ルーテシアの母親であるメガーヌ・アルピーノはスカリエッティのアジトから救出された。彼は彼女に対して興味を失っていたので抵抗することなく管理局に引き渡し、技術部で蘇生措置を行ってメガーヌの時計の針を再び刻むことに成功した。筋力の衰えがあり暫くはリハビリの日々となるが娘のルーテシアは彼女の胸に飛び込んで大号泣した
またアジト内ではギル・グレアムの遺体も発見された。苦悶に満ちた表情で両目は限界まで開いて血走っていた。強く噛み締めたのか歯も粉々になるまで砕かれ、心臓が破裂し肺の中に血液が充満した状態だった
「すいませんでした!」
固い床の上に正座するエースオブエース(笑)こと高町なのはは深々と頭を下げる。彼女の周囲には鬼の形相をする誠と冷徹な目で見つめる六課の面々がいた
「高町!お前ここに勤めて何年だ?」
「来年で5年目になります」
「ミッドチルダを飛行する際は許可が必要なぐらい分かるよな?空戦魔導士なら1番最初に覚えることだけど、何で忘れたのかな?」
「その…えっと……頭が真っ白になって」
どこかの囁き女将のような言い訳に誠はボールペンを握力で破壊した。取り調べを受けていた彼女は身元引受人にユーノを指名したが彼は現在入院中であり動物病院の外に出ることが不可能だった。結局ギンガが迎えに行ったことで誠たちに取り調べを受けていたことが露呈した
「お前や八神のせいで地球人=バカって思われるかも」
「じゃあロクゴウ君も―――」
"ピコン!"
音速を突破する速度で振り抜いたピコピコハンマーが彼女の顔面を襲い想像以上のダメージを与える。レヴィの私物なので壊してしまったことを後で謝ろう
「レティ提督に頼んでこいつも辺境の地に送った方が世界平和になるな」
「あはは…冗談だよね?」
「「………………」」
「冗談だよね…ねぇ」
彼やフェイトに同意を求めるが誰も頷かない、無言の圧力と冷たい視線の集中砲火に彼女のメンタルは崩壊寸前まで追い込まれるのであった
「とりあえず解散までの代行はゲンヤさんにお願いします!」
「分かった!とは言ってもやることなんて殆どないだろ?」
「配属先が未定の隊員がいますので斡旋とメンタルケアを、ディアーチェに秘書役にさせますのでコキ使ってください」
「おい!勝手に決めるな」
六課の隊員は若手で構成されているので解散を含め不安になっている面々もいる。彼等の心の不安を取り除くのも年長者の仕事だ!
「ルーテシアの任は解く…違うな母親の傍に付き添ってリハビリを手伝う任務を与える」
「エリオも一緒に…紹介したい」
「じゃあライトニング分隊の2人は病院での勤務だ!」
彼の意図を汲み取ったフェイトはすぐにメガーヌが治療を行っている病院へ連絡し、今後のことについて相談し担当医と詳細な話し合いを行っている
「誠さん私たちは?」
「スターズの2人とギンガは隊舎の片付けを頼む!必要な書類や機材の分別を手の空いている隊員たちの尻を叩いて始めてほしい」
彼は懐から財布を取り出して封筒に高額紙幣を複数枚詰め込んでギンガに手渡した
「休憩用の飲食費はそこから出してくれ」
「こんなにも」
「それだけ大変で重要な仕事だから…頼んだよギンガ」
「了解しました!」
やらなければならない行動指針は決まった。解散の日取りは正式に決まってはいないが今のうちから取り掛からないとグダグダになる。彼の方は地上本部に赴いてスカリエッティ陣営の今後について上層部と話し合わなければならない
「なぁ…六合塚よ、機動六課ってお前さんが隊長をやればこんなことにならなかったんじゃないのか?八神の嬢ちゃんより全然適任だと思うんだが」
その言葉に殆どの隊員が頷いた。今のやり取りを見ているだけで入院中の彼女より頼れる存在だと分かる。彼が隊長なら問題無く1年間走り切ることができたと思う。口は悪いが面倒見の良い兄貴分である
「柄じゃないですよ、小隊長の経験はありますが部隊の運営は未領域なので」
「なら俺のところに来い!嬢ちゃんの時と違って1からきっちり教え込む」
「行き先が無かったらお願いします」
ゲンヤとの会話を終わらせ各々が次のことに向けて動き出す。幕を閉じるとき観客席から拍手の音は聞こえてこないだろう。しかし最後だけは綺麗に終わらせるつもりだ!これだけ頑張ったんだ長い休みを申請しても文句はないだろう
「ねぇロクゴウ君…私は?」
「退職届を書く準備でもしておけ、八神たちがいる病院の売店に必要なモノが揃っているからさっさと行ってこい」
ここにいても役立たずで邪魔だから見舞いに行ってこい!ということである。彼女は視線から逃げるように去って行くのであった
「ウーノとクアットロ以外のことを任せていいかな誠君」
「司法取引に応じるなんて明日は雪でも降るのか?」
地上本部でスカリエッティと対面した彼は発言の真意について問いただす
「私の雇用主が変わるだけだ!今までのように好き勝手に研究をさせてもらう。別に手を貸すつもりではない、管理局は私の興味を失った研究に一喜一憂しているだけに過ぎない」
「それで2人は手元に残しておきたいと」
「地球のコミックに顔が3つで腕が6本の悪魔がいると聞いたが、それに倣って阿修羅を凌駕する存在になろう!」
とりあえずこっちは残りの9人の処遇を考えなければならない、なおドゥーエは査察部に引き入れたい申し出があり当人も納得している様子だった。残りのナンバーズは聴取の為に地上部隊へ引き渡した。罪そのものはスカリエッティが全てを背負うことで決まりそうである
「キャロについてだが、自由にさせてほしい」
「闇の書事件の被害者だから司法も考慮してくれる。ただミッドチルダに住むのは難しい」
「そうか…心残りがあるとしたら、君と地球を旅行したかった」
「俺も心残りだ!互いに好きなことを語れる友なのに、近いのにこの距離はとても遠い」
「誠君が管理局のトップになって私を開放してくれ」
歳は離れているが軽口を言い合える関係は楽しかった。互いに変態だから磁石のように引き合ったのかもしれない、今生の別れという訳ではないが寂しいことである
「何故です!これは公表するべきです!」
「口を慎みたまえアコース査察官」
彼は自身の上司に向かって強く嚙みついている。『思考捜査』というレアスキルを用いてドゥーエの記憶を読み取ったら彼女が三提督のラルゴを殺害し、誠への暗殺を指示したことが判明した
「どうしてですか!これで三提督の名誉を回復することだって可能なはずです」
「新しい時代に汚れて埃まみれの老人は不必要なんだ!」
「黙認しろと言うのですか?」
その言葉に上司は黙ってしまう。隠された真実を暴くのが我々の仕事であり、今回のことも見過ごすことは出来ない
「君とて老人共が消えて清々しているだろ?」
「それは……そうですが」
「これは明かす必要のない真実なんだ!」
今更脚本を書き換えるのは不可能である。老人たちが地獄の底から蘇れば再び院生政治が復活してしまう。今の機運を妨げる要因になる
「アコース査察官!」
「やっぱり隠すことは出来ません!彼だけにも伝えないと」
背中を向けて部屋を出ようとした瞬間に何かが体を貫通した。穴が空いたような痛みと共に真っ赤な液体がドクドクと床に落ちて染みを作る
「こんなことはしたくなかった!」
「貴方は!…、」
振り向いた先には硝煙が揺らめき黒い殺意が握られていた。そこでようやく彼は自身が拳銃で撃たれたことに気付いた
「これも全て平和の為に必要なことなんだ!」
「あぅぅっぐ!」
スーツの下に着込んだ白いシャツが段々と赤く染まり続ける。次第に呼吸が荒くなり意識も朦朧としてくる
「君は疲れているんだ!私のおすすめを紹介からゆっくりと療養してきたまえ」
彼は手を叩くと第0特殊部隊の面々が物陰から姿を現しアコースに処置を施して拘束していく、彼の姿はこの日を境に見なくなるのであった
アコース君も生きてますが退場になりました。
明日からゴールデンウィークなので頑張ります
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