「今回の事件の首謀者はラルゴ・キール…伝説の三提督の1人です!」
会見の場で発せられた名前を耳にした報道関係者は途端にざわつき始めて握っていたペンを落とす記者が続出した。カメラのフラッシュを浴びるレジアス中将は今日という日を待ち望んでいたのである
「我々が踏み込んだときには違法に所持していた拳銃で自身の頭部を撃ち抜いていました。たった今ですが関係各所に彼の遺書の全文を送りました。目の前のスクリーンをご覧ください」
ラルゴ・キールの遺書が公開され記者たちの目は血走り食い入るように見つめている。地上のエースと呼ばれる誠を誹謗する文言が並び、自分たちの意義にそぐわない彼を管理局の癌と罵っていた。最後の1文には残った2人に対して
という文字で締めくくられていた。スクリーンに投映された遺書が消えると質疑応答になり、記者たちは餌を待つ雛鳥のように大きな声で叫び手をあげている
『ミッドチルダTVのアオシマです。ラルゴ・キール氏は彼のことを嫌っていることは残された遺書で分かりますが、命を狙うほど怨まれていたのでしょうか?』
「2人に直接的な関係はありませんが、三提督にとって六合塚三佐の存在は疎ましく感じるようで、お気に入りの出世を邪魔する彼に対して憎しみを募らせていたみたいです」
『OREジャーナルのキドです。何故この時期に六合塚氏を襲ったのでしょうか?』
「実行役に問いただしたところ、今なら教会側が最も疑われると答えていました。ロストロギアの横流しは彼が別件で調査部に依頼したことで発覚したことなので」
『週間
「首謀者のラルゴ・キール以外にも質量兵器を違法に所持をしている者がいるのではないか捜査をいたします。また今回のことをきっかけに表舞台から去ってもらう人たちもいます」
言い換えれば老人たちには隠居してもらい、二度と口出しをしてくるなと公の場で言い放った。なおも質疑応答は続くが六課で中継を見ていた誠は音量を下げた
ラルゴの遺書についてだが最初は会見の場で発表しないつもりだったが、誠がOKの意志を示したことでレジアスも公開に踏み切った。何かあったとしてもギンガが止めてくれると信じていた
「機動六課はどうなるのでしょうか?非公式ですが三提督が協力していたんですよね」
「うん、ちょっと心配だね」
「スバル…心配ならその手に持ってるどら焼きを置きなさい!」
ティアナに注意された彼女は1口で7個目を食べてしまった。これは第17部隊の副隊長(37歳)が見舞いの品として持ってきたモノであり食べきれないから渡したのだが殆どスバルの胃袋へ収められた
「公開陳述会も横流しと今回の件が片付くまで延期になったが、俺たちは何もできない」
「監視官はこの先どうなると思いますか?」
「憶測で構わないか?」
頷いたティアナを見て誠は少し考えた後に、説明しやすいようにテーブルに紙を置いてペンを握った
「機動六課は本局と聖王教会からの支援を得て陸の敷地に割り込んできた。多分だが三提督が口を出して介入したんだろう」
「これって命令したんですか?」
「命令だと不祥事が起きたときに責任を取らないといけないから『お願い』ってところかな、海鳴市の時に三提督に処分は下されてないだろ?」
その問い掛けに全員頷いたことを確認し話を続ける
「派遣任務の件で解散する流れだったがここでも依怙贔屓された。元々八神は三提督のお気に入りという噂が流布されていたが裏付ける要因になった。そして俺を狙った銃撃失敗と罪を教会側に擦り付けようとした」
「誠さん…これ六課は危ないですよね?」
危ないどころではない今回のことで三提督の庇護は確実に無くなる。ただでさえロストロギアの横流しで2つの組織の仲は険悪なのだ!そこにラルゴの件が加わる
「本局でも今まで老人会の尻馬に乗っていた奴等が手のひらを返してくる。解散に反対票を投じていた面々の殆どが賛成に向かうだろう」
「じゃあ…やっぱり」
「流石に今日明日じゃないと思うが覚悟しておいた方がいい、奇跡が起きて残るかもしれないが」
結成されてから1年どころか半年すら経過していない、スカウトされ夢を叶える為に頑張ってきたのに長である八神はやての甘さが原因だった。魔導士として優秀だとしても指揮官では経験の未熟さが露呈したのだ
「誠さんは技術部に復帰ですか?」
ギンガからの問い掛けに首を横に振った
「こっちも1年在籍するつもりで準備をしていたんだ!六課が解散したら『ただいま~』なんて出来ないんだよ」
「ではどこに?」
「何も考えていない!しばらくはフリーランスで部隊の助っ人や災害現場に赴いて救助を担当したり、講師で教官をやると思うが未消化の有休を使いたいね」
多忙な日々を送ってきた戦士にも休息は必要だ!ヴィヴィオの件も考えなければならない、3人娘は完全に引き取るつもりで彼のことを信じている。嫁さんよりも娘が先に誕生してしまうとはプレシアが知ったら何て言うだろうか?
「ロクゴウ君…ちょっと来てくれないかな?」
談笑しているところに高町なのはが現れ声を掛けた
「こんなことで良かったのかクアットロ」
「えぇ…流石ドゥーエ姉様、見事な演技でした!」
「伝説の三提督の1人とはいえ根は単なるエロ爺だ!たぶらかすのも容易い、しかし側近の奴等も見破ることができないなんて」
「それだけお姉様の変身が素晴らしかったということです」
誠から物理攻撃のフルコースを浴びせられたクアットロは回復し本体である眼鏡も無事に直った。彼女はラボの自室で敬愛する姉に通信を繋ぎ感謝の気持ちを述べている
「しかし地上のエースはドクターのお気に入りじゃないのか?」
「そうですが命令内容は『目障りな老人たちを消せ!手段は問わない』でしたので」
「私恨がこもってないか?」
「いえいえそんなことありませんわ!ただ憎しみを抱いているだけなので」
それを私恨というが野暮なツッコミは避けて話を戻す
「それでドクターは何をするつもりなんだ?」
「そうですね~祭りの準備を整えていると言ってましたが」
「祭りか…トーレが1番暴れそうだ」
「妹たちも随時稼働しています。顔を見にいらしてください」
潜入任務が多くラボから長期間離れてしまうので帰ってくる度に妹が増えている。彼女は新たに生まれてくる妹を愛でるのが好きでお土産も買ってくる
「クアットロ」
「どうしたんですかドゥーエ姉様?」
「実はドクターから『最高評議会を始末しろ!』と命令されたのだが」
「知っていますわ…それがどうかしたんですか?」
「私がやる前に始末されていたんだ!」
「えっ?」
その瞬間に彼女の眼鏡が落ちてしまい、直ったばかりなのに再び亀裂が入ってしまう。クアットロ専用の回復カプセルを96時間稼働させて修復したのに再び戻ってしまう
「ですがあれはドゥーエ姉様が」
「私が処理をしたことで報告した。気を付けろ管理局以外にも敵がいるはずだ!」
暗転したモニターを見つめる彼女は、新たな敵の存在への対処を考えながら部屋を歩いていたが大事な相棒である眼鏡を踏みつけてしまい致命傷を与えるのであった
「それで何の用だ?」
誠の前には六課の隊長である八神はやてが座っていた。なのはに呼ばれて彼女の部屋に通された彼はろくでもないことが起きると第六感が警鐘を鳴らしていた
「誠君…いや六合塚三佐、私を……ううん機動六課を守ってほしいんや」
「もう無理だろ!リーチ・王手・チェックメイトだ」
「せやけど、このままじゃ地上が」
「八神が心配することじゃないだろ!六課の設立理由に現状の災害対応が不十分という文言を聞いたときにカチンときたよ」
彼女に向けて冷たい視線を向けている。それは今まで口にすることを我慢していたことだ
「海が金や待遇で引き抜いていったせいで陸はドンドン痩せ細っていった!休みの日に緊急出動するのが当たり前だった」
「ロクゴウ君…ちょっと」
「だからパワードスーツの『コントレイル』や『サリオス』を協力して作った!」
海が見捨てた技術者たちと毎日熱い議論を交わして作った希望の集大成である。予算の都合で配備には遅れたが結果を残してきた。最新の『ロータスランド』も投入間近である
「ただ強いだけじゃなくて『心』を育てることに努めてきた!教え子が頑張っている姿を見て、次も頑張ろうと思っていたのに」
「違うんや!落ち着いて」
「それを上から目線で対応が不十分って何様のつもりだ!俺たちの努力を踏みにじるのも大概にしろ!」
そう言って彼は部屋から出て行った!その姿を見た2人は頭を抱えてしまうのであった
クアットロが立案し次女が台本通りに動きました。誠を狙ったのは完全に逆恨みです
そして誠君はキレてしまいました。この先はどうなるのか?
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