心配性の実力者は今日も鍛え続ける   作:大気圏突破

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原作主人公の高町なのはが殆ど登場していないことに気付いた


楽をする為に頑張っているのに

『特務隊の大躍進!』

 

 先日発生したミッドチルダ臨海空港の大規模火災は六合塚一尉率いる特務隊の活躍によって被害を食い止めることが出来た!これだけの災害でありながら死者が存在しないのは異例のことで『コントレイル』を纏うヒーローたちに市民は釘付けである

 

 なお六合塚一尉は「隊の名前を一般公募する」と宣言し、選ばれた人には賞金と共に隊舎の特別見学ツアーが企画されて専用サイトには多くの投稿が舞い込んでいる様子だ

 

 

 

 

 15歳になった誠は武装隊からパワードスーツの新造や装備をテストする技術開発部へ異動して一尉に昇進した。また出動時には自身の部隊を率いて指揮を行っている。知らない間に肩書きが偉くなり口座に振り込まれる給与も増えたが使う暇がなく、マンションの中に住む3人の趣味代として利用されている

 

 

「鈍っていないようだな誠」

「シグナムさんも活躍は耳に入ってますよ」

「すまないワガママに付き合わせてもらって」

 

 実戦形式の訓練が積める戦闘フィールドでは互いにデバイスを展開した2人が対峙し火花を散らしている。誠はメモリーシステムを搭載した新型アームドデバイスの剣を巧みに操りながら押し込んでいく

 

【Schlange Beissen!】

 

 連結刃を飛ばして鞭のようにしならせて距離を取ってシグナムは息を整えるが誠は汗1つ掻いていなかった。出会った当初は経験の差で彼女が優勢で、数年前までは実力は拮抗していたが今では彼の勝率が高い

 

「誠ばっかりず~る~い、僕もやる!」

 

 観戦スタンドにいたレヴィがフィールドに乱入してきて誠の前に立つと彼の魔力を使って成長する。彼女の登場に観客席の面々は大いに盛り上がり黄色い声援が降り注ぐ

 

 

「お前な~」

「いくよ!」

 

 彼女は彼の頭を跳び箱のように超えると腕をクロスさせて誠の肩に乗せた

 

【スラッシャーフォーム】

 

 ジャックドールの音声と共に彼女は小型モードになると体内に入り込んで融合状態になった。別にこんなことをしなくても融合することは可能だが、レヴィ曰く”変身するならカッコ良く”と豪語している。なお別バージョンも存在する

 

 

「最初に言っておく、僕たちはか~な~り強い!」

 

 背景に電撃のエフェクトを展開しポーズを決めた

 

「勝手に体を乗っ取るな!」

「ごめんごめん…でもやらないと締まらないでしょ」

「否定はしないが」

 

 主導権を彼に戻すと呼吸を整えたシグナムが加速して踏み込んでくるのが分かったが、難なく躱して腹にカウンターを決める。拳には電気変換された魔力が宿り彼女の内側にダメージを与える。剣を振っても蝶のように舞って蜂のように突き刺す攻撃を連続で繰り出してくる

 

「っぐ!」

 

 フェイト以上の機動力に回避することが出来ず防御しても想像以上にダメージが蓄積する。誠は剣の柄を連結させるとダブル=ブレードモードに変形しシグナムに襲い掛かる

 

「相変わらず奇想天外な戦い方だ!」

「ファントムメナスはおススメだよ」

 

 

 再び距離をとって仕切り直しにするつもりだったが向こうの踏み込み速度を見誤り接近を許してしまう。喧嘩キックで無理やり引き離そうとしたが繰り出した足を取られて固くロックされ関節を逆方向に曲げられて痛みに耐えることが出来ない

 

「剣以外の近接パターンを取り入れたらどうですか?」

「私にはこれしか出来ないのでな」

 

 ロックを無理やり解除させて紫電一閃のモーションに入った刹那

 

「絶・雷神拳!」

 

 重いアッパーが顎に直撃しシグナムはKO負けとなった。手をあげて歓声に応える誠は倒れている彼女をお姫様抱っこして医務室に送り届けた

 

 融合状態なので圧倒するのは当然だがそれを差し引いても実力差が如実に表れている。成長を続ける彼のことを危険視する者も存在するが地上の英雄に対して反感を買うようなことをすれば民意に叩かれてしまう。『海』側は彼を人身御供にしてしまったことに地団駄を踏むのであった

 

 

 

「完敗だな」

「こっちは融合してましたし」

「それがなくても私は負けていた」

 

 治療を終えたシグナムの所に飲み物を持って訪れた彼はここにやって来た理由を尋ねた。暇つぶし目的ではないことは明白だ!

 

 

「向こうは動きにくくて息が詰まる」

「別にここは憩いの場じゃないですよ」

「気配りの出来る年下がいるから楽になれる」

 

 地上の最先端が集まった場所へフラっと簡単に訪れることも難しい、彼女も正式な手続きを済ませたことで門をくぐることを許された

 

「相談…いや頼み事に近いな」

「聞くだけなら」

 

 シグナムが語ってくれたのは人材育成の協力についてだった。今まで魔力に秀でて優秀な人間を青田買いし地上本部からも金や待遇で引き抜いていたツケが生じている。他球団から4番打者をかき集めた2004年のジャイアンツのように支障をきたし肥えてしまい部隊の運営に問題が発生したことで、任務の失敗件数も増加傾向となっている

 

 

「ふざけたことを口にしているのは承知の上だ」

「難しいですね。自分たちのところを優先しなければいけないのに」

 

 誠の方も人の育成に着手している。力を有する1人に頼らない組織作りを他部門と連携し彼も戦技指導者として教鞭を振うことが内定し来年には試験的に実施される予定だ!

 

 

「そっちで預かることは?」

「まず許可が下りないですし、想像以上に溝は深い」

「ならこっちに」

「今の俺を引き抜いたらドンパチが始まりますよ!」

 

 世間が注目する地上のエースとなった彼を本局に引き入れたら確実に揉める。今以上に禍根の火は燃え上がり最悪な事態に陥ることが目に見える

 

 

「すまない」

「シグナムさんが謝ることじゃないです」

 

 結局シグナムのお願いは実ることはなかった。しかし彼の意図しないところで世界の流れは着実に巻き込もうとしていることに気付くのはもう少し後のことだった

 

 

 

 

 

 

「オーリス三佐お気を確かに」

「六合塚一尉……ですが」

 

 彼女は目の前の記事を読んで直立不動で気絶していた。浮遊していた魂を掴んでオーリスを現実世界に引き戻した誠は落ち着かせているが自分が当事者だったら同じ状態に陥っていたと思う。だって記事の写真には

 

 

"エプロン姿のレジアス中将が写っていた"

 

 

 厳格な父の今まで見たことのない姿を見てしまった彼女の脳は強制シャットダウンを選択した。何故こんな珍妙な写真が掲載されているのか?端的に言ってしまえば意見を聞くために必要なことだった

 

 地上本部は少しずつだが働きやすい環境作りを推進するようになり、勤務時間の見直しやリフレッシュ休暇の取得に男性の育休などを取り入れた。また意見箱を設置し下からの陳情を聞き入れるようにした

 

 

「(似てきたな)」

 

 レジアスは働く娘の姿を見て自身の妻の姿と重ね合わせていた。管理局に勤めて40年近くなるが彼女(つま)の内助の功で仕事に打ち込むことが出来て今の地位まで上りつめた。男性で佐官以上の面々も既婚者が多い

 

「どうしたんですか?そんなにジロジロ見て」

「若い頃のアイツに似てきたと思ってな」

「母さんにですか?」

 

 娘の問い掛けに頷いた彼は思い出話を語りながら1つの答えに行きついた。それを実行する為に秘書を務める彼女ではなく腹心の部下に通信を繋いだ

 

 

 レジアスが行ったのは自身の妻を伴って男性佐官の伴侶たちの懇親会に出席し、彼女たちの意見を聞き入れることだった。現場に出勤する男だと待遇面に関する要望が多く意見箱に投函される内容が似たり寄ったりだが、彼等を夫に持つ女性たちなら多角的な視点で物事を捉えるのでは?と考えていた

 

・子供の行事に参加出来ない

・帰ってくる度にやつれている

・休みが取れたとしても部屋籠って仕事をしている

 

 

 現場に限らず家庭にも悲鳴は存在した。多忙だったレジアスも1度だけ時間の隙間を見つけてオーリスの参観会に顔を出したことがあり、その時に驚き恥ずかしながら笑っていた娘の姿は今も心の中に残っている

 

 寝ている彼女を抱き上げたときに重くなっていて腰を痛め成長したことを実感したが、それは結果であり過程ではなかった。親にとって子供の成長は楽しみなのに機会を奪っていた。これからを生きる者に自身のような末路を辿ってほしくないと思い行動に移った

 

 なお何故エプロン姿の写真なのかというと彼の奥さんが直前に着させたのである。強面な中将も家庭という名の戦場を生き抜いた奥さんには弱かったのだ

 

 

 

 

 

 

「失礼します!」

「掛けてくれ」

 

 地上本部の働き方改革が推し進められ2年半が経過した。誠が立案となったパワードスーツも新型がロールアウトし名称を一般公募した結果『サリオス』と決まり『コントレイル』の初期型は訓練用として使用されている

 

「八神はやて二等陸佐のことは知っているな」

「同じ釜の飯を食った仲ですので」

 

 レジアス中将に呼ばれた誠は形式的な挨拶を済ませ、ソファに腰を掛けるとオーリスがカップに注いだ飲み物を出してくれた

 

「少し前の会議で奴が新部隊の設立を提言してきた」

「中身は?」

 

 深い溜息を吐きながら口にしてくれた頭痛の種からラフレシアが満開に咲き誇る内容で、ロストロギア及びレリック関連を扱う独立性を有した少数精鋭の部隊と災害・事件が発生した場合の対応が盛り込まれた内容だった

 

 

「レリックに関しては未着手ですが、災害対応は賄えているはずでは?」

「向こうは現状では不十分だと思い込んでいる」

 

 

 それはスーツの開発をしながら地上で働く局員への指導を行ってきた彼にとって屈辱的なことだった。犯罪率は減少し災害現場への派遣も迅速に動けるようになったのに…これを不十分と言うのか

 

 

「八神二佐の後ろには聖王教会や三提督が控えている。設立を止めることは不可能に近い」

「何故このことを?彼女とは親交はありますが」

「今回のことは特例で設立される部隊に監視官をつけることになった。六合塚一尉にはその任を受け持ってもらう」

 

 地上の管轄に『海』の部隊を設立する。こちら側に対して中指を突き立てる行為であり『陸』側は良い顔はしない監視の目をつけるのは当然だが何故自分に?身内に近い存在で裁定を甘くして手心を加えると思わないのか?

 

 

「一尉には新部隊に所属してもらう。小娘が正しく運用(・・・・・・)を行うことができるか見極めてほしい、そして能力限定の出力リミッターは設けない!この意味が分かるな?」

 

 部隊毎に保有できる魔力ランクの総計規模が決まっている。地上の場合Cランク持ちが大多数を占めるので余裕がありSS+の彼に制限を設けることは無い、このことを利用して誠に模擬戦を挑み自身の実力を確かめる魔導士もいる

 

 

「了解しました!部隊の長としての力量を見極める監視官の任務を拝命いたします」

「そう堅くなるな…別に揚げ足取りをしなくてもよい、正しい行いをしているのであれば適正な評価を下せ」

 

 

 新部隊の設立は新暦75年になる。それまでに後任探しや仕事の引継ぎなどを行わなければならない、楽をする為に頑張っているのに中々上手くいかないものである




レヴィとのユニゾンは3人の中で1番相性が良く戦闘力が1番向上しますが、良すぎるせいで融合事故が起きやすくなります

地上本部が段々と働きやすい職場になりつつある。『海』がZガンダムのティターンズのようになっている気がする。レジアス中将がアニメとは全然違うキャラになっているな(なお奥さんの設定は今作独自です)

機動六課の設立に声が掛からなかったのは地上本部との軋轢によるもので、教会や三提督の印籠を使えば無理やり引き抜くことも出来ましたが今以上に敵を作ることになります。シグナムの勧誘が上手くいっていたらなし崩し的に引き込む算段でした


感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます

月曜から朝勤務なので昼更新ではなく夜更新となりますので

高松宮記念は頑張れペアポルックスとリンダリンダ岩田
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