心配性の実力者は今日も鍛え続ける   作:大気圏突破

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グリフィス君の役職って「副官」だよな…調べたら副官って隊長指示を伝達する役目だし今作の秘書枠にはリインフォースがいる。
そもそも部隊の指揮権無いよね?「副隊長」じゃないと

機動六課って教頭先生が存在しない小学校ってこと?


責任者は責任を取るために存在する

 地上本部の会議室で投げかけられた質問に答えた八神はやてを見て海側の将官たちはワザとらしく大きな深い溜息を吐いた。そして陸側は対照的に勝ち誇ったような顔をして鼻を鳴らしている

 

「八神二佐、ここに呼ばれた理解しているかね?」

「はい、管理外世界への派遣任務中にミッドチルダにてレリック事件が発生し、そのことについて発生した被害の責任の所在についてです」

 

 いつもの関西弁ではなく標準語である。この場で口に出せるほど彼女の肝は座っていない、これ以上心証を下げるのはマズイと思ってる

 

 

「派遣任務にて主軸たちを投入したことでミッドチルダに残る戦力が低下した。100人中100人に聞いても頷くことだ!責任者の君がなんでそんな愚かな判断を下した?」

「えっと…その、確かに今回のことは派遣任務として過剰だと思いますがロストロギアの詳細も不明でして万全を期す為に必要なことでして」

 

 緊張していたせいで脳内で考えていた文章を上手く口に出すことが出来なかった。机の上に置かれたメモ帳に発言を記載しているレジアス中将の隣にいる『陸』の准将が手をあげる

 

 

「つまり二佐は他世界の為ならミッドチルダは滅んでも構わないと」

「いえ…そんなつもりは」

「違うのかね?すまないが彼女に紙とペンを持たせてくれ」

 

 査問会の発言を記録していた女性局員が立ち上がって准将から言われたことを実行した

 

 

 

「その紙に今回の出来事を4つぐらいの項目にして書いてみたまえ」

「…はい」

 

・ロストロギアの反応があった第97管理外世界へ主力メンバーを派遣

・ミッドチルダの戦力が著しく落ちる

・ミッドチルダにてレリック事件が発生したが六課で対応出来なかった

・第17精鋭部隊によってレリックを確保

 

「自身の行いを理解してくれたかな?」

「…はい」

「機動六課はレリックに対応する為の部隊だ!君はそこの長であり任務を遂行しなければならない、なのに今回解決したのは17部隊の者たちだ」

 

 4つ目の項目を書いているときには手が震えてしまいミミズが這ったような字になってしまった。しかし自分たちは常に受け身で動かなければならないのだ

 

 

「これは例えばの話だが、後見人の権限を使って六合塚三佐の出動を事前に頼めば良かったのでは?ガジェットが出てこなかったら無駄に1つ消費することにはなるが任務の遂行や隊員たちを預かる立場なら真っ先に考えることだと思うが」

 

 予約出動は頼んだ時点で権限を1つ行使してしまう。頼んだけど何も起きなかったからチャラということにはならない、部隊が発足して3か月も経たない状態で虎の子の権限を使うことは出来なかった

 

 

 

「報告書では対象のロストロギアを確保したのは初日と記載してあるが間違いないのだな?」

「はい」

「撤収作業を含めれば翌日には帰還出来たと思うが」

「それは…私たちを乗せて航行してきたアースラのエンジンが不調でして」

「ミッドチルダに通信すれば代替艦を呼ぶことも可能だったのでは?」

 

 陸の将官は提出された報告書を読み込んでいないのか次元震のことを見落としている。せめてここだけでも自分たちの行動は正しいことをアピールしたかった

 

「地球とミッドチルダ間で群発的な次元震が発生してまして通信を行うことが不可能でした」

「つまり艦の整備と通信が可能になるまで待機(・・)していたという訳でよろしいですな」

「はい!」

 

 返事をした瞬間に海の将官たちは手で顔を覆ってしまった。逆に質問をしてきた陸側の人達はほくそ笑んでいる。その様子を見て彼女は頭にクエスチョンマークを作っていた

 

 

「そうかそうか…いつでも帰れるように待機(・・)していたとは、友人宅でお茶を飲みながら談笑し遊びに出かけて、夜にバーベキューをすることを海では待機(・・)というのだね?」

 

 その言葉を聞いた瞬間に体温が一気に上昇し全身の毛穴が開いた。背中には大量の汗が生産され流れた水分が下着を濡らし座っている椅子に尻の跡がクッキリと残るレベルだ

 

 本来なら任務完了後に即帰還をしなければならないが、六課を立ち上げてから殆ど休みがなくアースラが直るまでの時間を隊員たちへの休暇にさせていた。しかし海鳴市に監視の彼は同行しなかったのに何故このことが?

 

 

「現場で隊員たちが命を張っていたのに優雅な待機ですね」

「そっ……それ…は」

「まぁ貴女たちはミッドチルダの状況を知る術が無かったのだから仕方ないのですが」

 

 今から否定するのは不可能である。さっきまで上昇していた熱が無くなり寒くないのに奥歯がガタガタと震え体温が急激に落ちていくのを感じてしまう

 

 

「八神二等陸佐の発言と提出した書類は待機と書かれ、我々の持つ報告書の内容と大きく違うのだが、どちらが正しいのかね?」

「………………………」

「答えたまえ!」

 

 

 

 はやてが地上本部の会議室でフルボッコにされている裏で、誠は技術部に顔を出して戦闘で得たトーレの着用していたスーツの調査結果に目を通していた

 

 やはりというべきか『コントレイル』『サリオス』より防御性能が高く生半可な攻撃ではびくともしない、しかもこちらの技術力ではこれと同等のモノを作るのは不可能であると技術主任のお墨付きである

 

「こんなことが出来る人物って」

【ジェイル・スカリエッティの可能性が高いですね】

 

 変態ドブカス野郎と言われ、彼氏にしたくない犯罪者2年連続1位のマッドサイエンティストの次元犯罪者で広域指名手配されている

 

「違法研究者じゃなかったらここに呼びたかった」

【スカウトしても首を縦には振ることは無いですね】

 

 天才肌というのは相応にて興味のあるなしで物事を捉えるので金や待遇では靡かない、野郎が心のときめきだけで動くから更に気持ち悪い

 

「こっちもそうだが六課がどうなるか、第0部隊の報告書を見たけど」

【擁護は出来ませんね。『待機』と『休暇』は別物ですから】

「原隊復帰の準備でもするかな」

 

 

 チャイムの音で時計を見た彼はそろそろ査問会が終ると思い、ザフィーラの為にペットショップを経由して機動六課の隊舎へ足を運ぶのであった

 

 

 

「すまない留守を全うすることが」

「ザフィーラ」

 

 医務室のベッドで横たわる彼にリインフォース以外の守護騎士たちが集結している。なのはとフェイトは今回の事後処理に追われ新人たちは自室で待機となっている

 

「あまり己を責めないことだ」

「そうだぜ!ザフィーラが頑張ってくれたから誰も死ななかった」

 

 シグナムとヴィータは落ち込む彼を慰めようとしている。それは自分たちがリフレッシュしていたことに対する罪悪感から逃れたいのかもしれない

 

 

「なぁ…六課はどうなるんだ?」

「分からない、査問会がここまで長いとなると」

「まだ帰ってきてないのか?」

 

 ドアが開くとペットショップの袋を持った誠が入ってきた。目当ての人物が帰宅していないことを確認するとザフィーラの枕元にセレブ御用達の高級ドッグフードを置いた

 

 

「てめぇ何で!」

「よせヴィータ…すまない誠」

 

 彼の顔を見て逆上して詰め寄ろうとしている彼女を制しシグナムは頭を下げた。それは不在の間にガジェットたちからレリックを守ってくれた礼の意味も込められたものであった

 

 

「誠…我々は間違っていたんだな」

「大間違いだな、ネット掲示板に『機動六課は海の組織だからミッドを守る気なんて無い』って書かれて祭り状態だ」

「全ては判断を見誤った子鴉の責任だ!」

 

 辛気臭い顔をしている彼女たちに言いたいことがあるのかディアーチェを外に出した

 

「あやつが入局してから大きな挫折を味わうことなく上ってきたのだろう。言うなれば危機意識の欠如が今回のことを招いた」

「っんだと!はやてが何も考えてないだと!」

「そもそもお前たちは子鴉の臣下ではないか、主が間違った道に足を向けたのなら正すのが役目ではないのか?」

 

 

 思考の放棄、八神はやての決定に付き従うロボットだと言われてる。破滅の道に進むのなら進言しなければならないのに誰も口を出さなかった

 

 

「それこそ権限を使ってこやつの出動を可能にしておくべきだ!それすらも言えぬとは、お主らは田んぼの案山子と同じよ」

 

 喉が渇いたのか部屋に備え付けられていたポットにインスタントのコーヒーを注いで口に含むが舌が合わず顔を顰める

 

 

 

「上に立つ者こそ臆病であるべきだ!様々な可能性を考慮して対策を講じる。それでも失敗するのであれば運が悪かったと思うしかあるまい」

「もう言わないでくれ」

「19の娘に王の椅子はまだ早かった。荒波を進む航海の経験が不足していたのが今回の結果だ」

 

 ディアーチェと長く暮らしている誠は彼女が『航海』と『後悔』をかけて上手いことを言ったと心の中でニヤニヤしていると思った

 

 

 

 

 しばらくすると査問会が終わった彼女が戻り役職者が部屋に集められた。まずはグリフィス二尉が留守を預かることが出来なかった謝罪をする

 

「謝らんでええよ、全部私の判断ミスのせいや」

「ですが…」

 

 部屋の中にいる面々にとってこんなことはどうでもよかった。誰もが1番気にしているのは

 

「はやてちゃん…それで査問会の結果は?六課はどうなるの?」

「そうやね……色々決まったんよ」

 

 

 

 機動六課は引き続き存続されることが決まった。試験的に設立された実験部隊で問題が起きれば解体する流れが通例で、最低でも八神はやての解任の声が強かったが老人会の面々が介入してきた

 

『たった1度のミスで若者を吊るし上げて今後の機会を奪うのはどうか?』

『六合塚三佐の所属は六課なのだから、職務を全うしただけだ』

 

 誰もが思った老人共は八神はやてを露骨に依怙贔屓している。万全を期してミスが起きたのなら納得出来るが彼女はそれを怠った。海側としても看板に泥を塗った者に処分を下さないと示しがつかない

 

・八神はやてを二等陸佐から二等陸尉へ降格

・リンディ・ハラオウンの持つリミッター解除権限の抹消

・グリフィス・ロウランへの懲戒免職処分

・グリフィスの処分内容を非公開とする

 

 

「どうしてグリフィス君が」

「服務規律違反なんや、副官に部隊を指揮する権限は無いんや」

 

 機動六課の組織図を見れば分かるが、各分隊には副隊長は存在しているがロングアーチに副隊長は存在しない、副官のグリフィス二尉は隊長業務を補佐する立場であって部隊の指揮は行えない

 

「(これでOKを出した奴も処分されているだろうな)」

【(辺境の星へ島流しですね)】

 

 

 激甘な処分と思われるが機動六課を残したことが最大の処分となった。このことで管理局内に蔓延る『八神はやては三提督のお気に入り』の噂を完全に裏付けてしまった!4番目だが公開ではなく非公開にしたのは『部下の首を切って自分は生き残った』という新たな噂を背負い、事情を知らない局員から常に後ろ指を指される日々を送らなければならない

 

「あとなグリフィス君の後任というか、ロングアーチの副隊長を入れることになって」

 

 当然のことであり、通常なら本局から派遣されるが向こうもこんな厄介な部隊に関わりたくないということで地上本部から選抜されることになった

 

「誰が来るの?」

「俺だ!」

 

 扉を開けて入ってきたのはスバルの父親であるゲンヤ・ナカジマ三等陸佐だった

 

「八神の子守り役で赴任となった。娘のスバル共々よろしく頼む」

 

 新たな機動六課の行く末はどうなることやら?




副隊長が隊長より階級が上になる。というツッコミどころですが地上の人間で現場経験豊富でリミッター制限に引っ掛からない人で部隊指揮権を持つ原作キャラってゲンヤさんしかいない(泣)

階級が変ならあとで編集して「部隊解散後降格」にしますが、現状はこのままで

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今日は大阪杯頑張れメイショウタバル
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