俺は今、宮女にいる。宮女というのは宮益坂女子学園のことである。もちろん、女子校なわけで周りからの視線が少し痛い。
何故こうなったのかと言うとそれは今朝の話に遡る…
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「お兄ちゃん、お願いがあるんだけど」
志歩から頼まれたわけだ。俺が妹の頼みを断れるわけがない。それが例え話の内容すら聞いていなくてもだ。
「今日、宮女に迎えに来てほしいの」
「ん…?」
思わず、耳を疑う内容だった。
何故俺が宮女に行かなければならないのか?
行く必要があるのか?いやない。(反語)
「まずは理由を聞いて」
「すいません…」
どうやら顔に出ていたらしい。
行きたくないというのがバレてしまった。
だって行ったらもみくちゃにされるに決まってるじゃないか。俺をそんな所に放り出して苦しむ様を見たいというのか!?
「お兄ちゃんには、一歌と咲希に会ってほしいの」
「…なるほど」
それなら志歩の説明も理解できる。
志歩より俺が会ったほうが良さそうだしな
とは言ってもだ、可能性はそこまで高くはないだろう。
「くれぐれも私の作戦って事は言わないでよ」
「…御意。」
というわけだ。
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早く一歌たち来てほしいんだけど。
結構周りがキャーキャー騒いでるし。
へるぷみー、えー〇ん。( ゚∀゚)o彡°エーリンエーリン
そこの既視感ある青髪の人に聞くしかないか。
「あのー、すいません」
「はい、って海都…!?」
「お、遥だったのか。ちょうどいいな」
既視感ある青髪の人の正体は元ASRUNの桐谷遥だった。
何故そんな人と知り合いかって?何回言えばわかるんだ?俺が元アイドルだって。
「久しぶりに会う人にちょうどいいって失礼だね」
「ははは…」(メソラシ)
意外とこういう場面になると遥は恐ろしい。目がガチだし、オーラがキラキラじゃなくなってるしそこまで怒らないでほしいんだけど…
「そうだ、一歌と咲希見た?」
「星乃さん、天馬さん…?もうそろそろ来るんじゃないかな」
ありがたい。今は遥が女神に見える。
今度貢ぎ物でもしようかしら
「じゃあ、時間ないし私はこれで」
「おう、さんきゅ」
遥が嵐のように過ぎ去った所で運は俺にやってきたみたいだ。奥から一歌と咲希がやってくるのが見える。
「海都、久しぶりだね」
「一歌、咲希!久しぶりだな!」
演技っぽいと思われるかもしれないが至って本心である。幼馴染に久しぶりに会った人の反応ってこんなものであろう。ていうかあってほしい。
「どうしたの?志歩だったらまだだけど」
「あー...実は一歌たちに用があるんだよね」
ここからが本番だ。緊張するな、相手は幼馴染かつ妹の友達だぞ。確かにハードルが高い行為だが、俺ならいける!!
「わたしたちに??」
「まぁ、良い店知ってるからそこで話そうよ」
黄色い髪を揺らしながらきっと頭の中ではハテナマークで溢れているであろう咲希と、サラサラヘアーを風になびかせるTHE・クールビューティーな一歌を連れて俺はとある店に向かう。
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「ここだよ」
「確かに雰囲気が結構しっかりしてる」
計画通り、2人を店に連れることに成功した。
この店は俺が芸能界で仕事してた時から利用している行きつけの店だ。ここに来る人は軒並み有名人なので、店員が情報を漏らすことが基本ないという利点があったりする。
「すっごーい…!テレビで見た人ばっかだ!!」
「サインとかは御法度だからな」
「ちぇ、部屋に飾ろうと思ったのに」
芸能人に目を輝かせる咲希にこの店のマナーを伝えると、明らかにつまらなそうな顔をする。しょうがないだろう、この店のコンセプトは芸能人が仕事を忘れてゆっくりできる場所だからな。
「その子たちは見ない顔だね」
「マスター、俺の幼馴染だ。少しくらい良いだろ?」
「他でもない君だからね、特別だよ」
やはり、マスターというものはこうじゃなきゃ。
優しくて頼りになる。これで仕事もバリバリ出来るタイプだから完璧人間そのものだ。
「で、話って…?」
「いや、最近志歩とどうなのかなって」
さて、本題はここからだ。場所を設けて終わりじゃない、一歌たちの思いを聞き出さなければいけない。
「…それがそこまでなんだよね」
「しほちゃん、前は仲良くしてたのに!!」
やはり志歩の言う通りみたいだ。志歩はクラスメイトと一匹狼であるため、離れてしまった。そこから一歌たちにも飛び火し始めたため本当に1人になってしまったのだから。
「てか!アタシもうみくんに聞きたいことあるんだけど!!」
「お、おう…」
『うみくん』というあだ名も久しぶりに聞いたな、とも思いつつズイッと体を乗り出しながら咲希が勢いよく俺に質問してくる。
「なんで……」
「何で、芸能界をやめちゃったの!?」
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