進撃の巨人---lostpeople 作:mokahurapeto-no
俺は...空を飛んでいたんだ。
なんで?って聞かれると自分でもわかんねえけど、
どうしても...見たかった。
ここに来たかった。
体がふわふわして、夢みたいだ。
なのに、何故か血のにおいがする。
耳元を風が音を立てて横切る。
壁の中で夢見ていた景色が、眼前に広がる。
何もねえ、雲一つ。
青くて、綺麗で心地がいい。
ああ、俺はこれを求めていた。
この光景を。
「やっと。やっとだ。俺はこの眺めを...」
もっと近くに
もっと先へ
もっと――
一歩足を踏み出した時、何かが触れている。
なんだろう?と思い、下を向く。
いや、向いてしまった。
「は?...なんで?」
そこには血まみれの死体があった。
その中の一つと目が合った。
体の向きに反して、こちらを見ていた。
「ねえ?幸せになれると本気で思ってるの?」
その瞬間、理解した。
ーーー理解なんてしたくなかった。
俺が...人類の八割を踏み殺していたことを。
_____
第一話
19年後の君へーーー
エレン、エレン、エレン!!
「っは!」
「エレン、早く帰らないと日が暮れちゃう。」
な、何が起きた?
おれは...だって死んで...
「ミ、ミカサ?」
「...どうしたの?エレン?」
ミ、カサ..
ミカサミカサミカサっ!!
「ちょ、エレン!?なんでいきなり抱き着くの?」
「ミカサ、、ずっと。俺はずっと...」
「どうしたの?大丈夫?」
「もう離れないでくれ。幸せにするから死ぬまで一緒にいてくれ」
「エレンがおかしくなった...」
俺は、過去に戻っていた。
「いきなり抱き着いた挙句、唇まで奪おうとするなんてどうかしてる」
「だから、しょうがないだろ。好きなんだから。」
「...夢見がちド変態男。」
「ド変態!?」
まあ、こんな風に軽口をたたいていることがその証明だろう。
何故だ?
俺は確かに人類の八割を殺した。
そして、ミカサの手によって殺された。
その他の結末もあった。
だが、俺は選ばなかった。
何故なら、それが一番いい道だったからだ。
俺が死なない運命もあったかもしれない。
だが、その場合他の奴が死ぬ。
どうあがいても、同じ最後だった。
決定していた。
途中までは何処へでも行けた。
行動を選ぶことも可能だった。
ただし、結末は違う。
気づけばいつも同じ地獄にいる。
もがいても、いつも同じ場所だった。
だから、俺はやるしかなかった。
「やるしかなかった」か。
...違うな。結局のところ我慢できなかったんだ。
延々と続く日常に、
変わらない日々に、
自由への渇望が、
欲望が、
あるいは生まれてきたときから。
抱きかかえてきた「何か」を抑えることが出来なかった。
だが、今は違う。
俺は死んだ。
もうやり切ったんだ。
前の世界では結末が決まっていた。
だが、今は違う。
前世の記憶を持った時点で未来は変わっている。
変えられる。
人生を。
結末を。
もう物語は終わったんだ。
俺は人生を変える。
______
超大型きょ...ああ、めんどくせーな。
ベルトルト襲来まで、四時間を切った。
はっ、世界一似合わねえ役回りだな。
一先ず優先させるのは家族の避難。
だが、今の俺じゃ何一つできねえ。
今優先すべきは...
「父さん、話があるんだ。」
もう間違えない。