心配性の実力者は今日も鍛え続ける   作:大気圏突破

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アッパーする時は状況確認を怠らない

「金属と木製バットに釘もいるよな」

 

 ドンキとホームセンター巡りながら誠は必要なモノを揃えていった。もし自分を攻撃してくる相手が格上だった場合も備えて足止めや逃げる手段についても考えをまとめている。『四次元マンション』を発動すれば問題ないと思っていたが壁や地面の存在が必要であり、水辺や空中で襲われたら逃げることが出来ないのだ

 

 

「(っん?なんだこれ)」

 

 部屋で木製バットに釘を打ち込んでいるとフローリングの片隅に水色の宝石のようなモノが2個落ちていた。それを拾い上げて電灯の光を当てるとキラキラと輝いて目が奪われるように魅了されるような感じに陥った

 

「(女児向けの玩具の付属品かな?俺の前に住んでいた人の忘れ物かもしれないし、届けるのも無理だし図工で使わせてもらおう)」

 

 

 それを小物入れに放り込むと、彼はゴム手袋とゴーグルに鼻栓を装着し今度はゴムボールの中に水で溶いたキャロライナリーパーとデスソースを注いで布テープで塞ぐ、自己防衛にしては過剰かもしれないが生命を守る為ならしょうがない

 

 

「(実力が無いと死ぬって異次元から人外魔境なモンスターでもやってくるのかな?プリキュアみたいに別世界の奴等が地球を攻めてくるのか?」

 

 

 もうすぐゴールデンウイークに突入するが未だに襲われてはいない、序盤に敵に襲われて隠された実力を発揮するのが物語のテンプレートだが都合の良いことは起こらない。別に襲撃されないのであれば平和に人生を全う出来るので万々歳だ!いっそのこと恭也に弟子入りして武道の心得を学んだらスタントマンやスーツアクターでも目指す未来もアリだと考えている

 

 

 

「くれるんですか?」

「あぁ俺が子供の頃に使っていた木刀だ!」

「結構年季が入ってますね」

 

 布に包まれた木刀を手に取って感触を確かめるように素振りを繰り返す

 

「父さんから俺が継いで美由希も使っていた」

「それじゃあ…俺じゃなくて」

 

 云わば高町家の歴史と伝統が込められた木刀をトレーニングで顔を合わせる自分に渡すのは筋が通らない、普通に考えれば末っ子の妹に受け継がせるのが妥当である

 

「なのはには才能が無い!それに嫌がることはさせたくない」

「妹思いですね」

 

 シスコンと言いそうになったが喉で止まってくれた。なにせ恭也の両親が営む『翠屋』では毎日のように熱々の夫婦愛が繰り広げられブラックコーヒーが甘くなってしまうクレームが届いている。そんな両親の下で育てば自ずとシスコン寄りになるのは間違いない

 

 

「それではありがたく頂戴します」

「そんなに畏まらなくてもいい、埃を被らせておくより使ってくれた方がこいつも喜ぶ」

 

 

 その後は2人でトレーニングに励み6時前に解散となった。恭也が見えなくなるのを確認したら地面に手をかざしてマンションの入口を作って木刀を部屋の中に入れた

 

 

「(なのはの体育の成績悪いもんな、跳び箱に突撃するのは運動音痴にしても酷すぎる)」

 

 少し前に体力測定が行われたが彼女の成績は極端に悪かった

 

・ボール投げ―――地面に思いっきり叩きつけてしまい50センチ

・50メートル走―――出遅れスタミナ切れで12.7秒

・走り幅跳び―――飛ばずに砂場を走る

・反復横跳び―――途中でつまづいて転倒

 

 

 馬は血統・人は環境という言葉があるが兄と妹でここまで差がついてしまうのか疑問だった。他人のことを心配するよりも早く帰って登校の準備をしようと足に力を入れて駆けだそうとする

 

 

「(ん?これって部屋に落ちてたヤツだよな?なんでこんなところに?)」

 

 1歩目を踏み出した瞬間に足裏から違和感が伝わり、犬の糞を踏んでしまったと思っていたが恐る恐る調べてみると自身の部屋にあった水色の宝石だった

 

 拾い上げて服の端で汚れている部分を拭いて眺めている。もしかするとグリコの玩具のようにオマケでお菓子に付属するモノだと考えていた誠はポケットの中に入れてしまった

 

 

 

「あっ!米がねぇ」

 

 授業が終わりクラスメイトたちはグループを作って放課後の楽しみを満喫していた。しかし彼はジャージに着替えてランニングをするつもりだったが米の蓄えが尽きていることに気付く

 

 

「仕方がない」

 

 今日はオフロードコースを走るつもりだったがルートを変更する。荷物が重くなろうが『四次元マンション』の中に入れてしまえば手ぶらで帰ることが出来る

 

 手首に心拍計を装着して遠く離れたスーパーまで駆け出す。成長力∞のスキルは体力や心肺機能の向上に一役買ってる。1歩ずつだが着実に結果が目に見えてくるのは精神的にも嬉しいものだ

 

 

 

「値上げがきつい」

 

 1人暮らしなので消費するペースは少ないが値上がりするのは辛い、板チョコなんて200円を超える値段となってしまい気軽に食べれなくなっている。彼のテンションと同じように夕陽が沈んで星たちが出勤のタイムカード打刻をしていたので身体強化魔法を使って早く帰宅しようとした瞬間

 

 

 

 

「なんでアンタからジュエルシードの反応がするんだい?」

「えっ?」

 

 素っ頓狂な声をあげた瞬間に顔面を殴られてゴミ捨て場に叩きつけられた。体勢を整えようとするが脳を揺らされてしまい視界がグワングワンしてしまい、相手を真っ直ぐに捉えることが出来ない

 

 

「まぁいいや、さっさと渡しな!」

 

 その女性はヘソが見える大胆なファッションでオレンジ色のロングヘアをなびかせて右手を伸ばしてくるが、誠の目は彼女の1点に注目していた。

 

「(巨乳だ!)」

 

 近づいてくる度に大きな胸部装甲が揺れている。しかも目を凝らすと胸を隠している衣服に小さな突起のようなものが見えた。顔を拭うフリをしてバストサイズを改めて確認した

 

 

「私とやろうってのか?それじゃあガブっといくよって………!」

 

 彼女の目が細まり赤い舌がチロリと唇を舐めた。どうやら臨戦態勢をとっていると勘違いしているようだ

 

 

「あの白い子以外にも魔導士がいたなんて…あんたもアイツの仲間か?」

「白い子?」

 

 何を言っているのか分からない。『魔導士』とはいったい?しかも口ぶりから自分以外にも魔法を扱える存在がいることを示唆している

 

 

「そんなことどうでもいいか……」

「ちょっと待っ……!」

「待たないよ!」

 

 ショルダータックルで突っ込んでくる。当たったらひとたまりもないカウンターを仕掛けようとしてもパワー負けしてしまうのが目に見えて分かる

 

 

「コイツちょこまかと…さっさとやられな!」

 

 タックルを躱すが犬歯のように鋭い爪の連続ラッシュに襲われている。身体強化魔法を使って直撃を避けているがジャージには爪痕が次第に刻まれていく、身長差のおかげで彼女の攻撃は基本チョッピング系が主体となるので軌道はある程度読むことが出来るがダメージは0ではない

 

 

「(このボインちゃんが神様言ってた敵)」

 

 四次元マンション内に逃げ込もうとするが隙がない、常に距離を詰められてしまい武器を取り出すことも不可能である。勝つことではなく逃げることを最優先に考えているが身体強化で使っている魔力が切れた瞬間にゲームオーバーが確定する

 

 

「このっ!」

 

 大振り左フックが側頭部を襲うが身を屈めて中腰の体勢になる。勢い余って彼女はバランスを崩し体勢がよろけてしまう

 

「(好機!)」

 

 身体強化を解除し両足と右手に全魔力を集中させる。ボクシングスーパーウェルター級の統一王者が披露した必殺技の蛙飛びアッパーで彼女の顎を捉えて怯んだ瞬間に四次元マンションを使って逃げる……はずだったが

 

 

”ポヨン!”

 

 

 捉えたのは顎ではなく豊満な胸だった!手の甲に伝わる柔らかい感触はマシュマロやスポンジのように弾力に優れている。胸の皮膚が波打つシーンが誠の目にスローモーションのように蠢く、いつまでも触れていたい感覚で生前に夜のお店で万札を3枚支払って触らせてもらった胸よりも温かく最高の気分だったが

 

 

「どこを触ってやがる!」

 

 突然胸をパンチされた彼女は顔を真っ赤にさせて回し蹴りを放った!直撃を受けて骨が軋み背中からブロック塀に叩きつけられた。しかし彼の顔を大仕事をやってのけた職人のように満足した笑みを浮かべている

 

 

「ジュエルシードを渡せば生かして帰すつもりだったが……八つ裂きにさせてもらうよ!」

 

 爪を立ててアスファルトを砕いて突進してくる。このまま物語が終わってしまうと思われたが既に勝負は決していた

 

 

 

 

「ばーか!」

 

 塀に叩きつけられた瞬間に『四次元マンション』を発動し中からゴムボールを投げつける。犬耳を生やした彼女は反射的に爪で切り裂いてしまい真っ赤な中身が顔面に散布されてしまった

 

 

「!#%%&%%アッaaakuギャン?っぷけん……‼!あtっつが」

 

 辛さとは痛みである。刺激物を顔面に受けたらどうなる?目・鼻・口この粘膜を伴う3か所は顔における急所でありダメージをもろに受けてしまう。辛子を入れ過ぎた納豆やワサビの付ける量を間違えた寿司を食べたときに鼻の奥がツーンとして無防備になる。もしそれがキャロライナリーパーとデスソースが混ざった液体だったらどうなる?

 

 

「‼!!っがkっくるべ、、、れびゅくくくaaa」

 

 言葉にならない声をあげ顔面を押さえて地面をのたうち回っている。そんなことをしても痛みが引くことはない、彼は金属バットを取り出してマサカリのように思いっきり振りかぶって腹にバットを叩きつける。

 

「これはオマケだ!」

 

 ゴム手袋と鼻栓をして1つの缶詰めを開封した。プシュ!という明らかに普通缶詰から発することのない音が轟く、鼻を塞いでいるのに臭いが伝わってくるような感覚に陥る。それは世界一臭い食べ物として認定された缶詰『シュールストレミング』だった

 

 マジックハンドで掴むと誠はそれを伸びている彼女の顔面に振りかけた。”ビクンッ!”と電気ショックを浴びたように体は動くが、次第に声が小さくなり動かなくなった

 

 

「勝ったのか?」

 

 巨乳にパンチをして顔を刺激物まみれにさせてニシンの缶詰の臭いで失神させた。文字で表現すると最悪だが誠は勝ってしまった

 

 

「ジュエルシードって何だよ、宝石の種って土に埋めたらダイヤモンドでも実るのか?」

 

 その質問に答える人はどこにもいない!ボロボロになった彼は『四次元マンション』の中に入るとそのまま倒れ込んでしまい動くことが出来なかった!

 




巨乳キャラにアッパーしようとしたら確実に当たりますよね

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