少年少女たちの活躍によって『闇の書事件』は解決した。しかしそれは現地だけであり寧ろ今からが本番である。大人たちによる醜い争いだ!
まずは本局に捕えられたギル・グレアム提督に関してだが肩書きを全て剥奪された。第一級捜索指定ロストロギア「闇の書」の秘匿に加え、殺人未遂に管理世界の「アルザス地方」にて希少種のドラゴンに対しての武力行使など読み上げるだけで1日が終わりそうな罪状が並んだ
凶悪犯なら裁判無しで最上級の処分が下されるが、管理局の英雄と呼ばれたグレアムが今まで積み重ねてきた功績を踏まえれば幽閉という名の隠居扱いとなる。重傷を負ったアリアとロッテの治療とリハビリに付き添いながら余生を過ごすはずだったが
『主文、ギル・グレアム被告を第7無人世界「コキュートス」にて永久投獄とする』
生き物どころか草木すら存在しない極寒の星にて、生涯を終えるまで四方を壁だけで囲まれた部屋で過ごす。刑務作業も存在せず書籍の持ち込みも禁じられている
彼の処分を下すのが海側だけの人たちだけなら問題無かったが陸側が大いに反発した。『海』と『陸』は管理局の中で長年対立をしている。今回のことは管理外世界で『海』が解決したのだから『陸』が口を出すことは不可能だったが、彼等は事件のことを管理世界全域に発信し民意を煽った
「グレアム氏の行ったことは紛れもなく背信行為だ!もしかしたら闇の書の力を手に入れる算段があったのでは?」
「あの御老体にそんな野望が?妄想も甚だしい」
「噂ではクロノ・ハラオウン執務官が手引きをしていたという話もある。現地の民間人を脅迫したり、素質のある人物の情報を漏洩させていたみたいだ」
「あんな週刊誌のゴシップを信じるとは耄碌したか爺さんよ!」
トーク番組では有識者たちが好き勝手なことを口にする。ヘイトの感情は高まり甘い処分を下せば管理局の信頼は失墜してしまう。結局のところ陸側も介入しグレアムの永久投獄が決まった。擁護や減刑を求めたら自分たちも敵として見られてしまう
「ギル・グレアム最後に残すことは?」
起立することを許された彼は室内にいる面々に顔を向けたが誰も目を合わせてくれない
「寛大なる処分に感謝いたします。全ての責は私にあります!巷ではクロノ・ハラオウン執務官と共謀しリンカーコアを持つ者の情報を得ていたという噂がありますが断じて違います。肩書きを利用し教え子だった彼を脅迫した私だけを罰することを願います」
実はクロノにも疑いの目が向けられていた。魔力の蒐集ペースを踏まえるとグレアム以外の協力者がいるのでは?と思われ、関係の深いクロノがピックアップされた
実際のところ彼が誠のことを脅迫したりテスタロッサ親子のことをグレアムに伝えていたので嘘ではない、しかしクロノはグレアムが黒幕だということは当時知らなかった
「罪人の意見を聞き入れるとでも?」
「…ですが」
「我々としても有望株を枯らすことはしません。感謝しますよ!あなたのおかげで優秀な人材を管理局に引き込むことが出来る。私たちぐらいは愚か者の名前を覚えておきましょう」
かつて管理局の英雄と呼ばれ提督の地位まで上り詰めたギル・グレアムは、命の火が消えるまで孤独な日々を過ごすことになった。なお八神家への支援は既に第三者へ頼んであり彼女たちはこれからも家族で暮らすことが出来る
重傷の使い魔との契約は打ち切られたがリンディが引受人となり消滅を逃れているが、大火傷と誠のガードベント利用によって日常生活が困難となり車椅子生活となっている
「母さん!」
「クロノどうしたの?そんな顔をして」
事件を終えてリンディは艦長職を辞することを発表したが、後任の選定やグレアムの対処などで流れてしまい受理はされてなかったが、管理局側も放置出来る問題ではないので年内で目途をつける予定らしい
「伝えたいことがあるんだ」
「何よ改まって」
「今の職を降りようと思ってる」
息子の言葉に母は驚くことはなかった。薄々だが気付いていたのだ!
「グレアム提督は僕に向けられていた疑いの目を全部引き受けてくれた」
「なら、提督の意志を受け継ぐのが筋じゃなくて」
「それも考えた!だけど…僕は力を見誤っていた。執務官の肩書きに胡坐をかいてしまった」
「間違いは誰にでもあるわ」
思えば親子として話すことは久しくなかった。艦長と執務官という肩書きは同じ空間で1番近い場所にいるのに遠くに感じてしまうものだった
「悲劇は終わったんだ!だから今度は進まなくちゃいけない」
「進むってどこに?」
「闇の書が原因で荒廃した世界がいくつもある。人が住んでいたとしても法が存在しない」
「クロノあなた…まさか」
「もう帰ってこれないかもしれない、でもやらなくちゃいけない」
彼がやろうとしていることは過去に闇の書が暴走したことで荒れてしまった世界を立て直すこと、中には土壌が汚染され作物が育たず肺に取り込む空気ですら有毒になってしまった世界もある。管轄していたが管理局が見捨てたところも存在する
「贖罪のつもり?」
「罪滅ぼしの為にするつもりじゃない、それに母さんに忖度されていた実感もある。だから!」
否定は出来ない、実際のところ色眼鏡で見られている場面に遭遇したこともある
「覚悟は変わらないのね」
「母さんの退艦が決まるまでには動こうと思う」
「じゃあ…」
「送別会なんてやらなくていい、アイツやなのは達には人事異動って伝えてほしい、もう地球に行くこともない」
頑固なのは父親譲りなのかもしれない、あの人も決めたことに関しては強情な面もあったから似てしまったのかも
「分かりました!ただし1つだけ命令があります」
「いったい…なんの?」
「今から2人でクライドさんの墓前に報告しましょう。そして貴方の口から語りなさい!」
「はい!」
少し先の話になるがクロノの異動が決まり、彼は誰にも別れの言葉を告げずに去っていった。なお後に事情を知ったエイミィは
「私が偉くなって呼び戻してコキ使ってやるんだから!」
と言ってリンディの後を継ぐと豪語している
小5になった誠は忙しい日々を過ごしていた。フェイトたちと武装隊第四陸士訓練校で3カ月の訓練を受け卒業後は嘱託魔導士として働いている
流石に『四次元マンション』で次元間の移動は不可能だった。そこまでこの能力はチートではなかったが現場では重宝された。中間地点のあるどこでもドアは物資輸送や災害現場への派遣、救護者の保護が楽に行える。そりゃ呼ばれますよ
【お疲れのようですね】
「呼ばれる回数多くない?」
【ホストクラブならナンバー1の御指名ですよ】
フェイトやなのはと比べ管理局から呼ばれることが多い、戦闘を伴う危険な任務は殆どなく『四次元マンション』と『縮小』を活かした仕事がメインである
「やるのはいいけど移動が面倒」
【嘱託の辛いところですね】
地球から管理局や現場に向かうのがダルい、リンディさんは艦長職を退いたせいで輸送を担当してくれる局員は知らない顔の人だけど配慮をしてくれるし、艦内の女性スタッフも優しいうえに食堂のおばちゃんはオマケをくれる
「いっそのこと繰り上げない?」
【つまり小学生を卒業したら向こうに?】
地球にいるメリットが無い!なんなら修学旅行もキャンセルだった。フェイトが八つ橋を買ってきてくれたけど『生』じゃなくて『焼き』の方だった
リンディ又は彼女の後を引き継いだレティ・ロウランに後見人となってもらいミットチルダに移住する。そもそも誠は転生者なので高校卒業レベルの学力は有している。認定の資格はミットでも取得可能だ
「こっちにいても休みないじゃん」
【恭也さんたちも苛烈ですから】
嘱託の仕事がない時は高町家の道場に呼ばれバーサーカー3人との実践稽古…なのは?あいつ逃げたよ「フェイトちゃんと頑張ってくる」って、今日は久々に日曜休みで高町家も本業が忙しい時期なので休めると思ったが
「ロクゴウ君どうしたの?」
「今後の人生設計について考えていた」
月村に呼び出され家の片付けを手伝わされていた。大量に飼っている猫の飼育スペース拡大の為に物置きにあるモノを屋外に運び出すのだが、テトリスのブロックのように敷き詰められた物品を持ち運ぶのは大変なので『縮小』して『四次元マンション』の中に入れて運ぶ
「業者を呼べ!」
最初はそう言って飛んで逃亡しようとしたが、メイドさんがカウボーイの投げ縄を使って彼の足を捕まえ文字通りお縄となった。とりあえずバイト代は出してくれるので無賃金労働にはならない
「中学を卒業したら行くんだよね?」
「3年早めようと思う。こっちにいても休めないし」
「…ごめんなさい」
謝ったところで今日の休みが戻ってくる訳じゃない、とりあえずさっさと終わらせて家に帰って笑点とサザエさんを見て寝る
「アリサちゃんが聞いたら暴れそうだよね」
「この前だけど”輸送業で革命を起こすわよ”って、今すぐ踏ん切りがつきそうだよ」
喋りながら作業を続けていると携帯電話が鳴りディスプレイには『八神はやて』と記されていたが電話口はシグナムだった
「すまない、今大丈夫か?」
「どうしたんですか?なんでヤガミンじゃなくて?」
向こうにいるシグナムは落ち着いているが少し震えるような声を出していた
「主が…はやてが」
「なにかあったんですか?」
明らかに様子がおかしい彼女に2人は緊張するが
「子供を生みだしてしまった!」
日曜の午後、海鳴市の月村邸では男女の大声が鳴り響き窓ガラスがひび割れる程の被害が発生した。どうやら今日の笑点はお預けになりそうだ!
クロノ君が退場になります。もしかしたらストライカーズ編で登場するかもしれませんが分かりません
グレアムも網走監獄みたいなところで生涯を終えてもらいます。アニメを見ていたときに『ほぼお咎め無し』だったのが違和感だったので
さてヤガミンは何を生みだしたのでしょうか?
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