心配性の実力者は今日も鍛え続ける   作:大気圏突破

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なんやかんやで50話を超えました
皆さまの感想や評価のおかげです

エコロ強かったですね(買ったサンデイビスは見せ場はありました)


そういえば最近使っていなかった能力

「ゼスト・グランガイツ…何で?」

 

 目の前にいる人物を見て誠は絶句していた。彼は6年前事件で亡くなったはずなのに何故ここにいるのか?そして査察官を通じて面会を望んだ理由が分からない、名前は知っているが面識なんて無かったのに

 

「地上部隊の六合塚だな?」

「そうだ…あんたはゼスト・グランガイツ本人なんだよな?」

「あぁ、すまないな手荒い方法になってしまって」

 

 彼は椅子から立ち上がり頭を下げようとしたが足に力が入らないのかフラついていたので座ってもらった。非現実的な経験をしてきた誠だが死んだ魔導士と顔を合わせている状況に脳がエラーを引き起こして頭から煙が噴いている

 

 

「任務で死んだ俺は人造魔導師として復活させられた。失敗作だがな」

「失敗作?その前に誰が」

「俺に残された時間は限りなく少ない、もしかしたら明日の朝日を拝むことも…」

 

 6年前の任務は戦闘機人の行方を追っていた彼がヴェロッサ・アコースから情報を得て施設に潜入したが、一般的な魔導士にとって天敵であるガジェットや完成された戦闘機人の猛攻を受けてしまい壊滅した

 

 

「僕も驚いたよ、まさか死者から連絡が来るとは思わなくて」

「アドレスを変えてくれなかったことが救いの手になった」

 

 とりあえずゼストがここにいる意味を理解することが出来たが、アコースを通じて自分に会いたいという理由が分からない

 

 

「まずは礼を述べさせてくれ、ありがとう部下たちを救ってくれて!」

「俺以外にも頑張った人は沢山いますよ」

「そうだな」

 

 少し笑みをこぼして朗らかな表情になる。第一印象は厳しい人に見えたが案外優しい人なのかもしれない、存命だったら部隊の長として聞いてみたいことが沢山あるが時間が許してくれない

 

 

「用件はなんですか?」

「君はレジアスの懐刀と聞いているが」

「懐刀と呼ばれるほどの関係ではないですが同年代の局員より信頼はされていると思います」

「それで頼みなんだが、レジアスに会わせてほしい」

 

 ゼストとレジアス中将は友人であり立場は違えど平和を目指す同志だった。死期を悟った彼はレジアスに問いただしたいことがあり査察官のアコースに連絡をしたが、職業柄嫌われているので繋がりを持つ誠にパイプ役になってもらおうと考えていた

 

 

「難しいですね。ゴタゴタが続いたせいで管理局もピリピリして気軽に面会も出来ない」

「オーリス三佐を経由するのは?」

「そこで話が止まる可能性が高いですし、アポが取れてもすぐに会える訳でもない」

 

 ラルゴの起こした暗殺未遂が原因で警戒レベルが引き上がり、身を守るためにパワードスーツを融通してほしいと頼み込んでいる役職者もいる

 

「伝説の三提督と謳われた彼がそんな暴挙を犯すとは」

「俺は老人会に嫌われてましたし」

「古い思考に囚われた粗大ゴミを片付けることができたのは結果オーライですが」

「生きてるから生ゴミだろ!」

 

 生ゴミなら分解して土に埋めれば肥料になるが、老人たちを埋めたところで何も育たないし土壌が汚染されるだけだ

 

 

 

「パワードスーツか、もう少し早かったら俺の隊員たちも………すまない」

「そういえば新型がロールアウトするんでしたよね?」

「コストが高くて配備まではもう少し…………あるぞ中将に会う方法が!」

 

 その言葉に2人は驚いて立ち上がった。そして誠から説明を聞いて頷きながら野郎3人で細部を詰めていく

 

「今の情勢なら可能ですね」

「裏技だが王道のやり方だ!」

「ありがとう…出すのが遅れたがこれを受け取ってほしい」

 

 ゼストは懐から記憶媒体のチップを取り出した

 

「これには今まで俺が調べた全てが残してある。戦闘機人やスカリエッティの居場所や奴等が聖王のゆりかごを使って計画していることも」

「聖王のゆりかご……まさかそんな」

「なんかヤバイ兵器なのか?教会に関係してそうな名前だが」

 

 その質問にアコースが狼狽えながら答えてくれた。古代ベルカの王が所持していた超大型質量兵器で、数キロメートルほどある空中戦艦である。多くの歴史学者や神学者、考古学者が捜し求め続けるも誰にも発見されなかった代物をスカリエッティが見つけた

 

 

「それはいったいどこに?」

「ミッドチルダ東部の森林地帯の地下だ」

「すぐに手配をしないと」

 

 慌てふためく彼の肩を指でつついた誠は『四次元マンション』の中から手持ちサイズの戦艦模型を取り出して2人に見せつけた。ゼストはチップから画像を呼び起こして2つを見比べて驚きの表情を隠せないでいた

 

「聖王のゆりかごってこれのこと?」

「そっ……それをどこで?」

 

 ゆりかごがプラモデル化されていたなんて耳にしたことがない、そもそもゼストが提供したデータで初めて全容を知ったのだ!たとえ発売されたとしても同じデザインのモノを彼が持っているのは辻褄が合わない

 

「ミッドチルダ東部の森林地帯で見つけました!」

 

 その言葉を聞いてゼスト・グランガイツの命の火は消火器と水鉄砲で消されそうになった

 

 

 

 

 それはちょっと前まで遡る。クロノの件でリンディたちと通話を終わらせた直後に個人用の通信端末が鳴り応じると相手は元六課のグリフィスだった

 

「ご多忙のところ申し訳ございません」

「なんだ?そっちからなんて」

「三佐に相談したいことがありまして」

「もう上司部下の関係じゃない肩書きで呼ばないでくれ!」

 

 それでも彼は誠のことを三佐と呼んでしまうあたり真面目な性格なんだと思う。相談を聞く為に自室へ戻り防音魔法を施した

 

 

「内容は?」

「実は厄介なモノを見つけてしまって」

「…はい?厄介なモノって?」

 

 現在のグリフィスは誠が紹介した政治家の秘書として働いている。選挙における雇い主の支持母体である労働団体から連絡を受けた彼は、東部の森林地帯で見つけてしまった物体の処理に困ったので誠にアドバイスを求めた

 

 森林地帯には誠とグリフィスの他に現場監督の3人で訪れヘルメットを被っている。オフロードの四輪駆動車から降りて、持ち手がボロボロになっている懐中電灯を使って足元を照らしながら車の中で聞いたことを確認していた

 

 

「現場の測量をしているときに発見したのか?」

「はい…まだ知っているのは一部の人たちだけです」

 

 測量中に違和感を抱いた労働者が、周辺をくまなく調査したことで厄介なモノを見つけてしまった。現場の人間だけでは判断に困ることだったのでグリフィスの雇い主に連絡したのだ

 

 

「それで見つかったのが」

「これです!」

 

 懐中電灯で照らされた先には金色に輝く巨大な物体が鎮座されていた。大きさを比較するのに『東京ドーム何個分』と表現されるが、彼は東京ドームに行ったことがないので個数が分からないが途轍もなく大きいのは分かる

 

 

「こんなのが出てきたら工事を止めないといけない…でもそんなことをしたら工期が大幅に遅れて遅延金を払わないといけないんだ!」

「実は前の工事でも古代ベルカの遺産を見つけてしまって、ちょっと資金繰りが」

 

 歴史的に価値のあるものを発見した場合は発掘の為に工事が全部ストップしてしまう。しかし研究団体は遅延の費用を払わないのだ!昨今これが問題になっている

 

 過去や歴史を解明するのは大切なことだが、その為に犠牲者を生み出して良いのか?裁判にまで発展し決着するまで時間が掛かることが多く、見つけてしまった遺産を別の場所へ埋めている業者がいるせいで歴史学者が混乱している

 

 

「八神元隊長に連絡したら絶対に"保全するんや"って言いそうで」

「100%そうだな、これだけデカいと年単位で止まるぞ」

「そんなことになったら…もう………」

 

 現場の苦労を知っている誠からすれば現場監督の心境は身に染みて理解してしまう。そしてグリフィスが自分に教えたということは工事を優先してほしいと願っている

 

【マスター『縮小』でこれを小さくできませんか?】

「これをか?」

「なんですか『縮小』って」

 

 六課の面々に見せたことは無いのでグリフィスの反応は当然である。近年では戦闘で用いることもなかったので彼も使えることを忘れていた

 

「やってみるか」

 

 その物体に両手をかざし久々に『縮小』を発動させると段々と小さくなっていく、背後から驚く声が聞こえてくるが無視をする。こんなに大きな物体を扱ったことは無いので集中を切らしたくない

 

 

「これぐらいだな」

「輸送艦ですかね?でも武装っぽいものもありますね」

「これで重機を入れて工事ができる!」

 

 手のひらサイズになった物体は、アースラのような戦艦みたいなフォルムをしていてグリフィスと一緒に確認しながらクルクル回して観察したが明確な答えは見つからなかった

 

 

「ありがとうございます。次の選挙では関連企業に声を掛けて投票しますので」

「今日見たことは忘れましょう。ここには何も無かった」

 

 全員で強く頷いて強固な結束を作った。とりあえず小さくした戦艦は誠が預かることになり『四次元マンション』の中に放り込んだ!今後の対応を考えていたが暗殺未遂や六課解散の内定が重なってしまい記憶から抜け落ちていた

 

 なのはに『報・連・相』しろっと口にしているのに言いだしっぺの本人が忘れていたのは恥ずかしいことである

 

 

 

 

 当時のことをアコースとゼストに語ると2人は蠟人形のように固まってしまい、もしかしたらゼストが死んだと勘違いしてしまい頬を叩いて現世に引き戻した

 

 

「君は本当に…規格外というべきか」

「しかしこれでスカリエッティたちの切り札を封じたことになる」

「これどうすればいいの?」

 

 時限爆弾という訳ではないが持ち続けたくない代物だ!しかし安全な隠し場所は『四次元マンション』の中だけである。というか部屋のオブジェとして飾っても本物の『聖王のゆりかご』とは思わないだろう

 

 

「親族に教会関係者がいる身からして今回の件を見逃すのは」

「聖王教会が遅延金を払ってくれるのか?」

 

 その言葉に彼は首を横に振った。ただでさえ流出させたロストロギアの回収費用で財政が逼迫(ひっぱく)した状態で切り詰めた日々を送っている

 

 

「じゃあ飲み込むんだな、過去を調べても明日の天気が100%分かる訳じゃないし」

「古代ベルカの歴史を天気予報と一緒にするとは」

「農家にとって、歴史よりも天気が重要だろ!」

 

 別にアンタは農家じゃないだろ!というツッコミはしなかった。する気力が湧かなかったのだ

 

 

「レジアス中将の件は今から動く」

「頼む!」

 

 頭を下げたゼストを見て誠は部屋から出ていった。そして残った2人は

 

 

「彼はいったい何者なんだ?」

「世間では『地上のエース』と呼ばれていますが、査察部では『ジョーカー』と呼称しています。手元に置いておきたい切り札であり、邪魔者扱いされるババです」

 

 その言葉に納得するゼストであった




「聖王のゆりかご」は小さくなって誠君の手元にあります。部屋に飾ればプラモデルです

日本でも工事現場から土器が発見されると工事が止まってしまうので、見つけたら埋めるか叩き壊して見なかったことにすることがあります。邪馬台国の行方が分からないのってこれが原因じゃない?

スカ博士がゆりかご近辺にセンサー類を導入していないのはおかしいというツッコミは無しでお願いします(土下座)

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明日は皐月賞頑張れ、ライヒスアドラーと佐々木大輔
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