プレシア・テスタロッサによる魔法の授業は『四次元マンション』の中で行われる。基本は夕食後の3時間で座学+実践形式で彼女の説明に対して質問をしながら進めていく
以前にも述べたが彼は魔法に関して我流で鍛えていたことが災いし、魔力操作や出力調整が雑に行われていたので最初は基礎を中心としたトレーニングとなった
「(馬鹿げているわね)」
彼女は目の前にいる彼を見ながら目眩に似た症状に陥っていた。誠は敷き詰められた剣山の上に裸足で立って足の裏から魔力を放出し縄跳びをしている。本来なら痛みでのたうち回るのだが着地をする瞬間に展開し飛んでいる時に解除を繰り返す。最初は足の裏全体に纏わせていたが今では針の刺さる部分だけである
「(あの子もこうすれば強くなったのかしら)」
いや多分この変態がおかしいだけである。彼の趣味で眼鏡を掛けた女教師スタイルのプレシアは少し前のことを思い出す
「先生!魔力の形態や性質を変化させることって可能ですか」
「魔力変換技術のこと?可能だけどそれは才能の世界よ」
彼女は電気変換した魔力弾を誠に向けて放つと着弾した瞬間にビリビリと痺れてしまう
「別エネルギーに変換・付与を学ぶよりも基本の…」
「出来た!」
「……っえ?」
球体化した魔力を引き伸ばし紐のように細長くしている。それはゴムのように弾性に優れガムの粘着力を有してる。これが戦闘の役に立つとは思えないが変換魔法を簡単にやってのける姿を見て冷や汗を流した
「プレシア先生は最高の指導者です」
「(特に何もしていないけど、本人が納得してるなら良しとしましょう)」
縄跳びが終わると彼は冷蔵庫から持ってきた豆腐を優しく握り魔力を纏わせて岩を叩き始める。これは誠が編み出した操作と出力調整を同時に行う訓練で、過剰な魔力を注ぎ込むと豆腐は爆散し少なすぎると岩を叩いた時に崩れてしまう
「(麻婆豆腐が4日続いたときは大変だったわ)」
なお明日の朝食には豆腐とネギの味噌汁が並ぶのであった
「珍しいですね2人揃って」
7月に突入し彼が起きる頃には、太陽は顔を覗かせるようになり5時前後でも周囲は明るくなっている。いつものように走ってトレーニングを行う丘へ向かうと恭也の他に妹の美由希がいた
「実はもう1人いるんだ」
彼女の言葉に”ついになのはが謝るのか?”と思っていたが現れたのは若々しい男性で、恭也のお兄さんのように見えるが2人の父親である高町士郎だった。彼は誠の前に立つと爽やかな顔で挨拶をして頭を下げる
「あっバイトの時間だ!」
とてもすご~く嫌な予感がした。このバトルジャンキー兄妹の製造元の父親ということは濃縮されたバーサーカーじゃないのかと思ってしまった。誠の中にいるリトル誠が”逃げ出せ!”と命令する。全力全開の身体強化魔法で回れ右をして軸足に力を籠めてスタートを切るが
「捕まえた」
進路上には美由希が待ち構えていて彼女のお腹にダイブする形で捉えられてしまった。バニラエッセンスの香りに抱きしめられ柔らかなウエストを堪能したい気持ちはあったがピンチが押し寄せてくるのだ
「ちょっと見ないうちに成長してるね。こりゃ将来有望だ!」
結局羽交い締めにされてしまい身動きが取れなくなってしまった。背中に当たる胸は成長の余地アリだ!
「それだけ動けるなら準備運動はいらないな」
「誠君、胸を貸してやろう!」
もうやぶれかぶれだ!木刀を受け取った彼は不退転の覚悟を持って巨悪に立ち向かう。頑張れ誠、もしかしたら一矢報いることが………
「父さんやりすぎだって」
「つい熱くなって」
出来ませんでした。防戦一方で士郎の攻撃を捌きながらカウンターを仕掛けるも楽々と躱されてしまい反撃を許してしまうがボロボロになりながら最後まで諦めずに立ち続けたことを褒められた。
「やっぱり恭也の見立て通りだ!」
「なら」
「だが決めるのは彼自身だ!俺たちが強要しちゃいけない」
どうやら彼に『小太刀二刀御神流』の可能性を見出していたようだ。恭也としては誠に弟子として育てたい気持ちに駆られていたが父がそれを見透かすように諭す。自分たちのエゴを小さい子供に押し付けるのは指導者として最低の所業である。彼が心の底から学びたいと口にしたとき手を差し伸べるべきだと伝える
「1つ質問いいですか?」
「なんだい?なんでも答えてあげるよ、桃子との馴れ初めは駄目だが」
「恭也さんから要人警護をしていたと聞いたんですが、敵対したくない武器ってなんですか?」
それは経験者から聞き出したいことだった。初めの頃は金属バットを用いていたが恭也から剣術を指南されるようになると違和感を抱くようになり振るのを止めた。しかしまたボインちゃんのような存在に襲われるかもと考えていた誠は新たな武器が欲しいと考えている
「変わったことを聞くんだね」
「SPや要人警護をしている人なんて身近にいませんし、気になって」
「そうだね…私の経験だと”無手”が厄介だったな」
「無手?」
その言葉に彼は頭にクエスチョンマークを生産する
「剣や刀・ナイフを持っていたらどんな攻撃をしてくる?」
「切る・突く・投げるってところですかね」
「じゃあ銃だったら?」
「撃ってきますね弾倉がある限り」
なんとなくだが士郎の発した”無手”の意味を理解した。見えているから対処をすることが出来る。しかし何も持っていないというのは選択肢の次に進めないことである。
ポケットの中に何かを隠し持っているのか?履いている靴から刃物が飛び出してくるのか?そのまま殴り掛かってくるかもしれない、相手の後塵となって対処が遅れてしまうのだ
「あと日用品も侮れない」
例えば街中で木刀を持っていたら確実に警察から職務質問をされて捕まってしまうが、園芸用品をビニール袋に入れていたら不審者には思われない、現にロシアでは土を掘るシャベルを戦闘に用いる訓練をしている
暗殺者にとってボールペン1つで任務を遂行することが可能である。彼らにとって地球そのものが仕事道具が詰め込まれたポケットなのだ
「肉体は金属探知機じゃはじかれない」
「裸一貫でハイジャックって漫画の世界ですよ」
多分だけど目の前にいる3人が同じ飛行機に乗れば出来てしまうかもしれない、答えをもらうはずが更に頭を悩ますことになった。誠は学校の図書館で『世界の武器辞典』を借りるのであった
読者の方々ならそろそろ察するであろう。だいたい話の終わり頃にはプレシアが際どい格好をしてくる頃だろうと思っているのでは?
確かにそうだ!と断言出来る。胸を揉まれてパンイチ姿を直視し裸エプロンを堪能した。じゃあ次は何だと問われると
「かなり鍛えてあるわね」
「お兄さんムキムキだ!」
3人でお風呂に入っているのだ!もちろんプレシアはタオルなんて巻いていない姿で誠の背中をタオルで擦っている
「日本には裸の付き合いという言葉があるそうね」
この言葉がきっかけだった。ありがとう日本文化よ!混浴風呂を重要無形文化財に登録してほしい今すぐに!日本が誇る最高の文化であることを世界に伝えたい
「胸が当たってますって!」
「そう?背中を洗っているんだし普通でしょ」
「顔が真っ赤だよ」
見るのと触れるのでは破壊力が違うのだ!確かに彼女の胸を揉んだこともあるし生で直視をしたこともあるが今回は事故や偶然ではなく必然である。エロが大好きな彼でもこれはオーバーキルなのだ
「じゃあお願いね」
泡の詰まったスポンジを渡されると彼女は背中を向けた。
"誠心誠意やらせていただきます"
子持ちのバツイチとは思えないほど肌は綺麗でスポンジが滑らかに動いていく、時折勢い余って滑ってしまうが全体を満遍なく泡だらけにする
「じゃあ流しますね」
シャワーのお湯を振りかけながら隅々まで洗い流していく、まさに至高の労働だった。生前に叶えることが出来なかった女性との入浴を満喫している自分は幸せであると実感する
「それじゃあ貴方のも流すわ」
プレシアが正面を向いてしまい綺麗な肢体が目に焼き付ついてしまった。陥没から解放された突起は薄紅色を小さく主張していた
「(落ち着け!俺よ……素数を素数を)」
反応しないように心頭滅却をイメージし心を落ち着かせる。ここはR18じゃないんだ!しかし彼女の全てを脳内フォルダに記憶することに成功した誠は流してもらい3人で湯船に浸かる
「ありがとう」
「えっ?」
突然の言葉に戸惑う
「君が救ってくれたから、私とアリシアは明日を迎えることが出来た!返しきれない恩が沢山あるわ」
「ちゃんと返してもらってますよ!」
「それでも言葉で伝えないと」
半回転して彼女の胸ではなく目を見つめる
「それに1人でいるより、3人でワイワイガヤガヤするのが楽しいですし」
「そう…君なら……あの子を」
何かを言いたげだったが口をつぐんでしまったので問い詰めることはしなかった。のぼせる前に湯船から上がり3人で体を拭き合う
これからもこんな日々が続くようにと願うが、平穏な日々は4人の騎士たちによって壊されるのであった
そろそろA's編に入ろうと思います
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