『晩節を穢したモノたちの報い』
伝説の三提督の1人だったラルゴ・キールが違法所持していた質量兵器で、地上部隊のエースと呼ばれる六合塚氏を亡き者にする計画が失敗に終わった。当人は捕まるのを恐れ自身の頭部を撃ち抜いて生涯に幕を閉じた。時空管理局黎明期の功労者として名をはせた人物だが晩節は『老害』という言葉が相応しい立ち振る舞いで好き嫌いの色分けを犯してしまった。今回の事件を経て同じく『伝説の三提督』と呼ばれるレオーネ・フィルス氏とミゼット・クローベル氏が表舞台から去ることが判明し時空管理局は大きな転換点を迎えることになった
三提督や聖王教会の庇護を受けていたことで有名な八神はやて氏が率いる機動六課にも不要論の話題が噂されている。ホテルアグスタがガジェットに襲撃されたことに対応できなかったのは彼女たちが戦力を残さずに派遣任務と称して里帰りしたことが関係者への取材で分かりました。後ろ盾を失った六課に未来はあるのだろうか?
「珍しいですね旦那がこんなところに顔を出すなんて」
「ゲンヤさんの真似じゃないが見回りぐらいするさ」
六課の移動手段として用いられてきたヘリが収められている格納庫へ足を運んだ誠は、ヴァイスや整備をしていた隊員たちに飲み物が入った袋を渡していた。今回のゴタゴタで浮き足立ったり不安な顔をしていたら相談するように務めている
「六課はどうなりますか?」
「時期は未定だが解散の方向だな」
「やはりそうですか」
「アイツに部隊をまとめる指揮官としての適性が無かっただけで、ついでに政治力の無さも露呈した」
壁に手を触れ『四次元マンション』の中から個包装タイプのお菓子を手渡した
「ヘリを操縦するゲームってやったことあるか?」
「ガキの頃からやってますよ!」
「ハイスコアやレコードタイムを出して"自分は上手い、凄いんだ!"って」
「それがドツボの入り口ですね」
ゲームじゃなくてもきっかけは何でもいいアニメや漫画で興味を持つことだってある。憧れたモノにリアルで触れたときの感覚はいつまでも思い出として心に残る
「実際に運転するとゲームとは違うだろ?」
「ハンドルの重さとか空気の流れに振動も」
「そっちじゃないヘリ1機にしても多くの人が関わっている。設計士や整備士に雑務を引き受けてくれる人…もっと外に目を向ければ営業担当や部品を作ってくれる職人など両手両足の指を使っても数えきれない」
ヘリや車に魔導士が扱うデバイスを製作・維持をするのに沢山の人が関わる。様々な人の想いが詰まっているのだ
「ゲームだと損傷したり燃料が切れたってなったら?」
「資金やエネルギーを使って直したり満タンにしますね」
「八神はその考えのまま隊長になってしまった。聞くけど俺が襲われてからアイツはここに来たか?」
その問い掛けにヴァイスは首を横に振った。誠は大袈裟に深い溜息を吐いて缶コーヒーの中身を空にしてゴミ箱へ投げ込んだ……外れたので入れ直した
「それがアイツの政治力の無さなんだ!本人は深く考えているつもりだが物事の表面しか見ていない、もしかするとここにいる面々で顔と名前が一致しているのはお前だけかもな」
「まさか…そんなこと」
「学校の先生が入学式前にやらなければならない仕事ってなんだと思う?」
「授業の準備じゃないんですか?」
「入ってくる生徒の顔と名前を覚えることだよ、この中で八神に名前で呼ばれた奴がいたら手を上げろ!」
格納庫にいる人たちで手を上げたのは整備士長だけだった。あとの面々は役職や階級呼びであり地球人の恥を見ているようで悲しかった
人心掌握ではないがトップの人間が下っ端の名前を覚えて呼ぶことに意味がある。「おい」「お前」「君」より心証が良くなり、自分たちのことを見てくれている空気を作り出すことができる。なお地球の元総理大臣は名前を忘れたときに使った手法は
「君の名前はなんだっけ?」
「佐衛門三郎です!」
「名字は知っている聞いているのは下の名前だ」
というやり方で乗り切った。また手紙や年賀状を送るから名前を紙に書いてくれというパターンもあったが今の世の中では使いにくいテクニックだ!とりあえずアメリカの大統領に『Who are you』よりマシではある
「Lesson4『敬意を払え』」
「支えてもらっていることを自覚していない?」
「Exactly!(その通り)部隊ってのは表に出てこない見えない人たちに支えてもらっている。縁の下の力持ちに対して感謝の心を持たないといけない上に立つ者なら尚更に」
この様子だと他の部署も同じかもしれない、彼はヴァイスたちに別れの挨拶をして六課の中をグルグル回って局員たちの不安を取り除くために奔走した
「野郎にストーキングされて気分がとても悪いんだが」
「すまない、出来ればその物騒なモノを下げてくれると助かる」
新造されたパワードスーツ『ロータスランド』の最終確認の為に技術部へ赴いていた誠は道中で尾行されていることに気付いた。一定の距離を保ちながら振り向いても背景に同化していて姿を見せなかったので、マンションの入口を作ってから角を曲がり別の入口から『四次元マンション』の中に入って1つ目に作った入口から外に出て背後をとった
「管理局の査察官が何の用だ?」
「僕のことをご存知で」
「聖王教会カリム・グラシアの義弟だろ?そして男の尻を追いかける変態」
変態であることを否定した査察官ヴェロッサ・アコースは別室に通され誠と2人きりになった。ストーカーする奴に飲み物を出すほど優しくはない(女性なら別)
「義姉から命令されて殺しにでもきたのか?それで今度は管理局に罪を擦りつける」
「そんなことはしない!」
「どうだかね?」
「尾行したことは謝罪する。はやてのことを含めて君には色々と聞きたいことがあるが、単刀直入に言うと"会ってほしい人"がいる」
「仲間を連れてきてマシンガンで蜂の巣にするつもりか?」
未だに彼のことを信用せず臨戦態勢のままである。既に入口は作ってあるので逃げることは可能だが逃走よりも興味が少しだけ上回っている
「普通にアポを取れば問題無いはずだが?」
「その人は少し説明が難しくて、それに秘密裏に行わないと駄目なんだ!」
「う~~ん…そうだねこっちの条件を飲んでくれれば会ってやるが」
数十秒だけ考え込んだアコースは金銭以外ならという文言を口にしたので、誠は条件を記載した紙を渡した
「査察官ならできるはずだが」
「分かったこの条件を飲もう」
「交渉成立だな、今から会うのか」
「そうだ!その人物はホテルアグスタの最上階のゲストルームに滞在している」
ここからホテルまで距離があるので、六課の面々が海鳴市でバカンスをしている時に作っておいた場所まで繋いで2人はホテルの最上階まで辿り着いた
「この部屋にいるんだな?」
「そうだ」
ドアの先に向けて生命探知を発動し室内に存在する人数を確認したが男が1人だけだった。最悪を想定しながら中に入ると椅子に座っていたのは
「ゼスト・グランガイツ」
自身も関わった6年前の任務で、亡くなったとされていたストライカー級の魔導師でスバルとギンガの母親が所属していた部隊の長である。誠は亡霊を見るような目で彼のことを見つめていた
スカリエッティはラボで鼻歌を奏でながらタッチパネルを操作していた。邪魔者だった最高評議会が朽ちて目障りな伝説の三提督も表舞台から消えてくれた。クリスマスの前日のようにウキウキしながら頭の中で今後の作戦を練り上げる
「プロジェクトFの残滓を解剖して調べてみたいね!私の理論をどうやって解釈したのか気になる。プレシア・テスタロッサには感謝している」
モニターにはエリオとフェイトが映し出され、自身の作ったガジェットを機能停止に追い込みエリオに至ってはシャワーシーンも録画されていた
「彼をこちらに引きいれたいがトーレに交渉役は難しい、やはりクアットロが適任か」
気の合う同士を味方にしたいと思ってる。それに一緒に地球で遊びたいと考えている18禁コーナーが充実した店にも顔を出してみたいのだ!
「ドクター!」
「どうしたんだウーノ?そんなに慌てて」
ナンバーズをまとめる彼女が血相を欠いて自身の部屋に飛び込んでくると、息が絶えだえだったので深呼吸をさせて落ち着かせた
「ドクター…ゆりかごが……ゆりかごが」
「聖王のゆりかごがどうした?勝手に起動でもしたのか?」
「地中に埋もれていた聖王のゆりかごが消えてます!」
その日スカリエッティは人生最大の大声を出してしまい喉を潰してしまうのであった
聖王のゆりかご消失しちゃいました。別にこれはゼストは関わっていません
やっぱり八神に指揮官って向かない(19歳の時点、小隊長ならOKだと思う)
終わりのシーンが頭の中で浮かんできました
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