レジアス中将の…いや地上本部の総意で八神はやてが設立した機動六課へ配属されたタイミングで誠は三佐の地位になった。当人は一尉でもよかったが周りが許さなかった。彼女たちより3年早く入局し結果を出してきたのに階級が低いのはおかしいと言われていた
一説には昇進試験で『高町なのは』『八神はやて』と名前を書くだけで合格すると陰でコソコソ噂されていた。無論彼女たちも頑張ってきたが活躍の度合いを比べると薄いモノである
「強引にもほどがある」
【特別扱いだとしてもやりすぎですね】
部隊の後見人にはカリム・グラシア、リンディ・ハラオウン、レティ・ロウランが名前が並び、非公式ながら伝説の三提督も関わっている。なお後見人はリミッター解除の権限が与えられ隊長・副隊長に施された制限を解き放つことができる
「せめて陸の関係者を入れないと」
【お友達内閣って基本失敗しますよ】
『(子鴉は何を企んでおる?)』
「素直に答えてくれるとは思えないな」
彼を乗せた車は目的地までの道のりを安全速度で走り続けている。佐官以上になると移動用の車を用意してくれるが誠は好まない、今回は建前として使っている
「4人のうち3人も知り合いとは」
【ルーちゃんが来るとは意外でしたね】
「ゲンヤさん酒の量が増えて尿酸値が12を超えたって」
この部隊では新人育成も行うのだが隊長・副隊長は長年親しんだ顔が並び、フォワード陣もスバル、エリオ、ルーテシアの3人が加入していた
『(子分たち強くなったかな)』
これから強くなるはずだ!そしてランスターと記された女の子を見て喉に魚の小骨が刺さったような感覚に陥るのであった
「古代遺物管理部、機動六課に配属になりました六合塚誠です」
「古代遺物管理部、機動六課隊長の八神はやてです。着任を確認しました」
着任の挨拶を終えて互いに握手を交わすが、彼女が設立前に発した"災害対応に不十分"という言葉に怒りを抱いていた。地上でやってきた努力を踏みにじる発言に対して問い詰めてやろうと思うが今はやめておく
「今なのはちゃんが新人たちの訓練を見とるんや」
「こっちに映像を回せる?」
「ちょっと待っててや」
訓練用のフィールドにはレリックを狙う敵であるガジェットドローンと模擬戦を行うスバルたちが映し出されていた。AMF『アンチマギリングフィールド』魔力結合・魔力効果発生を無効にするAAAランク魔法防御は魔導士にとって天敵である
技術部としてもAMFは頭を悩ませる問題だったが近接装備の『クロガネ』を発展させた『シロガネ』とデルタマグナムに貫通力を向上させたライフルモードを追加し対応している
「(肩にスパイクアーマーを装着させて体当たりするのはアリなのか?)」
【(原始的ですが結果が出てますね)】
モニターに映る4人は自身の個性を活かして次々と現れるガジェットたちを粉砕していく、スバルとエリオは機動力を武器にシューティングアーツと電気変換した魔力で敵を沈める
「召喚魔法か」
ルーテシアは召喚陣から鎖を出してガジェットを拘束すると別の召喚陣から炎を吹き出させ燃やし尽くす。しかし別動隊が奇襲し背後から攻撃を仕掛けようとするが
「ガリュー」
彼女を守るようにマフラーを首に巻いた人型の召喚獣が現れ、徒手空拳でガジェットたちをスクラップにしていく
「チェーンナックル」
召喚獣の右に鎖が巻かれ破壊力を増したパンチは凶悪で外壁のコンクリートを粉々にしながら主を守り続けた。彼女は補助効果のあるブースト魔法で相棒を的確にサポートする
【ルーちゃん凄いですね】
「ゲンヤさんの酒量が増えた理由がよく分かった」
なおガリューはシューティングアーツではないがクイントから格闘技を習っているので戦闘後の礼節はキチンと行っていた
「凄いやろ新人たちは」
「それなりにな」
模擬訓練が終わり新人たちは疲れたのか膝をついて疲労困憊の様子だった。口では4人のことを評価していた誠だが心の中は違っていた
「(個々の能力は平均をやや上回る程度ってところだが、スタンドプレーが目立つ…これだとチームとして機能しない)」
ルーテシアは召喚魔法を用いる魔導士のアキレス腱である防御隊員の存在を自身の召喚獣で補うことで戦力の低下を防いでいたが、残りの3人は主役を目指した戦い方をしていた
特にスターズの2人はコンビネーションと称していたが彼の目からみると『お膳立て』にすぎない、別にランスターが敵を葬る必要はないのだ!ガジェット相手に有効な攻撃手段を持つのはスバルなので彼女が戦いやすいように援護をしなければならない、最後のショットもチャージに時間がかかり”どうぞ隙だらけの私を狙ってください”という感じだ
【(ルーちゃん以外は前途多難ですね)】
「(高町たちの指導次第だな)」
長年連れ添った相棒も辛辣な言葉を述べ心の中で賛同するのであった
「にしても…監視官が誠になるなんて」
「ホンマはライトニング分隊の隊長をやってもらいたかったんよ、ほんでフェイトちゃんには別件に集中してほしかったんや」
夕陽が傾き訓練を終えた新人たちが泥だらけの体を洗い流している頃、姦しい3人は集まって顔を合わせていた
「やっぱり地上本部からロクゴウ君を引き抜くのは無理だったんだ」
「4年前に自分の部隊を持ちたいって言うたやろ?シグナムに頼んでスカウトするつもりやったけど、海と陸の溝は私が思っていたよりも深くて…」
あの時にシグナムが彼のいる技術部に赴いた表向きの理由は人材育成の協力だったが本音は違った。周囲に関係を結んでいることを周知させ外堀を埋めて取り込むつもりだった
「厄介な制限がついてしもうたけど、知らない変な人が来るより身内の方がやりやすいやろ?」
「はやてちゃん……それに制限って何?」
「そやね…追々話すわ」
綺麗になった新人たちがシャワー室から現れたので自室で書類をまとめていた誠を呼び出して、新人たちに紹介した。とはいっても4人中3人は顔見知りなのでスムーズだったが1人だけ…高町なのはが隊長を務めるスターズ分隊に所属するティアナ・ランスターだけは彼を睨むような目で見ていた
「2人とも大きくなったな」
「レヴィ隊長は元気ですか?」
「元気?」
エリオとルーテシアの声を聞いた彼女は騒ぎ立てていたので、ディアーチェの頭に角が生えそうになる前に『四次元マンション』の中から出すとエリオたちを抱きしめた。レヴィのことを初めて見るティアナは突然のことに呆然としてしまいスバルに説明を求めている
「苦しいよ」
「そんなこと言う子分にはもっと抱きしめてやる!うりうり~」
エリオの背骨からヤバイ音が聞こえてきそうだったので、誠は脳天にチョップを叩き込んで黙らせると彼女を中に放り込んで説教は2人に任せることにした
「誠さんも指導してくれるのですか?」
「それは無理だな」
「そんな~やってくださいよ~」
「隊長たちの指導も監視の対象だから俺が指導することは不可能なんだ!まぁ自主トレーニングに参加するぐらいなら問題ないが」
監視する対象は八神はやてだけではなくフェイト・テスタロッサ、高町なのはや副隊長も含まれる。別に一挙手一投足にいちゃもんをつける訳ではないが、度を過ぎた行為なら上に報告せざるを得ない
「そこは大目にみてほしいんやが」
「変なことさえしなければ問題無い…ところで何で入学式に行かなかったんだ?」
弛緩していた雰囲気を消し去るように彼の冷たい視線がフェイトに突き刺さる
「ちょっと仕事が立て込んでて…でも電話で」
「師匠が愚痴ってた!仕事を理由にすると罪悪感が薄れて次もやってしまうって」
「そうだね…時間が取れたら」
「そうやって先延ばしにしたら、″永遠のまた今度″になる」
「…うん」
じゃあ明日行ってくる!が出来ない職業である。まるで嫁を虐める姑のように彼の説教は湯冷めしたルーテシアのくしゃみが出るまで続くのであった
『機動六課レポート』
八神はやて二等陸佐が高町なのは一等空尉のことを階級ではなく「ちゃん」付けで呼称し、他の面々も上の階級の者に対してフランクな接し方で公私の区別がついていないと思われる。設立前の災害対応に不十分とあったが新人フォワードたちの動きを見る限り、六課側が不十分だと感じるばかりである
『スバル・ナカジマ』
クイント・ナカジマ氏から習ったシューティングアーツは荒削りではあるが光モノは持ち合わせている。機動力に優れているが猪突猛進であり何も考えずに突撃するので彼女を上手く操作する人物が必要である。首席卒業ではあるが彼女の世代が著しく低かった可能性も無きにしも非ず
実はルーテシアなんですが最初は別の戦闘スタイルで執筆していました。(召喚陣にパンチをして巨大化した手で攻撃を行う)
ですがシヘイ-mk2さんの感想を読んでから別のインスピレーションが浮かび全部消しました
召喚魔法で攻撃をしながら、ガリューで近接を担当してもらい彼を補助魔法でフォローしながら戦う魔導士にしました。シヘイ-mk2さんには感謝しています
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