それは9歳の頃だった。まだデバイスを持たず守護騎士たちと敵対する少し前のことで高町家の道場にて美由希と打ち合いをしていた。彼女は木刀以外にも徒手空拳で攻撃をしてくるので常に想定外の動きに気を配る必要がある
「ほらほら防戦一方だよ!」
ミニスカートをヒラヒラと揺らめかし、紐パンが見えそうで見えない焦らしプレイに悶々としながら攻撃を防いでいくがジリ貧状態である
「小学生相手に本気にならないでください!」
「私を本気にさせる君がいけないんだよ!」
酷い暴論だが父と兄以外で彼女を本気にさせるのは誠しかいない、バトルジャンキーにとって彼は自分を愉しませてくれる存在なのだ!
身長差もあるので打ち合いからの力比べでは負けてしまう。手足のリーチも全然違うので拳や蹴りを繰り出すには接近しなければならないが間合いを詰めることができなかった
「私の嫌がる戦い方を考えてみな」
助言を口にした彼女を観察する為に大きく距離を開ける。弁慶の泣き所に木刀をフルスイングしたこともあるがジャンプで躱されカウンターをもらった。るろ剣の斎藤のように牙突をやってみたが叩き落されたこともある。アバンストラッシュの構えで突撃したら投げ飛ばされた
「(美由希さんの嫌なこと)」
頭からつま先まで隈なく見つめ弱点を探し出そうとしている。程よい大きさの胸、無駄肉のないウエスト、引き締まった尻を持つ眼鏡美少女にウィークポイントは……眼鏡?
眼鏡をオシャレアイテムや顔の一部という奴がいるが医療器具だ!低い視力を補ったり花粉や埃の侵入を防ぐ目的で使われる。目を保護する為の装備であり鍛えることが出来ない唯一の場所
「(やってみるか)」
姿勢を低くして短距離走のクラウチングスタートのように駆け出した。メガネっ娘が1番嫌がるのは眼鏡を穢されることであり、指に鼻の脂を付着させて自身の指紋をつけてみることにした。馬鹿げた策ではあるが理外の攻撃であり案外上手くいくかもしれない
「どんなことを見せてくれるかな?」
振り下ろされた木刀を受け流して、互いの拳が当たる距離まで近付くと彼は人差し指と中指を立てて眼鏡に向けて攻撃しようとしたが
「甘い!」
足を払われてしまい体勢が崩されてしまった。普通ならそのまま倒れてしまうのだが今回は誠の勢いが勝っていたことで2本の指の照準は下に逸れてしまい眼鏡ではなく彼女の鳩尾に深く突き刺さった
「はぅぁ!」
それはジョジョ1部でツェペリ男爵がスピードワゴンに波紋を使わせる為の施しを失敗したような状態に陥った。まさかの攻撃に美由希は鳩尾を押さえ木刀を落とし床の上に膝をついてしまった……そして
"オロロロロロロロロロロ!"
お食事中の方がいたらすいません。彼女は稽古前に食べていたシュークリームとすぎのこ村にカルパス2本が胃の中でジョグレス進化してしまいピッコロ大魔王のように口からモザイク規制がかかるものを生みだしてしまった…
「誠君…このことは絶対に言わないこと!」
「もし言ったら?」
「知りたい?」
「………………」
1時間以上掛けて雑巾とモップを使ってファブリーズも行った。ミニスカートからジャージ姿に変貌した彼女は正面に彼を座らせ口止め料1500円で今回のことを口外させない契約を結んだ!なお眼鏡への攻撃は最後の手段として普段使いしないようにと言われた
目の前いる2人はホテルで戦った彼女と同じスーツを着ていた。片方はヘリを狙撃した大型のライフルを所持し薄い白色のマントを装着していた女は両目と頭を押さえ頬が赤く腫れあがっていた
ヘリに放たれた砲撃はシュテルたち4人が食い止めてくれたことで無傷であった。誠は発射地点にいる2人のところへ突撃し眼鏡の女に向けて封印していた伝家の宝刀を抜いた
「眼鏡に指紋!」
更に秘奥義である『裸眼にも指紋!』へ移行しようとしたが融合しているディアーチェに止められてしまい、誠は両手を開いて手の甲を相手に見せるように額へ近づけ
「太陽拳‼」
超至近距離で強烈な光を浴びてしまった彼女はバルスを受けたムスカ大佐のように叫んでいた。ライフルを持っていた方も目が眩み右往左往している。彼は両手に最大限の力を込めて目の前にいる指紋付き眼鏡女に向けて往復ビンタ打ち始めた
ボクシングのデンプシーロールのように連続攻撃を受け顔が腫れあがり肥大していく、彼女の頭を掴んで膝蹴りをかまし更に頭突きで追撃する。これだけの猛攻を受けているのにも関わらず眼鏡にはヒビ1つすら入らない
背後に回って腰に腕を絡ませてクラッチし勢い良くブリッジしジャーマンスープレックスで眼鏡女の頭部をコンクリート床に叩きつけた
「誠…やりすぎだって」
「犯罪者でも女の子には優しくしないと」
ヘリの護衛をシュテルとレヴィに遅れて到着したシグナムの3人に任せた。フェイトたちが駆け付けスーツの女を包囲している。誠の息は荒くディアーチェとの融合を解除し膝をついていた。彼女は2人をバインドで拘束し連行しようとする
「ナスティベント!」
突如上空から機械化したコウモリの放ってきた超音波に彼女たちは耳を塞いでしまう。しかし手で覆ったとしても隙間を通して鼓膜に伝わってくる
「IS起動 ライドインパルス!」
知った声が聞こえ誠は眼鏡女たちを確保する為に動いたが既に2人の姿は消えていた。上空にいたコウモリの背中にはボロボロの民族衣装を着用した少女が騎乗し何も言わずに去っていく
結局今回の騒動は被疑者と思われる人物たちを取り逃すことになったがレリックの確保には成功した。地下道の面々はルーテシアの召喚したガリューによって大きな被害を受けることは無かったが敵の陣営に厄介な召喚魔導士の存在が露呈した
機動六課は事後対応に追われ隊長の八神はゲンヤを伴って関係各所に向けて説明に奔走している。彼女だけでは粗相をしでかしてしまう可能性があるので保護者として出席となった。本来なら誠も一緒に向かわないといけないのだが
「あ~んしてください」
「いや…1人で大丈夫なんだが」
「駄目ですよ、監視官の看病が私の今日の仕事なので」
スバルの姉であるギンガ・ナカジマに卵粥を食べさせてもらっていた。レヴィとシュテルの大人モードにユニゾンしての広域魔法の連発で魔力を極端に消費してしまいダウンしたのだ!とりあえず監視の任務は代打を頼んだ
他の面々も午前中は休養となり午後からのデスクワークに従事し、保護した幼女のところには高町なのはが向かっている
「母さんやスバル共々お世話になっているので恩返しさせてください」
「長い付き合いだな」
母のクイント・ナカジマを助けてから6年が経過し、同じ陸所属ということもあってナカジマ家とは良い関係である
「あの召喚士の女の子ですが」
「何か知ってるのか?」
「確信は無いのですが着ていた服に見覚えがありまして」
医務室にはリインフォース以外の守護騎士が集まっていたが表情は険しいものだった。ヴィータが地下道での映像を再生し召喚士の全体像が映し出されたところで映像を止めた
「10年前の生き残りか」
「見た目から推察すると当時は赤ん坊かお腹の中だな」
ボロボロだったが少女が纏っていたのは、10年前の蒐集で襲ったアルザス地方の少数民族『ル・ルシエ』の民族衣装だった。彼女たちは少女の復讐相手になってしまった
「はやてちゃんには黙って…」
「いや私の口から伝える。隠し通せることではない」
烈火の将は騎士たちのリーダーとして真実を語る役を買って出た!あのとき自分が1番酷いことをした。返り血を多く浴びる筆舌できない行為は時間が迫っていた主のためだったが許される行為ではない
「犯してしまった罪を受ける時が来たのかもしれない」
誠たちを襲った面々は本拠地に戻り治療を受けていた。とは言ってダメージを受けたのは白いマントを靡かせていた人物だけであり液体に満たされた回復用のカプセルが稼働している
「クアットロ」
ライフルでヘリを狙撃した茶色の長髪を薄黄色のリボンで結わえた少女はカプセルに目を向けていた。液体の中に浮かぶ眼鏡はジャーマンスープレックスの衝撃で亀裂が入ってしまったが持ち主の目を守った勇者である
「ちょっとディエチちゃん!わざとでしょ‼」
「メガネ無し姉、あ~ん」
なお持ち主はベッドの上で包帯まみれになり、同じスーツを着用しているセインと呼ばれる女の子からフォークで刺したリンゴを口に近づけてもらっているが皮を剥かず切り分けてもいなかった
「お嬢も何か食べますか?」
「いらない、先に休ませてもらう」
トーレは退却の手助けをしてくれた少女に声を掛けたが、素っ気ない態度で返されてしまうがディエチが近づいてくる
「キャロお嬢様の召喚魔法って凄いね。あれだけやって魔力持つの?」
「問題は無い、それに発動の維持コストは罪人だった爺がやってる」
「なるほど…いくら召喚してもお嬢様には関係ないのか、あんな死にぞこないでも役に立つんだ」
「お前たちも休め、後は私がやっておく」
彼女たちを見届けるとトーレは固く閉ざされた鉄の扉から聞こえる呻き声をBGMにしながら誠の戦闘映像を見てニヤニヤと笑っていた
闇堕ちキャロの召喚魔法ですが、発動するときのコスト(魔力消費)やメカ召喚獣が攻撃する時の魔力は別人(トーレの言った爺)が電池となっています。どれだけ召喚してもキャロにはダメージはありません
誠が眼鏡女にプロレス技を仕掛けたのは魔力がギリギリの状態だったので物理技で沈黙させました
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