「そうかゲンヤさんと誠君がやってくれたんやね」
「うん…全員の配属先も決まって、六課の片付けをしながら解散式を待っているの」
「ほな、それまで治さんと」
ベッドから起き上がろうとするが呻き声をあげて苦しい表情を見せる。椅子に座る高町なのはは無理をさせないように八神はやてを寝かしたままにした。守護騎士や八神と高町がいなくても六課は問題無く次に向けて動いている
「無理しなくていいから」
「でも部隊長の私が最後ぐらい締めないとアカンって」
「止めておいた方がいい、はやてちゃんにアレは耐えられない」
ナイフのように突き刺さる冷たい視線と無言の圧力は心に深いダメージを与える。自分は身近な少人数だけだったが六課全員から受けてしまったら立ち直ることは難しい
「なのはちゃん…何がアカンかったのかな?カリムの予言を信じて六課を立ち上げて、ミッドチルダの平和を守るつもりやったのに」
「経験なのかな?私たちって色々飛ばしていったせいで基本を疎かにしたせいだと思う」
隊長を務めるのが早かった。もう少し現場で経験を積んで別部門と連携がとれるようにパイプを作るべきだった。グリフィスの再就職や隊員たちの去就先の斡旋は誠やゲンヤの手腕によるものだ!
彼等は多方面に顔が利いて情報網も広い、政治力もあって判断と決断が早い、まさに理想の上司といえる存在である
「誠君の言うてた所に行くんよね?」
「そのつもりだったんだけど…ちょっとね」
「ちょっと?」
当初は誠の推薦でサミー・リー隊長が率いる特殊部隊に編入する予定だったが、前回の無許可飛行で魔導士として未熟というのが判明し、今年入局した若葉マークの新人たちと一緒に研修を受けることになった。エースオブエースと呼ばれた彼女に常識と羞恥心を与える罰となった
「私はどうなるんやろ?」
「分からない、でもとりあえず今は回復に専念して」
「うん、毎日来てくれてありがとう」
彼女の進路だが怪我が治るまで左遷は凍結になっている。流石に管理局も負傷者を島流しにするほど悪辣な組織ではない、回復するまでの間に地球へ落下するアクシズを生身で押し返すレベルの功績をあげることができれば左遷の話は無くなるが到底無理である
「俺に後見人になれって…マジかよ」
「私に堅気の真似事は出来ない!お前が雇ってくれ」
アクリル板越しにトーレは誠に懇願し頭を下げていた。ナンバーズの中で1番重い処分を受けたのは六課の留守中にホテルを襲撃した彼女であり更生の為に収監されている。他の面々は器物破損程度であり彼女たちの為に彼は奔走していた
ギンガから提供されていた漫画に感化されたオットーとディードは自身の固有装備を管理局に返納しISを発動しないように処置をしてもらった。2人は漫画家を目指す為に絵の勉強を始めた。まずは5年以内に地球のコミケで同人誌デビューするのが目標である
エリオのことが気に入ってしまったセッテは彼のところへ転がりこんだ!10歳の子供を保護責任者にすることは出来ないのでフェイトが名前を貸して15歳になったら切り替える予定となっている
セインは査察部からオファーを受けたが返事を保留にしている。管理局の狗になるか全てを封じて自由に生きるか?迷っている。答えが出るまで本人が収監されることを望んでいた
ノーヴェとウェンディの2人はナカジマ家が預かることになった。ノーヴェはクイントからシューティングアーツを学び裾野を広げる活動に従事し、ウェンディは固有装備のライディングボードから武装を取り除き輸送業を始めた
ディエチは自然保護隊に加入する。狙撃のスキルは密猟者の発見や人に対して強い警戒を持つ動物を遠距離から観察することが出来る。保護責任者はメガーヌが請け負う
最後にチンクだが要人のボディーガードを務める。グリフィスと同じ職場で雇い主の身辺警護を行う。スーツ姿で銀髪ロリっ娘というアンバランスな組み合わせだが実力は折り紙つきである
「妹たちの未来を繋いでくれたことに感謝している」
「セインは未定だけどな」
「お前の本気と渡り合えるのは私だけだろ?捌け口として存分に私の体を毎日使ってくれても構わない!」
「言い方!」
チンクと同じようにボディーガードと考えていたが嫌がることを押し付ける趣味は持ち合わせていない、過剰戦力だがハウスキーパーとして雇うことを決めるのであった
「ところでお嬢はどうなる?」
「お嬢?…キャロなら魔力を大幅封印して知り合いの新婚夫婦が引き受けることになった。ミッドチルダじゃなくて3人で第6管理世界アルザス地方に移住する」
「故郷の復興か…色々と手間を掛けさせてすまない!」
「旦那の方は生殖能力を失ったから子供を引き受けることに忌避感を持ち合わせていないから」
会話で察してくれたと思うがクロノとエイミィは籍を入れた。入院中のクロノは2人の前から消えようとしたがエイミィが引き止め顔面を殴りつけて自身の気持ちをぶちまけた。互いを大切な存在だと理解した2人は同じ道を歩くことを決意し、キャロを引き取って彼女の故郷を立て直すことになった
「刑期を全うしたら迎えに行く」
「忘れたらどうなるか分かっているだろうな」
やっぱり自分はバトルジャンキーに好まれてしまうんだと思うのであった
「結局半年もいなかったな」
「私は出向して2ヶ月も経っていませんよ!」
誠とギンガは隊舎の周りを歩きながら解散式までの時間を潰していた。彼女はゲンヤと共に第108部隊に戻り、彼は長めのリフレッシュ休暇を申請し新居を探しながら地球にも顔を出す予定だ
「私たちの所にも来るんですよね?」
「しばらくお世話になるよ」
休暇後は彼も108部隊へ貸し出される。2人を借りたお返しという扱いで翌年の3月末まで所属し再び技術部に戻る算段となっている。他のフォワードたちも原隊復帰となり引っ越し作業に奔走していた
「誠さんつかぬ事をお聞きしますが私のあげた折り紙のメダルって持ってますか?」
「持ってるよ!クイントさんを助けた時と空港火災のヤツで2個」
「3つ目を受け取ってくれますか?」
ポケットから取り出したメダルは過去の2つと同じように手作りで形が少し歪だった。誠は頷いて了承の返事をして受け取る
「あの……メダルを開けてみてください」
「ん?分かった!」
言われた通りに折り紙を破らないように丁寧にメダルを解くと白い面に文字が書かれていることが分かった。それはたった4文字だがギンガの気持ちが籠った告白である
「『好きです』って、ギンガ!これっ…んん」
全てを言い切る前に彼の唇は彼女のモノで塞がれてしまった。そのままの勢いで地面に押し倒されてしまいギンガからの愛情を受け続ける。なおその様子を少し離れた場所でヴィヴィオと3人娘にバッチリ見られてしまいデバイスのジャックドールも撮影に尽力した。地球へ向かう席はもう1つ確保しなければならない
「ヴィヴィオは何て言うかな?」
「ママが2人いて嬉しいって言うと思います」
不動産会社に庭付きの広い家への変更と休暇中にナカジマ家へ挨拶することも予定に加わった。彼女の温もりを感じ取る彼はしばらくこの状態が続いてほしいと願うのであった
『機動六課最終レポート』
部隊長の八神はやての設立した機動六課は部隊運営という面だけを見れば失敗だが、虚像に隠れていた管理局の闇を白日の下に晒すことができたことは僥倖であった。悪しき慣例を打ち破る変革の1手としての評価は与えたい、またフォワードの面々も自身の強みを理解し良い顔に変貌したと実感する。心残りがあるとしたら教えたいことが山のように残っていることだが彼女たちは自身で足りないところを見つけ解決の糸口を見つけると思う
新部隊の設立についてですが身内登用は崩壊を招きます。相談相手としてベテラン局員や現場を知る叩き上げの人間が必要になると実感しました。若い人間=未熟者という訳ではありませんが八神はやての醜聞は同じ地球人として恥ずかしいと思いました
今後管理局の体制は大きく変わると思います。だからといって物事を理解できない若輩者を青田買いするのではなく、組織や部隊の在り方を正しく学んでから現場に送るべきだと進言します。自身も若手に教育をする立場であるため『力』と共に『心』を育てることに尽力するつもりです
これにて監視官の任を降ろさせていただきます。貴重な経験の場を用意していただき感謝しています
『ティアナ・ランスター』
亡き兄であるティーダ・ランスターを超えると思う。自身の役割を理解し周囲の人間から信頼を得ることに長けている。執務官希望と申していたが推薦人が必要であれば私の名前を利用しても構わない、彼女は新人の中で1番成長したと断言できます
ゼスト隊の全滅にもナンバーズは関わっていますが映像証拠がなく、メガーヌとクイントの証言だけでは立証することが不可能となっています(戦闘能力で考えれば姿を確認する前に倒されていると思うので)
六課は解散となりましたが、もう少しだけ続きます!
ナンバーズの就職先の斡旋が難しいかった。聖王教会に送るのも出来ませんしナカジマ家に全員任せるのは不可能なので落としどころを見つけるのが大変だった
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