『地上のエースを狙った凶弾』
時空管理局地上本部に勤める局員の六合塚 誠氏が拳銃で狙撃されたことが判明した。撃たれた時の状況は不明ですが放たれた3発の弾丸は彼に当たることは無かったが身を挺して守ったギンガ・ナカジマ氏の肩に直撃した。彼女の命に別状はなく犯人も取り押さえられた
高ランク魔導士を狙った犯行に管理局内は騒然とし、平時でのバリアジャケット着用が推奨されている。また禁止されている質量兵器の入手経路も不明であり犯行理由を含め事件解決に向けて慎重に捜査が進められている模様である
テレビの音量を下げた誠は病院着でベッドに座るギンガの横で果物の皮を剥いていた。皿に盛られたフルーツにフォークを刺して彼女の口に持っていくとギンガは頬を赤くしたが口を小さく開けて受け入れてくれた
「戦闘機人?」
聞き慣れない単語に彼は頭の上にクエスチョンマークを浮かべる
「私とスバルは両親と血の繋がりはありません」
「それって他人の俺が知っていい話か?」
その問い掛けに彼女は首を縦に振った。それは信頼されている証なのかもしれない、ギンガの口から語られた秘密を知った誠は腕を組んで目を閉じた
「誠さん?」
「戦闘機人だろうが戦闘民族だろうが、ギンガはギンガだろ?俺は特に気にしない」
守護騎士やエリオやフェイトといった存在が近くにいるから、偏見の目で彼女やスバルのことを区別・差別することはない、しかしよくよく考えたらミッドチルダの住民から見れば地球出身の自分は宇宙人扱いなのかもしれない
「しかしいったい誰が何で誠さんを狙って?」
「多方面から怨みを買われることをしてるからね、特に海と教会は目の敵にしてると思うし」
「しかも質量兵器の拳銃を使うなんて」
「殺傷設定の魔法ならチャージでバレる。拳銃なら引き金だけで十分だ!」
管理局入りするまで海は管理局の花形だったが、彼が地上に入って以降辛酸を舐めることが多く、教会に至ってはスキャンダルの流出に関わった人物である。これで怨まれていない方がおかしい
「しかし俺まで入院扱いになるとは、これって労災下りるのかな?」
「心配するのはそこですか?」
「いや1番の心配はギンガだよ、可愛い女の子の肌に傷をつけてしまったから」
「もう…誠さん」
再び頬が赤くなり恥ずかしくなった彼女は、手元にあったメロンと葡萄を投げつけてしまうが難なくキャッチされてしまうのであった
「そもそも何で同じ部屋なんですか?」
「警備の都合だって、気にするなら『四次元マンション』の中にいるから」
「そ…傍にいてください、1人だと寂しいので」
「外は騒がしいが俺がいれば六課に直通できるし」
病院外や隊舎近辺にマスコミが張り付いているので外出は不可能だが、誠の『四次元マンション』ならいつでも向かうことが出来る。なおスバルは五月蠅いから入室を拒否している
「六合塚三佐、あまりウロチョロされるのは困るのですが!」
「すいません」
横開きのドアが開かれオーリス三佐とレジアス中将が現れた。陸のトップの登場に2人は背筋を伸ばすが彼は手で制して楽になるように勧めた
「大丈夫のようだな!」
「彼女が守ってくれたので」
「いえ…私は、その」
少し狼狽えるギンガを見てレジアスは深々と頭を下げた
「貴官の勇気ある行動に敬意を評する。このことは改めて公の場で伝える!」
地上のトップが下っ端の隊員に頭を下げるのは異例だ!しかし使命を果たし功績をあげた者に対して報いるのは当然のことである。感化されてくれるのであればこんな頭は何度でも下げよう
「今回のことだが一通り解決した!」
「何か含みのある言い方ですね」
少し話が長くなるので、オーリスが4人分の飲み物を淹れて手渡すとレジアスは一気飲みしてお代わりを要求した
「穏便な話し合いをしたら実行犯の後ろに黒幕というか指示役がいた」
「(絶対に穏便じゃないだろ!)」
「(そうですね)」
念話で同意する2人は中将の言葉の続きを待ったが、少し躊躇っているのかカップを持つ手が震えている。もしかすると地上本部に関係する人物なのだろうか?
「指示役の名はラルゴ・キール…伝説の三提督の1人だ!」
「そういえば老人会にも嫌われてましたね…それで身柄は?まさかここでも」
「拘束していない…いや拘束することが不可能になっていた」
その言葉で誠は察してしまった。伝説の三提督の1人であるラルゴ・キールはこの世に存在しないことが、レジアスは更に詳細を述べていく
「武装隊が踏み込んだときには亡くなっていて手元には使用した拳銃が握られていた。秘匿された質量兵器も複数発見されて全て押収した。狙撃した銃もここからだろう」
「遺書の類は?」
「残してあったが読まない方がいい、お前に対する悪辣な言葉が並んでいる」
「全てをまとめると俺が邪魔だから消そうとして失敗した。そして捕まって惨めな姿を見せたくないから自ら命を絶った」
カップを破壊し立ち上がり強く拳を握り締め血が溢れだしている。久々に全身が怒りに支配されていく感覚に陥った。残った敵は2人の老人なら今日中に終わるだろう…しかし1歩を踏み出すことはしなかった
「駄目です!貴方まで畜生に堕ちないでください!」
「…ギンガ?」
足を踏み出す前に彼女が背中に抱きついて包み込むように止めてくれた。普段の彼なら振りほどくことが出来るのに力が入らない
「誠さんの手は人を助ける手です。古く老いた汚い血で穢してはいけません!」
「そうだな」
「そういったことは我々のいないところでやってくれないか?」
気まずい2人に注意され誠たちは再び座った
「今回のことは会見で発表する!外にいるマスコミ共に知らせれば当然パニックになる。全社横並びで通達しなければならない」
「既に会見日時は通達しています!あとはこちらにお任せください」
「変革の日が近いですね」
「言っておくが会見が終わるまで他言無用だ!何かがあった場合お前たちを拘束することになる」
ギロリと睨まれ2人は頷いた。六課の面々がこのことを知れば内通して動くのが目に見える。長年悩まされてきたことが解消され組織図がガラリと変わるだろう
口だけの老人と腰巾着には退場を願う。できれば穏便に手荒な真似はしたくないのだ!
「長い休暇になるかもしれない、先の身の振り方を考えておくのだな」
「それでは我々はこれで、他所の部屋には入院中の患者がいますので大きな声で騒がないようにお願いします」
誠たちに冷たい視線を向けるオーリスは礼をして父親と一緒に病室を後にした。ドアを閉める時の音が大きかったのは気のせいだと思いたい
「パパ~」
病室から『四次元マンション』を使って抜け出した誠たちは六課の隊舎に一時帰宅をしていた。ギンガの方にはゲンヤとスバルが近寄り、彼にはヴィヴィオが迫ってきたが転んでしまい泣きそうなっている
「頑張れ立つんだ!ヴィヴィオ」
レヴィが隣に立って某テニス選手のように鼓舞をしているが彼女は泣いたままだった。シュテルが助けようとするがディアーチェが止めている
「痛いよ~」
「誠のところまで歩けば冷蔵庫にあるアイスを食べてもいいぞ」
「いいの?」
「ちょっと待て!それはあたしの」
ヴィータの秘蔵する高級アイスが食べれることを知ったヴィヴィオは手足に力を込めて立ち上がり、誠のところまでゆっくり歩き抱き着くように飛び込んだ!
彼女の成長を実感した面々は頭を撫で健闘を称え、ヴィータは大号泣しながらアイスを提供するのであった
「明日の会見で何があるんや?」
「何も知らされてないよ!やるってことは事件が解決したということでしょ」
「なんでレジアス中将は2人の病室に訪れたんや?」
レジアスたちは正門から堂々と病院に入っていったので彼女は報道で知った
「俺のことを守ってくれたギンガに頭を下げてくれたんだ!」
「ちょっと驚いたけどね」
「他に何も言うてなかったん?」
なおも食い下がる彼女を見て辟易し軽い溜息を吐いた。易々と守秘義務を教えていたら自身の信用に関わってしまう。ここだけの話はここだけで終わるものではないと転生前の人生で身に染みている
「明日になれば分かるって!こっちもそろそろ戻らないと看護師が見回りに来る」
「父さん、スバルまた来るから、母さんのことよろしくね」
床の下に消えていく2人を見て噂好きの面々は"あの2人付き合っているの?"と騒ぎ立て、別の面々は明日の会見に不安を思い浮かべるのであった
ヴィヴィオからの呼び方
誠→誠パパ(もしくはパパ)
シュテル→シュテルママ
レヴィ→レヴィ(レヴィ隊長)
ディアーチェ→王様
ギンガ→ギンガママ
ヴィヴィオにレヴィが『余計なお世Wi-Fi!』を伝授させています
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