桜花賞の予想しないと
「父さんが副隊長⁉」
伝説の三提督の横槍によって機動六課は存続となり、副隊長にスバル・ナカジマの父で陸上警備隊第108部隊長のゲンヤ・ナカジマ三等陸佐が就任した。当初の案では監視官の誠に兼務させようという意見もあったがベテラン局員が適任ということでゲンヤに決まった
設立当初はエース級が集う花形として紹介されたが3か月もせずに評価は垂直落下式で落ちてしまった。海側の上層部にも解散に手を上げる将官は一定数いて恥を消し去りたかったが、老人たちの有難迷惑によって残すことになった。陸としても解散で存在を無かったことにされるよりも残すことで海の連中が苦虫を嚙み潰したような顔をするのを見てストレス解消のはけ口にしていた
「テートリヒ・シュラーク!」
「紫電一閃!」
訓練フィールドでは模擬戦が行われ、誠相手にシグナム・ヴィータのタッグが攻めかかるがアイゼンの攻撃を片手で受け止めて握力で粉々にすると烈火の将にはカウンターで腹部に蹴りを突き刺し付着させたバンジーガムで引っ張り、ハンマー投げのように回転してビルに激突させた
「…まだだ!」
「終わりだよ」
”ガンッ!”
瓦礫から起き上がろうとしたシグナムの背後から一斗缶で頭部に叩き込んで意識を失ってもらうと缶を顔に被せて右ストレートで追撃し早目の就寝にさせた
「シグナム!」
タッグパートナーがやられて狼狽えるヴィータに対し、12発の射撃魔法を放って6発を自動追尾にして残りを手動で操って進路を誘導した。板野サーカスのミサイル軌道のようにランダムな動きで迫ってくる魔力弾をバリアを纏って防御したが同じ場所を寸分の狂いなく攻撃されたことでバリアが破れてしまい直撃を受けて落ちてしまった
「ストレスの溜まる模擬戦だ」
【得られるモノは無いですね】
傷どころか汗1つも流していない誠を見て新人たちは開いた口が塞がらなかった。手加減どころではない副隊長たちを敵として認識していない、見て学べというがこの戦闘を見て何を学べばいいのか分からない
「ロクゴウ君やりすぎだよ」
「これで有事の際に対処出来るのか?」
「…でもみんなで力を合わせれば」
10年前と考え方が変わっていない同級生を見て髪の毛をかき上げて溜息を吐く、ホテルアグスタで戦った彼女が今ここに現れたら確実に全滅する。今の戦闘を見ても考えを改めない彼女に隊長が務まるとは到底思わない
「全員そこに並んでくれ!」
誠が近くで見ていたスバルたち呼ぶと4人は駆け足で集合し横一列で並んだのを確認した。自主練の時に求めてくるのであればアドバイスや欠点を伝える程度のことはしてきたが、なのはが行う訓練中に呼び寄せるのは初めてのことだった
「ロクゴウ君…いったい何を?」
「そうだな一緒に並んでくれ」
首を傾げながらティアナの横に立った瞬間に彼女は胃の中のモノを地面に全て吐き出した。他の面々も同様に吐いたり奥歯をガタガタと鳴らし震え、スバルは子供のように泣き出してしまった。素手で心臓を鷲掴みされ強く握られ破裂する寸前に力を緩められる。小さいときにテレビで怖い話を見てしまって暗闇そのものに恐怖する感覚に陥ってしまう
「2秒すら持たないのか」
【やりすぎ…ではないですね】
彼がやったのは殺意を軽く上乗せして5人を威嚇しただけである。実戦に出れば敵から殺意を向けられる。それに耐えなければいけないのだ!だが目の前にいる面々は醜態をさらけ出して無残な姿を披露している
「…なんで」
「生温いことをしてたからな、お前向いてないよ」
救護班を呼ぶと5人は医務室に運ばれた。ここで心が折れても構わない無理をしてまで続けることではない、自分に合った道を進むべきだと思っている。逆に今回のことで奮起して心を燃やしてくれるのであれば手を貸すつもりだ
「すいませんでした」
八神はやてはリンディの住む家に訪れ今回の不祥事について頭を下げた。最初は通信だけで終わらせるつもりだったがゲンヤとディアーチェから叱責され菓子折りを自費で購入して向かった
「失敗は誰にでもあるわ…でも今回のことは」
「私が愚かで甘かっただけなんです」
目の前に座る彼女は六課設立とは違い絶望に侵食された顔で目の下には隈が濃く表れている。今まで大きな挫折を経験したことがなかったせいで心に大きなダメージを負っている
もし今回のことでレリックが奪われ味方側に死者がいたら立ち直ることは出来なかっただろう。最悪の事態を監視官の彼が食い止めたのだ
「ディアーチェに言われたんです」
「なんて?」
「上に立つ者こそ臆病であるべきやと」
臆病だからこそ不安になり様々なことを予測して対策を講じる。頭の片隅に小さく残ったノイズを全て片付けるまで安心することは出来ない
「私よりディアーチェが向いているんやと思います」
「確かに今のはやてさんより向いているわね」
リンディは今が彼女にとっての分水嶺だと思った。甘い言葉で包み込むのではなく傷口に塩を塗るつもりで鬼になるつもりだ!
「メンバーを集める時になんで敵を入れなかったの?」
「敵って?」
彼女が何を言ってるのか分からなかった。味方に敵を入れる?
「自身の意見を否定する存在のこと」
「でもそんな人を入れてもうたら隊の空気が悪くなって」
それは今まで仲良しクラブで育ってきた弊害だった。今まで彼女の決定に対して反対意見を述べる仲間はいなかった。守護騎士はロボットのように首を縦に振って同い年の2人も肯定してくれる。それが奇跡的に上手くいって成功してきた
誠とディアーチェたちの場合は、彼の立案に対して彼女が別の視点から意見を述べシュテルが参謀として情報をまとめる。状況によっては誠とディアーチェの立場が入れ替わり作戦を決めることもある。3年早く入局し現場で経験を積んだことで洗練されていった
「周囲が知り合いや友達ならストレスなんて存在しないわ、でもそれってただの中弛みを生むだけで成長のグラフは伸びずに停滞したままになる」
「でもそんな人…私の周りに」
「居ないのではなくて避けてきたんでしょ!」
それは錆びついてボロボロになった宝箱を開けられたような感覚だった。管理局に入ってから″この人とは合わない・同じ空気を吸いたくない″と思った人物とは気分が悪くなるから距離を取っていた
「私にも嫌な人はいる。でも好き嫌いで隊の運営をしてはいけないの!」
「…はい」
「副隊長になったナカジマ三佐から組織の長として必要なことを学びなさい、面識はないけど実直な人というのは噂で耳にしているわ」
その後もリンディのアドバイスは互いの時間が許す限り続くのであった
「六合塚監視官」
「なんだ?」
午後の訓練は中止となり模擬戦のレポートを執筆する時間として使われた。夕食もスバル以外は殆ど手がつかずサラダを食べるのがやっとだった
ティアナはスバルを一緒にトレーニング中の彼のところへ訪れた。側面に丸太を打ち込んでいた誠は手に持っていた木槌を置いて2人の方に顔を向ける
「なんであんなことをしたのですか?」
「午前中の訓練のことか」
切り株の上に腰を下ろすとスバルたちにも座ることを勧め『四次元マンション』の中から飲み物を取り出し投げ渡す
「高町のおままごとを見てイラっとした」
「おままごとって…なのはさんの訓練が?」
自分たちの隊長の訓練を″おままごと″って目の前にいる人は何を言っているのか理解できなかった。彼女の訓練を受けて自分たちは強く……強くなったはずなのに
「だってエースオブエースのなのはさんの!」
「エースオブエースって高町よりも相応しい奴なんて探せば局内にゴロゴロいるぞ、それに指導力に優れている訳じゃない」
彼の口から語られたことに驚く2人は雑誌等で報道されていることを伝えようとしたが、誠は調査部からの情報を見せた
「68.4%って…嘘ですよね?だって」
「調査部が適当な仕事をしたらクビになるぞ、今は高町の指導を受けた奴の離職率について調べているが時間が掛かっているってことは裏がありそうだな」
自分たちは垂れ流される情報を鵜呑みにしていたことに気付いた。信じている存在を否定する情報を集めようなんて基本は考えない
「それに今のままじゃアイツに倒される」
「アイツって…誠さんがホテルで戦った人物ですよね?」
「少なく見積もってもSSで、バンジーガムを耐えたのも踏まえるとSS+も考えられる。単独で現れたが組織の可能性もある」
制限がなくユニゾン状態の誠と対等に渡り合った存在である。隊長たちがリミッターを外したとしても勝てるのか怪しい、それに前回の不祥事で1回分剝奪されている。向こうが3回現れたら確実に負ける
「お前たちが勝つのは不可能だ!それだけは断言できる」
「…はい」
「落ち込むな事実なんだから、お前たちがアレから逃げれると思うか?」
2人は顎に手を当てたり腕を組んで想像してみた。相手の機動力はスバルのマッハキャリバーやエリオの突撃よりも早い、攻撃手段は手足に展開されたブレードのような羽と徒手空拳である。囮や自分たちの使える手札を総動員しても逃げ切れるビジョンが浮かばない
「無理です」
「私も」
何度も頭の中シミュレーションしても全滅する未来を想像してしまう。全員が地に伏して命を散らす姿が目に浮かぶ
「今のままじゃ無理だろ!アニメや漫画だったら俺が師匠になって2人を鍛える展開になるが、あいにくそんなことは出来ない」
「どうすればいいんですか?」
スバルの問い掛けに少し黙ると
「知らん!自分で考えろ…と言いたいが、俺は頑張ってる女の子には程々に甘いからな、ここに来れば生き残る術ぐらいは教えてやる。来る来ないは自由だ!」
木槌で地面に線を引くと彼は自主トレーニングに戻っていった。この線を飛び越えるのは本人次第である。この1歩を踏み出せるか?しかしスバルたちの覚悟は既に決まっていた
「君はどんな女性が好みだ?」
そして誠は変態と出会う
『機動六課レポート』
ゲンヤ・ナカジマ三佐の加入は問題なく受け入れられ、今のところ部隊運営について不備は見当たらない、やはり現場経験が豊富なベテラン局員を最初から組織に入れることは必要である。六課設立の人事に了承の判子を押した人の常識を疑ってしまう
高町なのは一等空尉、八神はやて二等陸尉に関してですが部隊解散後に改めて教育を施した方が良いと進言します。彼女たちは大人ではなく知識のある背が大きくなっただけの子供です。組織の在り方を今一度学べきだと思います
誠君もギリギリの範囲内なら手を貸します。そろそろVSなのはになると思います
やっぱりベテラン局員を補佐で入れておくべきなんですよね。特に八神の場合は
変態は分かりますよね?
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます