心配性の実力者は今日も鍛え続ける   作:大気圏突破

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シリアスな話書けるかな


ガードベント

「我は『闇の書』我が力の全てを、主の願い、そのままにッ!」

 

 自己紹介をしてくれた銀髪のセクシーなお姉さんは遠くにいる誠たちを見つめると右手をかざして広域魔法を放ってきた

 

 彼の背中には治療を受けているフェイトたちがいる。彼は舌打ちして障壁を張って攻撃を耐えていく、膝をつきたくなるような重い攻撃に精神が折れそうなるが

 

【熱くなれよ!】

 

 相棒が叱咤激励して弱気になる自分を鼓舞してくれる。消えていったシグナムから託されたんだ!倒れるのは全部終わってから布団の上にダイブすればいい

 

 

 

「なのは!」

「フェイト!」

 

 

 攻撃を耐え切ると結界を張っていたシャマルがいなくなったことで外からユーノとアルフが助っ人参戦してきた

 

「フェイト!」

「……アル…フ」

 

 使い魔の呼び掛けに彼女はゆっくりと目を開ける。今度こそ全員を『四次元マンション』の中に入れようと地面に扉を作ろうとしたが

 

 

 彼の目の前に彼女が立っていた!

 

 

「!」

 

 視線を外した訳じゃなかった。瞬きを2回している間に彼女は距離を詰めてきた。今ここでさっきと同じ広域魔法を放たれたら全員がお陀仏である。誠は彼女に抱き着いて腰に手を回し胸に顔を埋めて一気跳躍した

 

 

「あいつ……私たちの為に」

「ロクゴウ君」

 

 言葉にしなくても分かる。コイツは自分で何とかするからフェイトの治療を続けてくれ!そして逆転や解決の糸口を見つけてくれ!時間を稼いでいるうちに早く

 

 

 

 

 

「なんのつもりだ?」

「綺麗なお姉さんがいたら抱きつくのが日本の法律だ」

 

 そんな法律あってたまるか!彼に課せられたのは治療が済むまでの囮役であり相手の手札を見極めることである

 

 

【バストは93ぐらいですかね】

「ボンッ!キュッ!ボンッ!理想的なプロポーションだ出来ればこんなところじゃなくて遊園地でクレープを食べるデートに誘いたいが」

 

 軽口を叩いているが余裕なんて無い!こうでもしないと心が折れてしまうから無理やり自分を鼓舞している。相手は再び結界を作り自分たちを檻の中に閉じ込める

 

 

「(頑張ってロクゴウ君!)」

 

 遠くからクラスメイトの念話が聞こえ応援してくれる。出来れば向こうも現在位置から離れてほしいものだ

 

 

「行くよジャックさん!」

【待ってください!結界内に魔導士以外の人が】

「取り残された?」

 

 状況は最悪な方向へドンドンと加速していく、やることが多すぎて頭痛の種が発芽してラフレシアが咲きそうになる

 

 

 

 

 

 

 月村とバニングスは立ち尽くしていた。周囲には自分たち以外に人間は存在せず遠くからは耳を塞ぎたくなるような爆音が響いてくる

 

「どうなってるの…?」

 

 彼女の問い掛けを答えてくれる人はどこにもいないそして2人が選択したのは"逃げる"ことである。走り続ければ誰かに会えるかもしれない、もしかしたら爆音の発生場所に人が集まっているかもしれない

 

「アリサちゃん」

「行こう!」

 

 2人が覚悟を決めて第一歩を踏み出した瞬間だった!空からクラスメイトがアスファルトに激突してしてきた

 

 

「いったい今度は何よ!」

「まさか……ロクゴウ君?」

 

 頭から地面に埋まっている彼に近づこうとするが今度は4人が空から降りてきた。もちろん彼女たちの知ってる

 

「なのはちゃん」

「フェイト!どうしたの?その傷」

 

「「………あ!」」

 

 

 思わぬ再会に互いに開いた口が塞がらなかった。別れる間際まで学校の制服に身を包んでいたのに、目の前にいる彼女たちは見たことない服装で杖みたいなモノを所持している

 

 今日はハロウィンじゃなくてクリスマスイブだ!サンタやトナカイのコスプレなら許容範囲だが、こんなキャラクターはアリサたちの頭の中は存在しない

 

 

【マスター!】

「マズい!広域防御!」

 

 かつて温泉宿で自分たちに声を掛けてきた女に頭を引き抜かれた彼は大声で叫ぶと全員が自分たちを守るように前に出た

 

「ちょっと…い」

「死にたくなきゃ黙ってろ!」

 

 いつもとは違う凶悪で粗暴な言葉に驚いてしまい竦んでしまった。隣にいる彼女もガタガタと震え出して顔が恐怖で引きつっている

 

 

「駄目だ間に合わない!」

伸縮自在の愛(バンジーガム)!引っ張れ」

 

 緑色の光を放つ少年の言葉と知らない単語が耳に残り目の前が光にのまれてしまった

 

 アリサは自分の人生が終演を迎えたと思ってしまった。まだ9歳で何も成し遂げていないのに、キスどころか恋愛すらしたことないのに両親に成長した自分を見てほしかったのに…こんなところで、死ん…

 

 

 

「ううっ!」

 

 死んではなかった!網膜に光が残っていたが段々と視力が戻ってくる。なのはたちが自分たちを守ってくれた!先頭では肩で息をする誠が黒い塊を投げ捨てる。他の面々も同じように安堵の表情を見せる

 

 

 

 

「うっ…、あぁ……ん」

 

 誠が投げ捨てた塊から呻き声が聞こえた。ユーノやアルフが近づくと仮面が落ちて変身が解けて猫耳と尻尾が姿を現す

 

「き………さま」

「近くにいたお前が悪い!」

 

 

 

 上空から放たれた砲撃が自分たちの展開する防御魔法よりも早く到達することを理解してしまった彼はせめて自分が壁となって時間を稼ごうとして前に出た。ほんの1秒だけでも到達が遅れれば全滅を避けることが出来る。最低だけど最悪に至ることはない

 

「……あれは」

 

 視界の端に蠢く黒い物体がのっそり動くのが見えた。それは自分が燃やした仮面の男だった。『四次元マンション』の中に入れずに捕縛もしていなかったので現場から逃げようとしていたから自分たちを守る盾になってもらった

 

【えげつないことをしますね】

「物理防御魔法D4Cとでも名付けるかな」

 

 何もせずに留まっていたら被害を受けることは無かった。積み重ねてきた悪行がここで精算されただけである

 

 

 

「まだ時間は掛かりそうか?」

「今クロノたちが調べてる」

「調べ終わった頃に全滅エンドが見え隠れしてるな」

 

 ユーノに現状を確認するが嬉しいニュースは飛び込んでこない、手負いのフェイトは戦力に組み込めないうえにアルフとユーノは力不足である

 

「ユーノたちはフェイトの回復、高町は月村たちの保護だ!」

「待って…それだと」

「即席のコンビネーションで勝てる相手じゃない、師匠たちが解決策を見つけるまで持たせれば……」

 

 決めつけられた作戦は彼女たちを戦力外として扱った。力を合わせて何とかなる御都合主義ではない!それに誰かが倒されてしまえば反応してしまい動きが止まり的になる

 

 

 

「心置きなくやらせてくれ」

「ロクゴウ君」

「こんな時ぐらい正しい名字を口にしてほしいな」

 

 振り向いて頭を下げる彼に彼女は謝罪の言葉を口にする

 

 

「誠…あれは八神はやてを依り代にしてる。闇の書から切り離すことが出来れば…それに扱う魔法は借り物だ」

「だいたい分かった!ブラウン管のテレビを直すのと同じだな」

 

 

 斜め45度で叩いても解決はしないと思うが、今は彼の軽口が頼もしく感じてしまう

 

「あんた」

「バニングスこれが終わったら全員でドンチャン騒ぎのクリスマスパーティーと忘年会をやるぞ!悪夢を忘れるまで楽しい記憶で埋め尽くす」

「あんたたちのこと全部教えてもらうからね!」

 

 怖がっていたアリサを元気付けた彼は正面を向いて剣を構えると、目の前に彼女が接近し

 

「なのは!」

「フェイト!」

 

 2人の魔法少女が闇の書の中に取り込まれてしまった。史上最悪な第2ラウンドのゴングがここで鳴らされるのであった!

 

 

 

 

 

 ギル・グレアムは自室で両手を合わせて祈っていた。海鳴市に送った使い魔からの通信が途絶えこちらからの呼び掛けに答えてくれない、英雄と呼ばれた彼は様々な戦果をあげて非情な決断を下したこともあるが身内に関しては別である

 

 彼は2匹いる使い魔に指令を与えていた。『闇の書の完成』と協力者である『六合塚 誠の殺害』だった。リンディから誠の戦闘映像を見せてもらったときに絶句していた。特殊な力を使いデバイス無しで騎士と自身の教え子を圧倒した

 

 

 その映像を見てグレアムは彼が計画の支障になると信じ使い魔たちに抹殺するように伝えた

 

 

『お父様…なぜ?』

『あれは今後の脅威になる。もしかしたら管理局そのものを揺るがす存在になるかもしれない…見ただろうバリアジャケットを纏わず金属バットで騎士を退かせクロノに恥をかかせたのを?我々は平和を…恒久的な平和を作らなければならない』

 

 脅威の芽は事前に摘み取る。爆発する前に導火線を切ってしまえば爆弾は永遠に爆ぜることはない、地球では毎日多くの人間が病気や事故で亡くなる。その中に彼が加わるだけだ

 

 

『すまない·······アリア、ロッテ…辛い役目を押し付けてしまって』

『お父様』

『闇の書の悲劇をここで止めよう!私たちで終わらせましょう』

 

 外道と罵られても構わない、理解してくれる家族がいる。しかしそれは不幸という名の終点に辿り着く片道切符だったことに気付くのが遅かった

 

 

 

「早かったね」

「グレアム提督…なぜあなたが?」

 

 クロノの後ろでは武装した局員が彼に杖を向けている。彼等も向ける相手が違うのでは?と思って困惑している。なにせ目の前にいるのは管理局の英雄で気軽に会える人物ではない

 

 

「どうやって私に辿りついた?」

「彼女のことを話した翌日に襲ってきたのもありますが、僕のことを鍛えた2人の動きを忘れるほど愚かじゃありません」

「時間が無くてなりふり構わずだったから、ボロが出てしまった」

 

 誠が映像を見返していたから気付くことが出来た。そして医局の看護師を肩書きを使って脅しアリアの部屋に通してもらいカルテと負傷箇所を見て確信してしまった。彼も信じたくなかった。嘘であってほしいと願っていたが現実は非情である

 

 

「闇の書の悲劇を止める為に必要なことだった。今後の世界が平和であり続ける為に犠牲はやむを得ない!私は11年前に誓ったんだ!」

「提督知っているんですね…闇の書の永久封印の方法を」

 

 彼の言葉に深く頷いたグレアムは私見を述べた。完成する前に破壊するのではなく完成直後に凍結封印する。生きた主を閉じ込める永久的な一時停止である

 

「だから完成を阻害するアイツが邪魔だったと?」

「あの少年は異質だ!いずれ管理局や世界を脅かす害悪になるかもしれぬ。だから」

 

 クロノの目に写るのは英雄ではなかった

 

 

「闇の書の在りかの秘匿に殺人未遂、管理世界に対する環境破壊行為のほう助…まだありますが裁判で全て明らかになります」

「私を捕えてくれるのが君で良かった」

 

 大多数を救う為に小さい被害に目を瞑る。上に立つ人間のジレンマだ!全てを救うのは不可能で当事者でない外野の人間は勝手なことを口にする。彼の父親の墓前に報告するのは遅くなりそうだ

 

「ところでロッテはどうなっている?通信が途絶えて…」

「闇の書が復活し、今アイツが抑え込んでいます!僕もこれから現場へ」

「皮肉なものだ!亡き者にしようとした少年が最前線に立っているとは」

 

 彼は引き出しから1枚のカードを取り出してクロノに手渡した

 

「氷結の杖『デュランダル』だ!ロッテにも同じモノを持たせていたが、連絡がつかないということは使えない状況(・・・・・・・・)に陥ったんだろう」

「ご協力感謝します」

 

 罪人の捕縛を他の局員に任せて彼は最前線に向かう。今回の事件で人として1番の被害を受けたのは彼なのだから、せめて最後ぐらい締めたいと思っている

 

 

 

 

 

 そして海鳴市での現場では

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!」

 

”ズッガァァァン!”

 

 誠が彼女に九龍城着地(ガウロンセンドロップ)で地上に叩きつけていた

 

「(太ももがスベスベで柔らかい)」

 

 大丈夫かコイツ?

 




リーゼロッテはみんなを守るガードベントとして活躍しました

闇の書の意志ってこの時点だと「リインフォース」とは呼ばれてないのなら、なんて呼ぶ?やっぱ「闇の書の意志」なのかな?

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