心配性の実力者は今日も鍛え続ける   作:大気圏突破

30 / 63
下着姿も裸としてカウントします


僕は裸だ!

 次元航行部隊で武装隊を受け持つ代表は苦虫を嚙み潰したような顔で模擬戦の様子を貧乏ゆすりをしながら観戦をしていた。地上本部が開発したパワードスーツ『コントレイル』のスペック表に目を通したときは鼻で笑い見下していた。『海』のエース級を投入して奴等の心を折ってしまおうと考えていたが上層部からストップが掛かった

 

『醜態を晒すな!』

 

 

 過剰な戦力を投入すれば周囲に対して新兵器に”恐れをなした”と見られてしまう。つまり模擬戦に起用出来るのは平均的な実力を持った一般魔導士だった。選定された魔導士も『コントレイル』のことをオモチャだと見下していたが、目の前に映る現実は悲惨であった

 

 

「くそ!なんだよ…これは」

 

 1人の隊員が仲間の援護射撃を背にしながら突撃をしてくるが、タンクシューズで加速した地上隊員のタックルを受けて後退し右腕に装着されたドリルで追撃のダメージを受けてしまう。彼女はワイヤーガンで捕えられるとアスファルトの上を引きずられバリアジャケットがボロボロに削られていく、仲間を救う為にカートリッジを起動させて薬莢を捨て去り攻撃に加わるが

 

【FULL CHARGE】

 

 機械的な音声が鳴り響き集束された魔力の弾丸を四方から受けてしまう

 

「カノンモード」

【OK】

 

 1人の隊員にガードを固めてもらっていた狙撃手がデルタマグナムを最大出力にして砲撃を放つと残存していた『海』側の面々は全滅した。相手が地上のことを見くびっていた驕りもあるが地上本部の圧勝で模擬戦が終わりメディアにも大々的に報道された

 

 

 

「局長!あれは危険です…地上本部に過度な戦力は」

黙れ!

 

 代表は難癖をつけて『コントレイル』のプランを凍結させようと近くに座っていた管理局の長に擦り寄るが局長の圧力にたじろいでしまう

 

「多少強引だがレジアス中将は戦力不足を補う計画を立案し実行した」

「ですが!」

「それに下を見てみろ、どれだけ資源を無駄にした?」

 

 模擬戦で使われたフィールドには数多くの使い捨てられたカートリッジシステムの残骸が散らばり、敗れ去った者たちは拾うこともせず悪態をついている

 

 

「カートリッジシステムのゴミ問題は以前から指摘していた。しかしそれをお前たちは放置していた。市民からの声を雑音にした結果がこれだ!」

 

 ぐうの音もでない言葉に代表は顔を真っ赤にして観戦スペースから足早と去ってしまった。それをみていたレジアスは今まで溜まっていたストレスが発散され見たこともないような笑顔を作っている

 

「レジアス中将…この計画の立案者は?」

「管理外世界から入局した六合塚准尉と娘のオーリス三佐です」

「そうか、変革の世が訪れる前触れかもな」

 

 

 その後『コントレイル』は無事に採用された。前世で社会人経験のある誠は製作に関わった企業や技術者たちを公の場で褒め称え労に報いた。『海』側とすれば自分たちが見下し切り捨てた存在に恥をかかされたので血圧は上昇しっぱなしだ

 

 年間予算の都合で一気に作ることは出来ないが少しずつだが地上本部の戦力不足を補う道が開けていった。つまり誠に掛かる負担が減る喜ばしいことだったが、空いた時間は3人娘たちが彼を独占してしまい、今までと変わることはなかった

 

 

 

 

 

「ごめん待たせた?」

「別に15分なら許容範囲だ」

 

 待ち合わせ時間に遅れたフェイト・テスタロッサはカフェの椅子に座って紅茶を注文して口の中を潤した

 

「誠の考案したメモリーシステムって凄いね」

「なら『海』でも使ってくれ、ありゃ意固地になりすぎだ」

 

 地上で作られたカートリッジシステムのゴミ問題を解決したメモリーシステムだが次元航行部隊は使用を控えている。体質の都合で合わない隊員もいるが見下していた地上の作ったシステムを使ってたまるかというガキみたいな発想で従来通りのままである

 

 結局ゴミ問題は清掃隊が結成されたが、花形の職場で誰も後片付けなんてやりたくないのが実状であり今のところは服務規律違反の懲罰として運用されている

 

 

「それはそうと合格おめでとう」

「ありがとう」

 

 フェイトは一浪したが執務官試験に合格した。実は誠にも取らせようと所属する部隊で話はあったが彼はテキストの1ページ目を開いて閉じてしまった

 

 

「クロノがいたら足止めは無かったと思う」

「どこにいるんだか、リンディさんも知らないし」

 

 彼はギル・グレアムの判決後に人事異動で姿を消した。フェイトたちは行方を追ってみたが尻尾すら掴むことが出来ずにいた

 

 

「それで何の用?」

「実は…ちょっと誠に会ってもらいたい人がいるの」

「彼氏でも出来たのか色ボケ娘」

「…ちっ、違うって!まぁ男の子だけど」

 

 野郎に男を紹介する。少なくとも穏やかな案件ではないことを理解した誠はレシートを持ってカフェを後にした

 

 

 

 

「プロジェクトFって確か師匠が行った」

「うん…アリシアの情報を使って私が生まれた技術」

 

 プレシアは1からではなく提唱されていた理論に自身が研究で培った技術を用いてフェイトを誕生させた

 

 

「モンディアル家ったら名家じゃないか」

「夫妻のご子息が亡くなって…」

「息子の死を受け入れたくなかったか、でも言っちゃあなんだが金の力を使って黙らせることだって出来ただろ?」

 

 

 命を冒涜する行為だが悪魔に魂を売って息子をクローンとして甦らせた。それがなんで管理局の施設にいるのか?

 

「多分…オリジナルと見比べてしまったんだと思う」

「見比べるって、クローンなら同一だろ何を見比べる?」

 

 息子が娘になって誕生したらビックリだが、亡くなった息子のクローンとして生まれたのなら何が違うのか?

 

 

「私とアリシアって見た目は似てるけど、利き手や性格が違うでしょ?」

「アリシアは甘えん坊だな」

「クローンが引き継ぐのは外見と記憶だけ、だからモンディアル夫妻は彼を比べてしまった」

 

 プロジェクトFは完全一致のクローンではなく、記憶を引き継いだ同じ見た目の別人が誕生する。クローンは本人だと思い込んでいるが親からすれば違う存在に見えてしまう

 

 

「引き離される時も納得してしまったのか」

「そのせいで人間不信になって」

「それで俺に何をしろと?カウンセラーじゃないぞ」

「話相手というか、きっかけがほしくて」

 

 実はシグナムやヴィータにも同じことを頼んで彼に会ってもらったが、シグナムに委縮しヴィータは態度を見てキレてしまった。明らかに人選をミスってるだろ!

 

 

「上手くいくとは思えないな」

「せっかくの休みなのにゴメン」

 

 施設を守る警備兵から敬礼を受け、2人は管理人のいる部屋に通されモニターに映る『エリオ・モンディアル』のいる部屋を見たが無惨に荒れていた

 

 寝具は切り刻まれ壁には複数の攻撃傷があり、床に散らばった玩具もボロボロに壊されている。部屋の中で唯一無事なのは彼を映しているカメラだけである

 

 

「我々もお手上げでして」

「反抗期だとしてもエグイな」

 

 過去の映像も見せてもらったが職員に対して電気変換した魔法で攻撃をしている。操作に慣れていないのか電気が四方八方に飛び散り職員がアフロヘアになった

 

 

「金八先生を呼んでも難しいぞ」

「誰なのそれ?」

 

 頭にクエスチョンマークを作るフェイトを伴って誠はエリオがいる部屋に通してもらった。当然のように入った瞬間に攻撃をしてくるが実戦経験が豊富な2人にとって避けるのは容易かった

 

 

 

「何の用ですか?」

「君と話がしてみたくて」

「話すことなんてありません」

 

 目線を合わせることなく部屋から出て行けというオーラを撒き散らし威嚇をしてくる。信じていた親に裏切られたのであれば心は荒んでしまうのは当然のことだ

 

「エリオ君、私たちと」

その名前で呼ぶな!

 

 今までとは比べ物にならない強大な攻撃を繰り出しフェイトたちに襲い掛かる。禁句を口にしてしまった彼女は顔を俯かせてしまうが

 

『(誠!僕を出して)』

「(レヴィ?)」

 

 マンションの中にいるレヴィが声を掛けてきたので壁に扉を作って彼女を部屋の中に呼び出した。壁の中から色違いのそっくりさんが現れ驚いたエリオは攻撃の手を緩める

 

 

「大変身!」

 

 小型モードから誠たちと同じ年齢の背丈になったレヴィはエリオの前に仁王立ちすると頬を強く叩いた!いきなりのことで打たれた彼やフェイトたちは呆気になってしまう

 

 

「クローンが何だ!大切なのは今からだ!」

「えっ?」

「クローンだから捨てられた?違うぞ君はオリジナルと違う生き方が出来るようになったんだ」

 

 滅茶苦茶なことだが彼女の言いたいことは分かる。今を悲観して生きるより明日に向かって歩みだせ!自分を見捨てた奴を見返してやれ、遊びを極め周囲が暗くなっても周りを明るく照らす太陽みたいな存在としてエリオの態度に思うことがあった

 

 

「そんな何も知らないくせに」

「そうだ!僕は何も知らない!エリオが何も言わないから」

「だから…その名前は!」

 

 感情的になり体内の魔力を全て電気変換したエリオは周囲に雷撃を放ちながら猛スピードで突撃してくる。2人は咄嗟にフィールド魔法で身を守ろうとするが

 

 

「来い!」

 

 何故か身に纏っていた服を脱ぎ捨て下着姿になると生身の状態でエリオの突進を受け止めた。彼は力を込めて壁に押し付けようとするが背中に手を回され抱きしめられる

 

 

「もっとぶつかって来い!エリオの言いたいことを僕たちに言え!」

「えっと」

「子供なんだ、好き勝手暴れていいぞ!僕たちが全力で受け止めてやる」

「いいんですか?」

「もちろんだ!王様やシュテルンに子分1号と一緒だ」

 

 文字通り体を張ったレヴィの言葉が通じたのか彼の態度は少しずつ軟化していった。その後はミッドチルダでフェイトと暮らすリンディが保護責任者となり年上女性3人に囲まれてエリオは第2の人生を歩みだした

 

 誠も彼と歳の近いルーテシアを紹介し2人は仲の良い友人関係となった。レヴィが隊長でルーテシアが子分1号なのでエリオは2号になる。3人で遊ぶこともあり最近のトレンドは

 

 

「もっとリズミカルに下半身の動きを意識する!」

 

 ジョジョ5部のギャングダンスを完コピしていた




スバルやギンガのデバイス「マッハ・ブリッツキャリバー」ですが原作アニメとは違うモノにするつもりです(移動用でシューズタイプですが中身を弄ります)

カートリッジシステムですが、本編だとどうやって生産しているのだろうか?2期ではシャマルが自家製で作っていたけど、自分で作って消費するものなのか生産工場的なモノがあるのかな?

工場があれば攻めてしまえばベルカ式を扱う魔導士にはマズイ出来事になるな

聖王教会って遺物管理をしていたみたいだけど性の欲望で不出のモノを出しちゃダメでしょ


感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。