さて試合開始前に心に刻んだ覚悟が脆くに崩れ去った八神はやてに最早手段なんて残されていません!10年前に犯した罪を背負うつもりでしたが復讐者であるキャロ・ル・ルシエの前では歩んできた道が違います!果たして彼女は生き残ることができるでしょうか?
「それではStrikerS最終決戦レディィゴー!」
気付いた時にはシグナムは壁に埋まり意識を失っていた。キャロの隣にいた召喚獣は更に追撃を加える度に引き起こされ口から叫び声と血を吐き続ける
「…めて、やめてや…シグ」
「じゃあ何で私たちのときは止めてくれなかったの?」
両膝をついて戦意を喪失した八神に問い掛ける
「私たちは悪いことをしたの?」
「ル・ルシエの民は罪を犯した?」
はやての周囲をゆっくり歩きながら彼女は淡々と言葉を並べ、少しずつ精神を削り取るように冷たい目で見下していた
「竜たちと共に暮らし助け合っていた!私たちは夢を見てはいけないの?家族や友達と語り合うことも許されないの?」
「…違うんや、ちが」
「みんなの命を吸って幸せになれて良かったね。お父さんやお母さんに族長や産まれたばかりの竜の雛がそこにいるんだよね?」
キャロの視線は彼女の足に向けられている。はやての中ではリインフォースが必死に声を掛けているが喪失中の主には全く届かない、心が崩壊しかけ奥歯をガタガタと鳴らし泣きながら震えている
「トーレとチンクが助けてくれた。ウーノは勉強を教えてくれた。クアットロの眼鏡をお尻で壊したときにドゥーエが一緒に謝ってくれた。そしてドクターは私に力を与えてくれた!」
彼女の周囲には赤と黒の竜が咆哮をあげて威嚇をしていた。観客席の面々は耳を塞いでいたが隙間から入り込んでくる声は鼓膜を大きく震わせてしまう
「だから私も貴女のモノを奪うことにしたの」
「…わたし…の?」
シグナムを含む守護騎士たちは召喚獣の猛攻によってボロボロとなっている。まさかこれ以上痛めつけて命までも?
「あかん!それだけは止めてや!」
「多分だけどあの時も一族のみんなは同じことを言っていたと思うよ!そこで氷漬けの金髪に聞いてみる?」
ほぼ全裸状態で大事なところを隠すことができないシャマルの方を向いてキャロは当時のことを聞き出そうとしたが彼女は答えずに口を噤んでしまう
「そうなんだ言いたくないんだ~……ふざけるな!」
叫び声と共に地面を強く踏みつけて無数の亀裂が浮かびあがる。召喚獣たちも呼応し暴れ狂うように自己主張を繰り出す。キャロの瞳には憎悪の炎と涙に溢れている
「なんで笑って過ごしていられるの?自分たちの手が血で汚れていることに見て見ぬふりでもしてた?このままバレなければ大丈夫って思ってた?」
「違う…わたしたちは」
「ねぇ教えてよお父さんとお母さんの顔を見たり声を聞いたことがないの!それとも10年前に私も殺して天国で暮らせってこと?」
段々と彼女の言動が感情的になり今まで腹の中に押し込めていた全てが溢れだそうとしていた。魔力が暴走するように蠢いている
「だから私が!おくって、あんた達をあの世に!」
両手に装着されたデバイスがウルトラマンのカラータイマーのように音を鳴らしながら高速に点滅する。明らかにヤバい状況というのが見て取れる…そして
【UNITE VENT】
シグナムを攻撃していたメカ召喚獣に他の召喚獣が集まり光り輝きながら合体していく、観客席にいるフェイトたちも目を閉じていたが次第に光が消えていくのを感じる
「…クロノ…くん?」
眼下のフィールドには10年前に自分たちのところから去った懐かしい人物が立っていた。駆け寄りたい気持ちが押し寄せてきたが彼の顔は無表情で八神はやてのことを見つめている
「クロノ君なんで?なんで犯罪者に加担してるんや、ねぇなんで答えてくれないんや」
「この人はドクターがくれた玩具で私のことを守ってくれるの」
「なんでそんなことを」
「理由なんて必要?どうでもいいでしょ?私としては誰でもよかった!そう貴女たちが無差別に集落を襲ったように」
もう話すことなんて無い、全てを終わらせて復讐を遂げる
「(どうしようか?後のことなんて何も考えていないや!…そうだみんなのお墓を作ろう。でも名前なんてしらないしどうしよう?ドクターやクアットロなら知ってるかな?)」
後のことは目の前にいるゴミを片付けてから取り掛かろう。召喚獣を取り込んだクロノはゆっくりと彼女に近付いていった。まだ何も命令をしていないのに…
「ロクゴウ君!」
「誠ッ!」
彼のいるVIP席にフェイトたちが息を切らして飛び込んできた。2人は呼吸を整える余裕もなく途切れながら今の状況を確認しようとするが、言いたいことと口から出てくる内容が支離滅裂となっている
「はやてちゃんたちを助けないと!手伝って」
「なぜ助けないといけない?」
その言葉に高町は固まってしまい二の句が継げなかった
「これは2人の果し合いだ!外野にいる俺たちが手出しをしてはいけない」
「でも…このままじゃ」
「なぁ果し合いの意味を理解してるのか?知り合いがピンチだから乱入して勝負を有耶無耶にしていいのか?ボクシングや柔道でそんなシーンを見たことがあるのか?」
彼女以外に誰も動かないということは観客たちも状況を理解しているということだ!ここで俺たちが勝負に割って入るのはお門違いなのだ
「だって…だって、だって」
「恭也さんや師匠が殺されて、お前が今からやろうとしていることを目の前で見せられて納得することができるか?復讐を遂げるチャンスを無関係な奴が邪魔をする」
同じ情景を想像した2人は言葉に詰まってしまい反論することが出来ない、しかし人は感情で動いてしまう生き物である
「はやてちゃんたちが死んじゃってもいいの!」
「召喚士の女の子は命を賭してあそこにいるはずだ!まさかよぉ…八神は何も賭けないでいるのか?それは相手に対する侮辱だぞ」
「だけど…こんなことって、それになんでクロノ君が」
フィールドで八神の髪の毛を握り、吊るした状態で殴る蹴るのラッシュを与え続けていた!なおも猛攻は続き地面には血が水溜りのように広がっていく
「それは俺も知りたいよ!今日初めて知ったんだから」
無論嘘である。スカリエッティのアジトで会話を試みているが顔の表情が少し動いただけで人間らしい反応は全く無かった!
「勝負が終わるまで見守ることしか許されない」
「ロクゴウ君の分からず屋!」
そう言って彼女は部屋から飛び出していった。十中八九乱入することが目に見えている。自分の正義感が世界の総意だと思い込んでいる愚か者の成れの果てだ
「軽蔑したか?」
「誠の言ってることは分かるよ…なのはのやろうとしていることも分かる」
「救護班の用意はしてあるな?」
突然の質問にフェイトは狼狽えるが彼の問い掛けに頷いた
「最悪を想定しておくか」
「誠?」
椅子から立ち上がり部屋から出ていくのを見て彼女は急いで彼の背中を追うことにした。そしてフィールドではワンサイドゲームの様相を呈している
『(主…あるじ)』
「(リインフォースがなんか…言うとる。けどもうええんや、そっかわたしは居ちゃいけんかったんやな、この脚のために色んな命が消えてしもうたんや)」
瞳のハイライトが消えていた。約19年の生涯を振り返りシグナムたちと出会ってからの10年間の思い出に浸っている。そういえば道路で立ち往生しているときに彼に助けてもらって『一家総出で助ける』と口にしたのに何もしていなかった
「(ごめん…誠君、リインフォースも助けてくれたのに)」
目の前にいる女の子が納得するまで、それはいつまで?
「(ちょっと短い一生やったな、9歳で散る命が倍以上生きたんや)」
拳を振うクロノが大きく振りかぶって終わらせようとしている。目を閉じてしまい当たるのを待っていたが彼の拳は到達していなかった
「目を覚ませ!クロノハラオウン…そして寝ているお前たちもだ!」
烈火の将が2人の間に入り拳を体で受け止めていた。彼女の声に呼応するように倒れていた守護騎士たちが体を無理やり引き起こし、シャマルも凍結状態から復活する
「主を…はやてを守ってこそのヴォルケンリッターだ!」
「当たり…まぇだ!」
殆どの骨が砕かれ全身の激痛に苦しみながらも棒だけになったアイゼンを杖代わりにして大切な主のことを守ろうとしている。シグナムの隣にはザフィーラが立ちシャマルはボロボロになったはやての怪我を治している
復活した守護騎士たちに観客たちも大いに盛り上がり歓声が湧く、ここからの逆転劇を見せてほしい!これがアニメや漫画だったら最高の瞬間だが
気付いた時にはシャマル以外が倒れ地面に伏しているのであった
ユナイトベントですがイメージは剣のキングフォームに近い存在で、ミラモンを取り込んで上半身裸で下半身はエリオよりも短い黒いズボンのみです
もう難産でした
感想ありがとうございます(おまちしてます)
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誤字訂正もありがとうございます
明日は香港競馬 頑張れカーインライジング