゴウ君?」

 

 バリアジャケットを身に纏った2人の魔法少女が天から舞い降りた。それはカートリッジシステムを搭載した新たなる姿、地の底に墜ちて敗北から蘇った相棒は彼女たちの翼となって空に戻ってきた

 

レイジングハート・エクセリオン

バルディッシュ・アサルト

 

 2基のデバイスは後輩に向けて挨拶をするが英語の成績が悪い誠にとってジャックドールたちが何を話しているのか分からなかった

 

 

 

「もう復活してくるなんて」

「口の中に釘じゃなくて手榴弾をブチ込んでおけば」

「それはやりすぎだから」

 

 叩きつけられた仮面の男は再び突撃してくるがフェイトが前に出て対応し、残った彼女は増援や不意打ちに対応する為に誠の近くで周囲を警戒しながらアクセルシューターを放って援護射撃を行っている

 

 誠は最大出力で身体強化を行い両手に力を籠める。シグナムとの真剣勝負に水を差された怒りはあるが闇の書を奪うことが出来れば今後の自分たちに有利に働く、このチャンスを決して逃してはならないと思いながら視線は彼女に向けられていた

 

 

 

 

「……私は、なんて愚かな…ことを」

 

 シグナムは呆然と立ち尽くしていた。仲間を信じ彼との決闘に挑んだ!長らく味わうことのなかった高揚感は忘れていた感情の箱を壊され、空っぽだった心に津波のように押し寄せ満たされていった。ベルカの騎士や黒い魔導士とは違う奇抜な戦闘スタイルに心が躍ったが

 

 

「武装を棄てて投降しろ!」

 

 彼女の背後には謹慎を解かれたクロノが立っていた。自身のデバイスであるS2Uを構え捕縛出来る体勢だったが悪手だった。シグナムが戦意を喪失しているうちにバインドで拘束すれば、フェイトたちの方へ加勢するなり闇の書(実際はシャマルの胸)を握り締めている誠への援護が出来るはずだった

 

 

「うおぉぉぉぉぉ‼」

「うぐっ!」

 

 地上から大型の狼が突進し人型へ変身すると猛烈な勢いでショルダータックルをクロノにお見舞いした。周囲の警戒を怠っていた訳ではないが死角からの攻撃に反応が僅かながら遅れてしまい防御が出来ずに吹き飛ばされてしまう。そしてその先には

 

 

「えっ!ちょっとクロノく…」

 

 誠の近くで周囲を警戒していた高町なのはに直撃し、弾かれた彼女はビリヤードの玉のように守っていた彼にぶつかってしまった。落下することはなかったが集中が乱れてしまいバンジーガムが解除され掴んでいた胸から手が離れてしまう

 

 

 

「こなくそ!」

【マスター!2時の方向】

「2時ってどっち?」

【右です】

 

 フェイトの追撃から逃れた仮面の男が無防備になった彼に射撃魔法を放った。光弾は直線ではなく無秩序な軌道で飛来し時間差で迫ってくる

 

【プロテクション】

「あがっ!」

 

 正面からの攻撃は防ぐことが出来たが側面と背後からダメージを受けてしまう。それでもまだ自身の胸に右手を突き刺したままである。手を離した時点で闇の書を奪うことは出来なくなったが一糸でも報いようとする

 

 

「表紙だけでも貰っていくぞ!」

 

 力を振り絞って関節が可動出来る限界まで右手を差し込んでシャマルの鎖骨部分に手を乗せて爪を立てると下に引きちぎった。騎士甲冑が破かれ白いブラジャーが落ちて肌が露になり拘束されていた胸が”プルン”と揺れて震えていた

 

 普通なら羞恥で赤くなってしまうが彼女は『旅の鏡』を閉じて、闇の書に蓄えられていた魔力を戦場に向けて開放した

 

 クロノを吹き飛ばしたザフィーラは闇の書による攻撃が迫ることを察知し、未だに呆けているシグナムを連れて地面に突き刺さったグラーフアイゼンを回収し撤退した。仮面の男も閃光魔法を発動しフェイトたちが目を閉じている間に姿を消す

 

 

 

 

「こっちだ!」

 

 シャマルの放った攻撃が戦場に4人に襲い掛かる。誠はなのはを抱えて地上に降り立つと声に反応したフェイトたちが近づくのを確認し、地面に手をかざして『四次元マンション』の扉を作って全員を避難させる

 

「助かったの?」

「ありがとう誠!」

 

 3人の無事を確認した彼は、収容された時に触れておいたアースラの医務室に出口を作って艦内に帰還した。なお医務室で座っていた女性医師は急に現れた4人を見て腰を抜かしてしまい別のスタッフに看護されるのであった

 

 

 

 

“パンッ!”

 

 戦場から帰還したシグナムはシャマルの頬を思いっきり叩いた!吹き飛ばされた彼女は床に倒れるが誰も寄り添わない、目的だったヴィータのデバイスを奪還することに成功したが喜ぶ雰囲気になることは到底不可能だった

 

「貴様は騎士の誇りを…」

「これしか方法がなかったの、誇りだけじゃ何も出来ない」

 

 八神はやてがいたら2人のことを止めていたと思うが、戦力外になっていたヴィータが車椅子を押して遠出をしていた。帰ってくるまでまだ時間はある

 

 

「私は誠を…ベルカの歴史を……裏切って」

「…シグナム」

 

 彼女の頬に涙が伝わり床にこぼれ落ちて次第にそれは水溜りとなって足元に広がる。仲間に裏切られプライドを踏みにじられた!大局としてはシャマルの行動は正しい、あくまで目的は主を救う為であり歴史や個人の感情は二の次にすぎないが、それは今まで培ってきたものを否定してしまう

 

 

「終わってから 責や辱しめは受けるわ!それであなたの鬱憤を晴らして」

「その言葉に二言はないな!」

 

 頷いた彼女を見てシグナムは真っ赤になった目を洗い流す為に洗面所へ向かい、残されたザフィーラはシャマルの方を向く

 

 

「ありがとうザフィーラ、察して動いてくれて」

「しかし仮面の男は味方なのか?」

「分からない、でも敵だったらシグナムに攻撃していたはずだし」

 

 

 主を救う為に手段を選んでいる時間は無い、しかし立ちはだかる少年少女は新たな力を得て迫ってくる。焦りや苛立ちは目的を見失い視野を狭くさせてしまう。痣が残った痛む胸を押さえシャマルは不安に押し潰されそうになる

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい」

 

 エイミィは全員の前で頭を下げた。2人の勝負に割り込んできたシャマルを捕捉することが出来なかった。戦場で年下の子供たちが頑張っていたのに不甲斐ない己の無力に涙を流す

 

「何故手を離した?もっと長く掴んでいたらエイミィが」

「そっちが突っ込んでこなければ離さなかったよ、リンディさんこれを調べることって出来ますか?」

 

 誠は握っていた薄い緑色の騎士甲冑の断片を彼女に手渡した。本人は闇の書だと思っていたが別物だったことに怒りを露にし床を殴りつけた

 

 向こうを信じた結果デバイスを奪還され闇の書に関する手掛かりを得ることが出来なかった。今回の出来事で良いところをあげるとすれば、新造で取り付けたカートリッジシステムの稼働データの取得と彼がシグナムと互角に戦えることが分かったことだ!少しでもプラス思考に切り替えないとやってられない

 

 

「デバイスに発信機は?」

「それも取り除かれている」

 

 結局のところ振り出しに戻っただけである。神出鬼没の騎士が現れ追いつこうとしたら逃げられる。闇の書が完成するまで負け続ける鬼ごっこが続く、騎士たちの拠点が分かれば叩くことも出来るが場所が分からない

 

 

「なのはさんたちは地球に戻ってちょうだい!あとは私たちがやるわ」

「でも…」

「休むのも重要なことだから」

 

 リンディに促され就寝用の個室に戻った誠は机の上に置かれた牛丼に手を付けずに目を閉じるが眠気はやってこない

 

【寝れないのですか?】

「俺のやったことは間違っていたのかな?」

【結果は最悪ですがマスターは最善を尽くしました。それを他者が罵り否定するなら私が殴りにいきます!】

「ありがとうジャックさん」

 

 相棒に慰められホッとした彼の下に高町なのはから通信が届く、どうやら地球に戻っても休むことは出来なくなりそうだ




なお誠は自分が最後までシャマルの胸を掴んでいることは知らかったのである。

力技でシャマル手を折り曲げていたので蒐集はされていません

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