進撃の巨人---lostpeople 作:mokahurapeto-no
「コツ、コツ」
二つの足音が暗い空洞に鳴り響く。
やがてその足音は止まる。
「ガチャ」
何かを開ける音が聞こえた。
「ギイィィ」
何かが開かれようとしている。
それは果たして幸か不幸か。
生まれながらに前世の記憶を持った男、
そして、世界の秘密を覗いてしまった父、
その二人が出会ってしまった。
それは果たして希望の光か、
はたまたさらなる地獄への扉なのか、
今はまだ分からない。
_____
「エレン、ここに来るのは初めてか?」
「いや、二回目だ」
「そうか、そしたらもう見てるんだな」
「ああ、あの写真もみた。」
部屋の中をふらふらと、夢遊病患者の様に散策した後、父さんは椅子に腰かけた。
「私は九つの巨人には特性があると言ったな?」
「ああ」
「そう、それぞれの巨人にはひとつずつ特性がある、、、はずだった。」
「は?」
「消えた。」
「そんなはず...」
確かに俺は進撃の能力を受け継いでいた。
道から記憶が送られて、、、
「原因はエレン、おそらくお前だ」
「そんなことは!.......俺が死んだからか?」
そもそも道は誰から送られてきていた?
ユミルではない。
あいつは受動的に受ける未来なんか望んでいない。
能動的に動く結末を見たがっていた。
そうなると、残るのはただ一つ。
「俺か、、、」
俺が未来から送っていた。
ただ、今回俺は記憶を持ったまま転移、または転生してしまった。
その時点で道は崩壊した。
本来、知るはずの無かった未来、行動、その全てを知っている。
本来あるべき違う選択をしてしまう。
だから、今回あるはずのない不測の事態が起きた。
「そんな所だろう。父さん」
「私も概ねそんな所だ。第一全てを網羅するというのは難しい。この仮説を取り敢えず立てておこう」
「しかし、どうするか。このままだと超大型巨人が襲来してしまう」
「父さん、超大型巨人じゃない。ベルトルトだ。言っただろ?奴の本名を」
「あぁ、そうだな。愛しき妻を亡くす原因となったあいつか。」
「次会った時、殴るなよ?」
「ああ、もちろん。そんなことはしない。雷槍を喉元にぶち込むだけさ。」
「「はっはっはっ!」」
鉄板の雷槍ネタをした後、不意に無言が空間を包んだ。
本当にどうする?
50メートルの壁を越すほどの巨体
そして、城門を破壊するほどのパワー、
極め付けは操縦者、声を大きくしては言ってないが同期の中で才能はずば抜けていた。
主に体の使い方習得の速さはずば抜けていた。
説明されてもないのにすぐ出来るようになる、
そんな奴だ。
仮に今ここで父さんと、ベルトルトがやり合ったとしても勝ち目はねえ。
百だ。断言できる。
百パー負ける。
戦鎚がいて五割ってとこだ。
となれば...
「対話による解決以外に道はねえ」
「エレン、正気か?」
「ああ、正気も正気さ。」
「奴らを止められるのか?」
「一つ、一つだけ方法がある。」
「それは....」
_____
超大型巨人壁破壊まで、およそ一時間。
シガンシナ区、城門前。
「ガラガラッ」
調査兵団補給部隊の到着により、城門解放。
厳正なチェックが行われ、その後物資が通過された。
ただ、樽の中を除いて...
シガンシナ区、城門上にて。
「...行ったな」
「ああ、アニが無事通過してよかった」
「なんだ。惚気か?」
「ちっ、違うよライナー!」
「分かってるよ。そんな大きい声出すな」
「それに、俺がここまで反対してるアニを連れてきちまった。必ず任務を成功させなきゃいけない。」
「ライナー...」
「ベルトルト、力を貸してくれ」
「もちろんさ。ライナー」
二人が決戦前の握手を交わしていた時、不意に声が響いた。
「俺もだ。ライナー!!」
瞬時にベルトルトとライナーは構えをとる。
「よお、十九年ごしの再開だなあ!?二人とも」
二人は気づかなかったが、微かにその少年の手は震えていた。
超大型巨人、襲撃まで五十分を切った。