進撃の巨人---lostpeople   作:mokahurapeto-no

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帰宅

 

 「エレン、あなた!!いったいどこに行っていたの?」

 

 丸一日、出かけると言って家を空けていた。

 そりゃ、そうなる。

 

 「ああ、ちょっと遠くのところまで診療に行っていたんだよ」

 「でも、何でエレンを?」

 「エレンが私の仕事に興味があったらしくてね、連れて行っていたんだよ」

 

 さすがだ。父さん。女二人を誑かしただけあるな。

 口がうまい。

 

 「そうなの?エレン」

 「ああ、そうだよ!」

 

 この時は生意気だったからな。

 今の精神年齢で、この年を演じるのきついな...

 

 「心配したんだから」

 

 そう言って、母さんは抱き占めて来る。

 ミカサも駆け寄ってくる。

 

 ああ、何年ぶりかな。

 人に抱きしめられるのって。

 

 あったかいな。

 

 温かくて、それで...

 

 「げぼっ、っはあ、うええ」

 「大丈夫!?エレン!!」

 

 殺した。

 こんなふうにいきてきたかもしれない人々を殺した。

 

 こんな風景を踏みつぶした。

 

 人類の八割。

 

 「はあっ、はあっ」

 

 両手で自分の体を包む。

 怖い。ひたすらにその事実が。

 

 俺は.......

 

 「ああああああああああああああ」

 「エレンっ!!!」

 

 空の上の光景              マーレの少年

 

        山小屋                   サシャ       ダイナ

 

 ユミル          初めて海を見た時       道       グリシャ

     死体

 

                  死体?

 

 死体...死体、死体死体死体死体

 

 俺が...殺した?

 

 

 

 

 

_____

 

 

 

 

 

 「エレン!!」

 

 肩をつかまれた。

 

 「父さん?」

 「お前...大丈夫か?」

 

 焦燥した顔だ。

 すこし青みがかっている。

 

 「なんでそんな顔をしてるの?」

 「なんでって...それは...」

 

 「お前が笑ってるからだろう?」

 

 

 

 

 

______

 

 

 

 

 

 

 あれから一週間がたった。

 

 今日は建国祭、町中が祭り騒ぎになっていた。

 まあ、概要を知っている俺たちからすると、道化にしか見えねえが。

 

 今日はミカサと二人で町中を旅する。

 

 「エレン、最初はどこに行く?」

 

 いつもクールなミカサが珍しく、年相応のトーンとテンションで聞いてくる。

 

 「そうだなあ、取り敢えず屋台を回るか」

 「分かった!」

 

 屋台をチラチラ覗きながらべったりくっついて歩く。

 因みに、少し前からミカサが二人で出かけるときだけ手をつないでくれるようになった。

 

 二人の時だけだ。

 

 アルミンがいるときは決してつながない。

 

 俺の告白が効いたのだろうか。

 

 「エレン、あれ食べたい」

 「そしたらあれ食うか」

 

 「すみません、カリタください」

 「はいよー、カリタ一つでいいかい?」

 「それで!!」

 

 カリタ、小麦粉で練った記事を砂糖と黒糖でコーティングして焼く料理だ。

 ミカサは大分気に入ってるらしい。

 俺は体重的に控えてるが。

 

 こんなことをミカサに言うと切れられる。

 なので以後、心の中でも考えないようにしよう。

 

 「はいよ!坊ちゃん」

 「サンキュ!」

 

 「今日は二人でデートかい?」

 「あー...」

 

 ちらとミカサの方をみる。

 

 耳が赤くなっている。

 しかも、少しうつむきがちで。

 

 だが、小さくこくりとうなずく。

 

 「今日はデートです」

 「かあー、いいねえ。お嬢ちゃん綺麗だな。小僧、いい女手籠めにしたな!」

 「自慢の女です!」

 「おお、お前もいい男だな。人前でいうその男気に免じて、坊主にもカリタをやろう!」

 「ありがとう」

 「いいってことよ」

 

 気のいい店主に手を振りながら、また歩き出す。

 

 歩いてるとそっと、手が重なり合う。

 

 今日はいい日になりそうだ。

 

 

 

 

 

_____

 

 

 

 

 

 祭りを回って、二人で踊って、近くに座っていた老夫婦と話して、

 いつの間にか日が暮れていた。

 

 なんとなく、本当に何となくあの大樹のところへ向かった。

 

 風は随分涼しくて、耳の横を突き抜ける音は軽やかだ。

 

 二人そろってあの木に横たわる。

 

 まるでこの世界に二人だけの様な、

 そんな全能感が体を支配する。

 今だったら二人で何でもできる。

 そんな気さえした。

 

 日が暮れていても、まだ祭りは続いている。

 人の喋る声や、街の音がやたら聞こえる。

 

 何の虫かは分からない鳴き声と、片方は微かな草と花の手ざわり、上には星空、

 

 片方は好きな人とつないでいる手。

 

 これだけでよかった。

 幸せを感じる。

 

 人の体温が伝わってくる。

 

 少しだけ甘いようなにおいも感じる。

 

 ひたすらにいとおしく、こそばゆい。

 

 抱きしめたくなる衝動に駆られる。

 

 ミカサは俺のすべてだ。

 

 

 ああ、こんなの前にもあったな。

 

 マーレに言った時、難民キャンプで酒盛りしたっけな。

 コニーが速攻でつぶれて、サシャがバカみたいに飲んで、ジャンがその二人の重りをして、アルミンはすぐ寝て、ミカサは少し酔って、俺と二人で抜け出した。

 

 外の空気すいながら、こんな見た目の気に腰かけたっけ。

 

 何もしゃべることもないし、喋らなかった。

 

 なのに、会話するよりも充実して、居心地がよかった。

 

 

 そうだよな...あった出来事なんだよな。本当に。

 

 

 

 

 .......

 

 

 

 「俺さ、祭りの最後嫌いなんだ。」

 「...なんでぇ?」

 「終わるって思うと猛烈に悲しくなるんだ。むなしくなって、どうにかなっちまいそうになる。」

 「...終わってほしくないんじゃないの?」

 

 「...そっか。俺終わってほしくなかったんだな。」

 「...でもさ、エレン。どんなものにも終わりはあるんだよ。」

 

 終わりは...ある。

 消えないものなんてない。

 死なない生物なんていない。

 泣かないひとなんていない。

 だって、俺は泣いてるから。

 

 それでも、終わらないでほしい。

 消えないで居たい。

 君には泣かないでほしい。

 

 そんな世界でありたい。

 

 俺は失ってばっかりだ。

 

 でも、今度こそ。

 

 俺は君と生きていきたい。

 

 

 

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