ふと、そう思う時がある
俺は青春を感じられるのは中学生だと思う
その中学生の間、俺は芸能界に居たため青春を味わっていない。
その様な人間はきっと他にも居るだろう
同じ境遇の身として助けてあげたいと思うのはエゴだろうか…
「志歩、入るぞ」
「ん、大丈夫」
俺は志歩に用があって志歩の部屋に入ろうとする
何故なら俺は勉強がそこまで出来ないのだ。
だから優秀な妹の力を借りようというわけだ。
「お兄ちゃんから来るなんて珍しいね」
「ちょっと勉強を教えてほしくて」
「まだ学校始まってそこまで経ってないでしょ」
確かに志歩の言うことも一理ある
学校始まってから全然経ってないのに勉強に遅れていたらこれから先のことなんて考えたくなくなってしまう。だが仕方ないのだ。できないものは出来ないのだから
「で、どこを教えてほしいの?」
「理数系なんだけど良い?」
「私もそこまで出来ないんだけど」
そんな事を言われても今更後には引けない。
突っ込むしかない。どうせ志歩のほうが比較したら出来るという結論に落ち着くのは明らかだからだ
「でも俺よりは出来るでしょ」
「それはそうかも」
ここまで辛辣な子だったかしら。
いくら自虐で言ったとしてもそこに便乗するのは御法度というやつだ。普通「そんなことないよ」でまーるく収めるはずなのに…
「…ということでお願い」
「ラーメン奢りね」
やったぜ。なんかラーメンついてきたけどやっぱり俺の志歩ちゃんはチョロくて可愛くてツンデレな頼もしい最高の妹だ。
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「…最近どうなんだ、一歌たちとは」
「別に、言うようなことじゃないでしょ」
急にお兄ちゃんが変なことを聞いてくる。
確かに前、いつか全部話すって言ったけど今じゃないでしょ
「言ってくれるって…」
「まだ無理」
正直な所、お兄ちゃんには迷惑をかけたくない。
今まで芸能界で仕事をしてきたからこれから私の助けになりたいっていうお兄ちゃんの気持ちも分かるけど、もう無理して欲しくないから。
「そんなに頼りないか?」
「そういう訳じゃないけど…」
お兄ちゃんは多分私の弱点を少しは理解しているのだろうどこか悲しそうな雰囲気を醸し出しつつ、私と話をしている。流石にここまでされたら断れない。弱いんだろうな、私
「…分かったから、少し話す」
「ほんとか!!」
さっきまでの雰囲気はどこへやら、パーッ!という擬音がピッタリな感じで顔が明らかに晴れていく。乗せられたと分かってしまう。
「でもそんなに期待しないでよ」
「分かった」
今までと打って変わって神妙な面持ちをしだすお兄ちゃん。そこまでの話じゃないから真剣な顔されると少し変な気持ちになってしまう。だから私はお兄ちゃんに話しだす
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「中学生の頃なんだけど、私はみんなとワイワイするの好きじゃないでしょ?だから1人でベース弾いてて、みんなの誘いも断ってたの。それでクラスメイトから少しずつ避けられるようになって、そこから一歌たちの事も悪く言われ始めた…でも、それっておか、しいじゃん…!」
何故か目から涙が出てくる。
悲しいわけでも悔しいわけでもないのにどうして…?
そんな私を見てお兄ちゃんはそっと優しく私を抱きしめ頭を撫で始める。お兄ちゃんは優しいな、やっぱり。
「ごめんな、気づいてあげられなくて」
「………ッ」
どうして?どうしてお兄ちゃんが謝るの?お兄ちゃんは何も関係ないのに、何もしてないのに。それを言おうとしても涙のせいで上手く言葉も発せない。
「ううん…お兄ちゃんは悪くないよ」
「いや、俺が気づいていたら」
やめて。そんな事言わないで。そんな悲しい顔で。
だったら話さなきゃ良かった。そう思ってしまうから。
「お兄ちゃん、お願いだからそんな事言わないで」
「………!!」
そこで俺は気づく。志歩が泣いてた時よりも更に悲しそうな顔をしていることに。きっと本当に俺に言って欲しくないのだろう。
「私が起こした事だから、私が解決する」
「…そうか、頑張れよ」
志歩の顔が涙と決意の顔に変わる。
きっと俺が志歩の手助けをする事は必要ないだろう。
俺がするべきは一歌や咲希、穂波の方だ。
「1つだけお願いがある」
「どうした?」
志歩がお願いがあると言ってきた。とても珍しいことだ。
力になれるだろうか。いや、なるしかない。
「お兄ちゃんも幼馴染として手伝って」
「分かった」
そうだ、俺はただの志歩の双子の兄ではない。
一歌たちとは幼馴染じゃないか。何で忘れていたんだろう
言うほど馴染んでいないからか?なんでもいい。
ここから俺は幼馴染として動いていこう