心配性の実力者は今日も鍛え続ける   作:大気圏突破

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紹介します!

「孫の顔を拝ませてって言ったけど、本当に連れてくるなんて誘拐でもしたの?」

「師匠そこまで言わなくても」

「この場合って110番を押せば良いのかしら?」

 

 リフレッシュ休暇を申請した誠は地球に里帰りしてヴィヴィオをプレシアたちに紹介した。休みで戻ってくることは伝えてあったがサプライズで驚かそうとした結果、テスタロッサ親子はフリーズしアリシアは再起動するのに3分かかった

 

 

「それで貴方の相手は?」

「ちょっと待って!」

 

 彼は通信端末を起動させるとミッドチルダにいるギンガと繋いだ。彼女も今回の里帰りに連れてくる予定で進めていたが、ギンガの休みが取れなかったのでモニター越しの挨拶となった。互いの日程を合わせて改めて訪れるつもりだ

 

『初めましてギンガ・ナカジマです』

「この子の育ての親のプレシア・テスタロッサよ」

『テスタロッサって…フェイト執務官の?』

 

 彼女の質問に答えたプレシアは、今までのことを明かし弟子である彼に寄り添ってほしいと伝えギンガも強く頷いた

 

「常識が通用しない異端児だけど悪い子じゃないわ」

『存じています!誠さんは優しい人ですから』

「首輪を繋いでおかないと無茶をしちゃうから気をつけてね」

『分かってますお義母さま』

 

 

 女性たちの会話が続き、視線を奥の部屋に向けるとアリシアが膝の上にヴィヴィオを乗せて絵本を読んでいる

 

「桃太郎はお供の3匹を連れて鬼ヶ島へ向かいました。雉が鬼ヶ島全域を凍らせると犬が『流星火山』と叫んでマグマを変化させた両腕を上空へ向けて噴出し、拳のような形状の大きな火山弾の雨を降らし、逃げ惑う鬼たちを猿が指から光のレーザーを放って屍の山を作っていきました」

 

 どうやら地球を離れている間に桃太郎も内容にテコ入れが行われたようだ!視線に気づくとヴィヴィオが立ち上がって誠のところへ向かって歩きだして飛びついてきた

 

 

「大変だったね命が狙われたんでしょ?」

「波乱万丈な半年間だったよ」

 

 アリシアも近づいてきて持っていたチロルチョコをヴィヴィオの口の中に入れると娘はおかわりを要求するのでシゲキックスを入れたら涙目になってしまった

 

 

「泣かないの」

「酸っぱいよ〜」

 

 どうやら子供には酸味の刺激が強かった。ヴィヴィオの頭を撫でながら泣き止ませると誠は時計を見て玄関に向かう。これから翠屋に行って恭也たちと顔を合わせる

 

 

「預かろうか」

「ヴィヴィオにも食べさせたいし、昨日から遠足前の小学生みたいにウキウキしていたから」

「ふ~ん…そういえば何でフェイトは一緒じゃないの?」

「休暇を申請するのを忘れていたみたい、機動六課の事後処理が残っているから地球に来るのはしばらく無理だと思うよ」

「そうなんだ~……じゃあ罰ゲーム確定ね」

 

 物騒なことを口にしていたアリシアはAmazonのアプリを開いて何かを注文した。聞かない方が身の為だと思った彼は足早にテスタロッサ家から出て翠屋に向かう

 

 

 

「いらっしゃい~空いている席へ…って誠君!その子は?子育ての仕事でも始めたの?」

「初めまして六合塚ヴィヴィオです!」

「同じ苗字って…まさか?」

「俺の娘です!美由希さん」

 

 彼女の叫び声が店内に響き渡り、厨房にいた士郎たちも出てくると2人の姿を見て同じように叫び声をあげてしまった

 

 

「まさかもう子持ちになっていたなんて」

「最初は高町に懐いていたんですがシュテルやレヴィたちと遊ぶようになってから、俺の方にも懐いて受け入れようと思いました」

「じゃあ…なのはと?」

「だったらアイツと一緒に来てますよ、これが家内です」

 

 彼女たちにギンガの写真を見せて納得してもらった。隣に座るヴィヴィオは口の周りをクリームで汚しながらご自慢のシュークリームに満足している様子だ!

 

 

「ところで恭也さんは?」

「えっとねぇ…恭ちゃんなんだけど仕事でヘマしちゃって、少し前から入院してて」

「こんなところまで俺に似なくても」

 

 すずかの姉である忍と籍を入れた恭也だが海外で彼女の身辺警護をしている時にテロに巻き込まれてしまい、隣にいた彼女を守るために爆風から身を呈したことで負傷してしまった。命に別条はないが現在は近くの病院でリハビリをしながら治療を行っている

 

「アイツには伝えたのですか?」

「なのはには心配させない為に教えていない」

「俺から伝えるのは止めた方がいいですね」

 

 恋愛漫画なら会えそうで会えない2人に読者はヤキモキするが野郎2人である。それに彼が病院へ行けば普通に会うことが出来る

 

 

 

「美由希と行ってみるか?替えの下着を持って行くつもりだったし」

「お言葉に甘えて」

 

 彼女の準備が終わるまで彼はヴィヴィオの口を拭きながら近況を報告した。特に彼等の娘である末っ子のやらかした案件を口にすると夫婦は顔が曇ってしまう

 

「甘きに傾け過ぎた」

「甘さ云々の前に常識を教えるできでした。その辺はこれから教わるみたいですし成長してくれないと困りますが」

「因みにだけど縁談や浮いた話は?一緒にいたユーノ君だっけ?」

 

 顔を横に振った誠を見て安心と不安が混ざった顔になってしまい、高町夫婦は孫の顔を拝めるのは当分先になると思った

 

 

 

「エイミィがクロノ君と!」

「包帯まみれクロノの顔面を殴ってプロポーズして入籍した」

「いったいどんな状況よ」

 

 必要な荷物を持って美由希の運転するピンクのハスラーに乗車して目的地に向かう。どうやらエイミィは彼女に伝えていなかったようだ

 

「独身仲間がドンドン減ってくよ~」

「大変ですね」

「既婚者で子持ちの余裕かっ!」

「余裕です」

 

 小さい頃に道場で散々痛めつけられたので手を抜かずに報復に専念する。後部座席でヴィヴィオがテレビを見て覚えたのか「行き遅れ~」っと口にしていた。しかし彼女のスペックは普通に高いと思うが地球の男性の視力は0.1以下なのかもしれない

 

 

「恭ちゃんのところに子供が産まれたらオバサンって呼ばれるのよ」

「仕方がないですね美由希オバサン」

「誠君、このまま海に飛び込もうか?」

「愛する家内がミッドチルダで待っているので1人で落ちてください」

 

 

 

 駐車場に車を止めると彼はヴィヴィオの手を引いて恭也に渡す荷物を持って3人で病院へ向かった。個室のドアを叩くと中から入室許可の返事をもらい足を踏み入れると

 

「…誠なのか?」

「ロクゴウ君?」

 

 ベッドの上で横になる恭也と忍の妹である月村すずかがいた。会おうと思っていた人物たちと同時に向かい合うことが出来て少しだけ得をした気分になる

 

 

「お久しぶりです」

「なんで急に?今まで俺達のことを避けて」

「ちょっとした心変わりがありまして、所帯も持ちましたし意固地になるのは止めました」

「結婚したの?ロクゴウ君」

 

 2人にヴィヴィオを紹介しギンガの写真を見せた。恭也の方は納得してくれたが月村の方はワナワナと震えていて現実を飲み込むことが出来なかった。長らく交流を絶っていた同級生がいつの間にか結婚して1児のパパになっているなんて理解できなかった

 

 

「はやてちゃんが帰ってから色々あったんだね」

「怪我が治ってから大変だけどな、しばらく冷や飯食いになる」

「冷や飯って相当不味いことをやらかしたのか?」

 

 機動六課の不祥事を語っても理解させるのは難しい、当面の間は地球に帰ってこれないことを伝えると2人は少し曇った表情になってしまう

 

 

「ねぇこの人たちってパパの知り合い?」

「そうだよ!パパに剣術を教えてくれた先生とクラスメイト」

「ヴィヴィオちゃん!ロクゴウ君のことって大好き?」

 

 その質問に娘は大きく頷いて満面の笑みを浮かべた

 

「幸せなんだね」

「これからも幸せになるのさ!恭也さんも無理しちゃダメですって、奥さんが泣いちゃうでしょ」

「こんな掠り傷すぐに治す!万全な状態になったらまたやってくれるか?」

 

 木刀を握るモーションをする彼に向かって誠は少し苦笑いをして『四次元マンション』の中からメタルシャフトを取り出して恭也に向ける

 

「最近はこっちがメインなんで、よろしければ受けて立ちますよ」

「構わない!またお前と交えることが出来れば」

 

 やっぱりバトルジャンキーだ!きっとサイヤ人のようにボロボロの状態から復活するとパワーアップしているのかもしれない

 

 

 

 

 時計の針が面会時間を終える位置を示していたので彼等は病室を後にした。美由希にテスタロッサ家の前まで送ってもらうと

 

「ロクゴウ君…あの、そのごめんなさい!」

「もういいよ言っただろ意固地にならないって、それに早く向こうに行けたことでギンガと出会うことが出来たんだ!感謝してる」

 

 そう言って彼はドアを閉めて2人の前から姿を消した。固く閉ざされていた氷塊にツルハシの一撃を叩き込み止まっていたものが再び歩き出した。今まで言えなかったことを口に出すことが出来ただけでも1歩を踏み出したことに拍手を贈る

 

 

 

「遂に私もお婆さんになってしまったのね」

「年相応じゃないですか?」

 

 夕食が終わりアリシアとヴィヴィオは一緒に入浴している。彼はプレシアと向かい合わせで座り駄弁っていた

 

「どうするつもり今後は?」

「守る人が出来ましたし、以前のような無理をするのは止めようと思います」

「家族を悲しませないこと、1番大切で重要なことで見落としやすいわ」

 

 彼女は9年前のことを思い出す。時の庭園を暴走させて地球に辿り着いて自分たちを助けてくれた男の子は立派に成長して伴侶を得た。きっと家族のことを大切にするだろう

 

「フェイトが生き遅れたら貰ってくれる?」

「良い人が見つかるように賽銭箱へ1万円入れておかないと駄目ですね」

「そうね、絵馬に書かないと」

 

 お風呂場から飛び出してきたヴィヴィオの突撃を受け止めながら濡れた髪の毛を乾かす。とりあえず彼女が服のプレゼントをしてきたらギンガと相談して着用の有無を考えよう。親子2代で際どい服を着ている。ここいらでその連鎖を断ち切る必要がある

 

 

「幸せになりなさいよ!私からの最後の課題よ」

「生涯掛けて取り組んでいきます」

 

 

 

自分の師匠は最高の指導者だと思う誠であった




とりあえずストライカーズ編は終わりです。4期のヴィヴィストは展開として難しいので区切りとします。次話は後日談と書けなかった没ネタを入れて完結に向かおうと思います

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