初出動を終えた新人たちはそれぞれの課題を見つけ隊長・副隊長から指導を受けている。スバルはヴィータからの攻撃に対してバリア・シールド・フィールドを使い分けて防御の重要性についてレクチャーを受けながら体に染みこませている
「駄目だなありゃ」
【テレフォンパンチですからね】
ヴィータが大声で叫びながら攻撃しているので挙動がバレバレである。しかも基本が大振りなので足の踏み込み方や腕の動きを見れば当たる場所は分かってしまう。シグナムと交代させた方が良さそうだ
「エリオたちは……レヴィのヤツ何やってんだ?」
ライトニング分隊はフェイトの指導で障害物のあるフィールドでスフィアから放たれる攻撃を避ける訓練を行っていたがレヴィが乱入しフェイトとの鬼ごっこが始まっていた
「すごい!」
砂煙が立ち込め残像すら見えない2人の鬼ごっこを見てエリオは驚愕していた。音だけでも伝わってくる振動は彼に様々な刺激を与える
「ストラーダ2人の動きを記録して」
【OK】
達人たちの動きを見て自身に取り入れる。最初は模倣から初めていけば良いモノマネも徹底的に極めれば『芸』となる。乾いたスポンジが水を吸い込むようにエリオよ経験を吸収するのだ!
なお鬼ごっこはレヴィの勝利で終わりフェイトは四つん這いになって苦しそうに呼吸をしている。執務官はデスクワークが多いので運動不足が目に見えている
「早くなったねレヴィ」
「ヘイトが遅くなっただけだよ!ねぇもしかして太った?」
「太ってない!」
顔を赤くして同じ顔を追いかける姿は双子のじゃれ合いのように見える。しかし数分も持たずに息を切らしてしまうのはレヴィの指摘が正しいということである
モニターを高町とティアナの訓練に切り替えるとメールが届いた。調査部に頼んであった『高町なのはの教導実績』についてであり、文面を読み込んでいくと彼の眉間に皺が寄ってしまう
「新人たちはどうだ誠?」
「
「そうか、お前にも指導にあたってもらいたいが立場が許してくれないか」
シグナムは彼の隣に立ってスバルたちの映像を覗き込んでいる
「上の方に掛け合ってみましたが″模擬戦を見せる程度なら構わない″と返ってきました。とはいっても手加減をしないといけないので」
「思う存分に剣が振れないのはストレスが溜まるな」
八神はやては監視官である誠にも指導役になってほしいと思っていた。そのことを後見人である聖王教会のカリムに相談したところ三提督の耳にも入ったことで地上本部にも圧力が掛かった。それは本人にも伝わり彼に対して
『親しい仲だろ?お願いぐらい聞いてやったらどうだ?』
『器量を見せるのが男の努めだろ』
『君が頷くだけで全部解決するんだ!』
雑音が五月蠅すぎた!レジアス中将の方にも要請する″お願い″が届いていたので、結局折衷案として隊長・副隊長との模擬戦を見せることで落ち着いた。言うなれば″見て学べ″ということである
「主が言っていたのだが海鳴市でロストロギアの反応があったみたいだ」
「遠征任務ですか誰を派遣するつもりで?」
「全員だ!」
「…………はっ?」
その言葉を聞いて誠は石化してしまった。遠征に全員連れて行くってバカか?その間にミッドでレリックが発見されたらどうするつもりだ?シグナムの話では副官のグリフィスの部隊とザフィーラが残ると言ってたが、将棋の飛車・角・金・銀が喪失した戦力で全てを賄えるとは思えない、他課と連携しないといけないが六課に対して好意的な課は皆無である
「我等と来るのだろう?」
「俺の仕事舐めてませんか」
彼の仕事は監視だけではないパワードスーツの装備確認や新型製作の会議にも出席する必要がある。後任を選出しているので多忙ではないが第一人者である誠が出なければいけない会合もある。休日無しのブラック労働ではなく休日は地上本部が選出した面々が交代で送られてくる。前回はオーリスが来た
「立て込んでいるのか」
「欠席するのは無理ですね」
彼女たちと海鳴市に向かうということは月村とバニングスと接触するのが確定している。彼にとって1番会いたくない存在だ!任務と感情を天秤にかけてはいけないのだが人間だもの嫌なものは嫌である。もしもの策は残してあるので利用するしかない
「そういえば誠さんって六課所属なんですよね?」
「そうよ!する側とされる側が同じ所属になるのは異例のことなんだけど」
訓練が終わり4人座っているテーブルにいたシャーリーが答えてくれた
「じゃあ何で出動してくれないのですか?」
「そうですよ誠さんが出てくれたらガジェットなんて」
「出せない…違うわね、出せるけど出しちゃまずいの」
その言葉に4人の頭にはクエスチョンマークが浮かび彼女を見つめているが、シャーリーの表情は暗く雲っていた
八神はやてが以前口にしていた制限は誠のことに関することだった。今回の監視は彼女が適切に部隊指揮を行えるか?が1番の名目であり現状の戦力をどうやって割り振りして状況に適したことが出来るかが焦点となる
リミッターが施されていない誠を投入すれば大半のことは解決するが″無能アピールの脳筋頼みのゴリ押し″ということで彼女の評価は著しく落ちる。今後のキャリアのことを考えるとマイナスは避けなければならない
「じゃあ私たちがピンチの時も」
「裏技が1つあるの」
後見人が持つ隊長たちに課せらせたリミッター解除の権限を1つ消費すれば、評価を落とさずに誠を出撃させることが出来る。自分たちのを含め3つしかないので使いどころが肝になる
「誠君は六課の切り札でもあり地上本部のジョーカーなんや」
はやてに呼ばれた分隊長の2人は彼女から伝えられたことに困惑する
「私たちの制限解除も無暗に使えないね」
「2人の前で言いにくいんやけど、部隊を預かる身として3回の権限を全部誠君に使った方がええと思っているんや!」
「はやてちゃん」
「管理局でも極僅かしかおらんSS+…本気になればSSSランクになる存在で、私たちが束になっても引き分けに持ち込めるかどうかなんや」
単騎でも強いうえにユニゾン状態になれば更に戦闘力が上乗せされる。思い起こせば出会って10年が経過しているが互いに本気で戦ったことは無いが戦歴を考えれば向こうが格上である
「今は最悪な事態に陥らんことを願うだけや、あとな皆で海鳴市に行く日取りが決まったさかい準備しといてや」
「大丈夫…その全員で」
「私だけでも残ろうか?」
フェイトの提案に彼女は首を横に振った
「ダメや!アリシアちゃんと会わんと…それに発足から緊張続きで疲れておるし、任務ついでにちょっとした里帰りや」
「でもロクゴウ君は?」
「レティ提督に確認して日程を調べてもらったら、なんやパワードスーツの重要な会議に出んといかんみたいで、海鳴市には来れん」
里帰りでの行動を報告されるのは印象が悪くなってしまう。彼女は事前に調べて確実に誠が外せない日に里帰り出来るように予定を組んでいた
「はやて…ちょっとそれは」
「悪どいことをしとるのは分かってる。でも仕方ないんや」
今の彼は味方でありながら敵になる存在である。昔のような関係だったらこんなことをする必要はなかったのに立場や環境が違うと自身の手を汚さなければならない
「(家族総出で助けるって言うたのに最悪や)」
自分や家族を救ってくれた恩人に砂をかける行為をしてしまう己に対して、時を経て汚くなってしまったと感じてしまうのであった
『高町なのは一尉の教導実績について』
六合塚三佐から依頼された件ですが現在判明したことだけでも報告させていただきます。やはり三佐の懸念したように彼女の教導には問題がありました。教導内容に関しては一般的で基礎訓練の徹底と反復練習の積み重ねでしたが、実戦形式の応用に関しては内容がアップデートされていませんでした
昨今様々な戦略・戦術が考案されていますが彼女は自身が経験した内容をそのまま伝えていました。『未経験=知らない』であり歴代の複数の隊員に対して調査を行った結果、毎年同じことを繰り返していました
また主流だった『A』のやり方から効率的な『B』が発見されても『A』の方を教えていました。聞き取りをしたところ指摘した隊員を冷遇するような対応となり彼は荷物をまとめて故郷に帰っています。表向きは『一身上の都合により退職』となってます
任務成功率に関しても世間に公表されているのは1年間のみのデータであり、指導を受けた隊員がこなした任務内容も簡単なもので2年目以降の成功率は平均68.4%になります。どうやら『海』で印象操作を行っている様子です
高町なのは一等空尉が教導隊で教える立場になって約3年なので一概に全部悪いとは言えませんが、20歳未満で三佐よりも現場経験が不足している彼女が教える側に立っているのは変だと思います
指導を受けた者の被害状況や離職率に関しても数字のカラクリが仕組まれている可能性があると思い、精査いたしますのでお待ちください。
最後にですが無理をなさらないでください。三佐は地上本部の星であり我々の憧れです。辛いことがあれば声に出してください。六合塚三佐が思っている以上に貴方の味方はたくさんいますので頼ってください
『ルーテシア・アルピーノ・ナカジマ』
召喚魔法と仲間をサポートする補助魔法の才に秀でています。また近接戦も召喚獣がカバーしてくれるので人員を割くことなく作戦を継続出来るのは強みになります。ややマイペースでありコミュニケーション能力はやや低い模様だがエリオとの意思疎通は問題なく行われている
誠の出撃ですが、隊長たちのリミッター解除と同時に行うと権限を2つ消費してしまうので残りが1回になります。
はやて→誠出撃だと評価が落ちて
はやて→権限を持つ人に要請→誠出撃なら現状維持となります
彼の存在は禁断の果実であり目の前で黄金色に輝いていますが手を伸ばすと破滅への道に進みます
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