心配性の実力者は今日も鍛え続ける   作:大気圏突破

29 / 63
オーリスって何歳なんだろう?レジアスがストライカーズ編で54歳だったから20代中盤から30歳ぐらいになるのかな?


リアルに尻に敷かれる

 時空管理局は主に2つの組織から構成され『海』と称する次元航行部隊と誠が所属する『陸』の地上部隊に分かれている。次元航行部隊が各世界をまたに掛ける形でロストロギアの回収や魔導犯罪者の追跡・逮捕を担うのに対し、地上部隊は各管理世界そのものの治安維持を担う

 

 ぶっちゃけると地上の待遇が悪いです!次元航行部隊は管理局の花形で人と予算が集まり、地上で活躍する魔導士を金や待遇で引き抜く、当然のように地上は90年代の広島東洋カープのように戦力が目減りし運営する予算も乏しい、上の人間が陳情してもなしのつぶてである

 

 

 茶髪のショートヘアで眼鏡姿が似合う女性は頭痛が響く頭を押さえながらヒールの音を強く鳴らして歩いていた。SM俱楽部の女王様のようなキツイ顔の眉間に皺が寄って不機嫌であることをアピールしている

 

 

「(また持ってかれた)」

 

 地上で活躍していた魔導士が『海』に引き抜かれた。魔法に長けた素質を持つ者の絶対数は少ない、『陸』で育てたとしても次元航行部隊が奪っていく

 

 本局に申し立てて抗議をしても無意味で補充されるのは右も左も知らないペーペーの使えない魔導士である。1人が抜けたから1人埋めたという数字でしか物事をみてない

 

 

 

「入るわ」

「ご機嫌斜めねオーリス」

 

 管理局技術部にてデバイスの整備を担当している友人の下に訪れると、眼鏡を床に投げ捨てコーヒーメーカーの中身をコップへ注がずに一気飲みしてしまう

 

「荒れてるね。また引き抜き?」

「上の連中は地上を見下しているの!」

 

 オーリスのことを昔から知る彼女は怒りが静まるのが当分先だと熟知しているので、冷凍庫からチューペットを取り出して半分に折ると片方を投げ渡した

 

「あと数年すれば管理外世界から闇の書事件に関わった魔導士も『海』に加わる」

「『陸』には既に1人いるでしょ?」

「入ってきてくれたことに感謝するけど、ゼストが消えた今…少年に重い負担は背負い込ませたくないの」

 

 近くのソファに勢いをつけて座ると

 

 

 

「ふっぎゃ!」

 

 そこには先客がいて寝ていたのをオーリス自慢のヒップで顔を押し潰してしまった。体に掛かっていた毛布とソファの色が一緒だったので気付かなかったのだ!

 

「ごめんなさい」

「大丈夫です。美人の尻に敷かれるのは男の本望ですから」

 

 まだ眠いのか彼は目を擦って伸びをしている。制服や隊証をみると『陸』に所属していることが分かり顔をよく見ると

 

 

 

「六合塚准尉!」

 

 さっきまで話していた『陸』に所属している誠だった。彼はコップの中に残った温いコーヒーを飲み切って立ち上がるとメンテナンスを終えたデバイスを受け取った

 

「1度見た魅力的な女性の顔は忘れないのですが、初めましてですよね?」

「この人は三佐よ」

 

 その言葉を聞いた彼は制服を伸ばし襟を正して敬礼をしようとしたがオーリスは手で制した。式典などでは遠くから目撃をしたことがあるが面と向かって顔を合わせるのは初めてのことである

 

 

「(この子も引き抜かれるのかしら?)」

 

 週刊誌ではゼストの後釜として特集する記事が組まれた。彼が地上に来た経緯も父親の中将から知らされている。過度な接触は行われないと思うが本人が『海』を希望したら…

 

 

「六合塚准尉、お伺いしたいことがあります」

「なんなりと三佐殿!」

「地上の現場では何が不足していますか?知り合い(・・・・)に伝えてみたいと思いまして」

 

 返ってくる答えは明白で『全部』だ!人も予算も『海』に奪われギリギリの状態で運営している。切り返しの言葉を模索しながら彼の言葉を待っていると

 

「何もかも足りてないですね!パワードスーツみたいな装備ってないんですか?」

「パワードスーツ?」

 

 聞きなれない単語にオーリスは頭にクエスチョンマークを作って首を傾げる。その様子を見て誠は『四次元マンション』の中から映像ディスクを取り出して再生ボタンを押した

 

 

「つまり人を生体パーツとして扱うと?」

 

 

 映像の中ではメダルを使って様々な形態に変身するヒーローが映し出されていた。メダルを取り替えるときに変な歌が聞こえるが無視をする。

 

 映像を早送りすると緑と黒で着色されたロボットみたいなヒーローの腕からドリルが装着され足のキャタピラでアスファルトを破壊しながらウヴァと呼ばれる虫みたいな敵に体当たりをしている

 

 

 

「魔導士を1から育てるよりも、武装を扱える局員を鍛えた方が楽でしょ」

「状況によって武装を切り替えるってことか、スキル習得に時間を割くよりも効率的になるわね」

 

 魔法史上主義においてこの考え方は異質だった。今まで優秀な魔導士を育成・運用することで成り立っていた組織の根底を覆すものだった

 

 

「パワードスーツに関しては六合塚准尉のジャックドールのデータもありますし、予算さえ下りれば作れるかもしれませんね」

 

 1番の問題は金だった!『陸』で新規装備の開発の予算なんて管理局へ届け出をしても破られてしまうが

 

 

「カードリッジシステムの改善」

「えっ?」

 

 それは管理局にて昨今頭を悩ませる内容でカードリッジシステムで排出された薬莢のゴミ問題である。ベルカ式を扱う魔導士がバカスカ使って拾わずに放置するのでクレームが局に届いている

 

 

「そっちから予算を引っ張れば」

「災害地域への新規装備名目も使えそうね」

 

 

 やろうとしていることは手つかずになっている案件の予算を使って新規装備を作る。グレーゾーンどころかブラックに片足を突っ込んでいる。ゴミ問題に関しては『海』側が手をこまねく案件なので本局も申請を突っぱねることはできない

 

 

「持ち帰って内容を精査します。もし承認が通れば…またお願いしてもよろしいでしょうか?」

「美しい人の頼みであればどんな時でも」

 

 

 

 

 

 オーリスは発言をメモ帳にまとめると父で地上本部中将のレジアス・ゲイズにプレゼンをした。最初は絵空事と口にしていたが普段見せることのない娘の熱心なアピールに興味持った結果

 

 

「(ジャックさん…なんで俺レジアス中将に呼ばれたの?)」

【(オーリス三佐は娘さんですね)】

「(その人のお尻を顔面に受けたのか)」

【(感想は?)】

「(温かくてナイスヒップ!)」

 

 

 誠はお呼び出しされてしまった。今回のことを知らせにきた上司は顔面蒼白となり過呼吸を起こして医務室に運ばれた

 

 荘厳な部屋に通された彼は目の前にいる気難しい男性が咳払いをしたので姿勢を正して頭を下げた。この人がオーリス三佐のお父さん……彼女は母親似という訳か

 

 

「六合塚准尉!呼ばれた理由は分かっているな」

「確認の為にお聞きしてもよろしいでしょうか?伝達に齟齬があった場合…互いに恥をかきます」

 

 彼の言葉に少しムッとしたが、大事なことなので隣にいるオーリスが眼鏡を弄って今回のことを説明して2人は頷いた

 

 

「娘に提言したことを詳しく説明してもらいたい!」

 

 そう言われ彼は、レヴィと一緒に編集した特撮DVDのディスクを取り出してコンセプトや能力の説明を行い、カードリッジシステムのゴミ問題についても

 

 

「従来のカードリッジシステムが薬莢を消費する拳銃ですが、私のはビームライフルになります」

「なんだ…それは?ビーム?」

 

 誠は映像を切り替えると天パとロリコンが操縦する白いロボットと赤いロボットが宇宙で殴り合ってるシーンを中将に見せた。彼は子供のように戦闘シーンを食い入るように見つめ何度も巻き戻しをする

 

 

「単発式の薬莢型ではなく魔力を籠めたメモリー型にします」

 

 読者の方々に分かりやすく説明すると、仮面ライダーWで扱われるガイアメモリのような物体に魔力を注ぎ込んで戦闘中に必要な量を使用する。使い切ったヤツは自身で持ち帰り充填すれば再利用することができる

 

 

「可能なのか?…そんなことが」

「無い物ねだりをするより知恵を絞って新しいことを生み出す。人はそうやって進化してきました」

 

 やろうとしているのは管理局が今まで築いてきたことを覆すことになる。『海』と結託して邪魔をしてくる可能性もあるが、やらないで地上の衰退を招くよりやってみる価値はある

 

 

「オーリス、准尉とプランをまとめてくれ!私は予算を引っ張ってくる。カードリッジのゴミ問題は『海』が引き起こしたことだ、上の連中も首を横には振れない」

「了解しました」

 

 

 

 とは言っても2人は技術畑の人間ではなかった。しかし餅は餅屋という日本の諺に習い『海』と契約を打ち切られた企業の技術者を集めて特撮番組や勇者シリーズの映像を見ると全員がレジアスと同じく子供のように目をキラキラさせて画面に集中していた

 

 次元航行部隊は常に洗練された煌びやかな装備を好み民間の技術者たちを見下していた。現在ではファッションのようにデザインを重視する傾向で波に乗れなかった企業は契約を切られた

 

 

「ドリルはリボルバーナックルの技術で応用出来るな」

「足のキャタピラはこのビルドの方が使えそうじゃ」

「銃剣一体型も面白いが妖怪ボタンむしりは何者だ?」

 

 限られた予算の中で番組を見て着想を得た技術者たちは、知恵を絞ってホワイトボードに武装を書き込み電卓を叩きながら削れるところを探しながらプランを組み上げていく、誠は出動の合間を見て会議に参加し意見を交わしていった

 

 

 

試作機『コントレイル』

 

右腕装備:小型回転衝角『クロガネ』

射撃兵装:デルタマグナム

走行兵装:タンクシューズ×2

 

その他:捕縛用ワイヤーガン 瓦礫撤去クレーンアーム

 

 パワードスーツの基本構造は誠の『ジャックドール』を主体にした。近接装備である『クロガネ』はリボルバーナックルと同じ機構を用いることでコストの削減に成功、デルタマグナムは新機構であるメモリーシステムを導入し薬莢のゴミ問題を解決した

 

 移動用のタンクシューズは舗装路・悪路問わずに十分な機動力を有し、陸を移動して現場に向かう地上部隊にとってはうってつけの装備となった。またワイヤーガンは捕縛だけではなく高所に射出することで使用者を引き上げることも可能である

 

 

 

 テストは十分に行い安全に使用出来ることが証明されているがインパクトに乏しい、そこでレジアス中将は有用性を知らしめる為に次元航行部隊から選抜された魔導士と模擬戦を行うことを上層部に掛け合い了承された

 

 

 地上本部の意地と捨てられてた技術者たちのプライドの結晶は報われるのか?次回を待たれよ!

 




次元航行部隊のやってることってFA制度が始まった頃のジャイアンツのように見えてしまう。金や待遇で他球団から選手を引き抜いて戦力にしてしまう

そうなると育成面に問題が出てくると思うので今後の作中内では『海』側はそのネタを使って困らせようと思います。地上本部はパリーグの行ってきた地域密着を主体にする予定です


感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。