【完結】転生って人の心とかないんか?―有象無象のヒーローごっこ、三歩下がってついといで。   作:まだら模様

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戦場を埋め尽くすのは、絶望的な数。

 トゥワイスの増殖個性「サッドマンズパレード」が、数学的な暴力となってプロヒーローたちを飲み込んでいく。

 個の強さを無意味に変える物量の嵐の中で、禪院直哉は静かに扇子を閉じた。

 脳裏に去来するのは、死柄木戦で掴んだ「黒閃」の残り火。極限まで研ぎ澄まされた呪力の感触(ゾーン)が、彼に未踏の設計図を広げさせる。

 「——やるしかないやろ」

 結ばれる掌印「断層の構え」。

 紡がれるのは、世界の色彩を拒絶する三節の詠唱。

 1/24秒のフレームに執着し続けた男が、ついに自らの心象風景を現実へと上書きする。
 音が消え、極彩色の波紋が広がる漆黒の鏡面の中で、増殖する悪夢は「白黒の静止画」へと還っていく。

 領域展開——
 その幕が、今、上がる。

キャラの語彙などの崩壊、ストーリー崩壊などの可能性がございます。
ご注意ください。

※最終決戦編の書き方を描きたい展開を加味して流れをオリジナルで製作しているため、今後の内容は原作とかなり決着までの形式・時系列が違う可能性があります。ご注意ください。

評価付与、感想は直哉の!そして私のテンションアップに繋がります!お願いします!



第63話:最終決戦編「領域展開——全てを染め上げる一撃」

 

 

AFOが戦場から一時退いたのを確認した直哉は、一秒の猶予も置かずに地を蹴った。

 

ターゲットは東。

 

「——群子山(ぐんしやま)山荘。あのお茶子ちゃんらヒーローが、トガヒミコと対峙しとるはずの場所や」

 

『空写』の広域探査が捉えた、もう一つの「致命的な決壊地点」——。

 

『空虚呪法・固定』

 

ビルの残骸が浮遊する空中に不可視の足場を次々と現像し、そこへ呪力弾と化した**『鏃』を叩き込む。爆圧を推進力に変え、さらに『投射呪法』**によって1秒を24枚に刻み、加速を積層(レイヤー)させた。

 

ビル群の隙間を縫い、重力を嘲笑うような変則的な「立体機動」で戦場を横断する。

 

到着したその場所は、もはや街ですらなくなっていた。

 

視界を埋め尽くす、黒と赤の濁流。

 

オリジナルの死を超えてなお、トガヒミコの執念によって産み落とされ続ける「絶望の群勢」。

 

直哉は空中で一回転し、複製体の波が届かない街灯の天辺に静かに着地した。

 

扇子をパサリと開き、眼下に広がる地獄を冷徹に見下ろす。

 

『空写』が鋭い警告を発した。

 

距離優先モード。半径700メートルの包囲網。

 

その東の端で、気配の数が異常な速度で膨れ上がっている。増殖が止まらない。  

 

(トガヒミコ…トゥワイス…この組み合わせは…インパクトが強くて断片的な知識にも残っとった!…せやけど、原作を思い出してもなんちゅう技や…規模や拡散性が他の技を凌駕しとる)

 

「—— 白黒の泥の津波(サッドマンズパレード)や」

 

直哉は低く呟いた。

 

戦場はトゥワイスの複製によって瞬く間に塗り替えられようとしていた。一人が二人、二人が四人、四人が八人。ネズミ算式の増殖が、物理的な圧力となって戦域を飲み込んでいく。

 

『空写』の解像度を上げれば、その一体一体が個性を備えた複製体であることが見て取れる。強度的には脆い。だが、問題はそこではない。数千、数万という単位になれば、個人の技量など物量の前では塵に等しい。

 

プロヒーローたちの気配が、目に見えて圧されている。ずるずると後退を余儀なくされていた。 

 

「——どいつもこいつも、同じツラさらして。……美しくないなぁ」

 

直哉は扇子をパサリと開いた。

 

そして、喧騒の中を静かに歩き始める。

 

複製体の波が、黒い濁流となって押し寄せてきた。

 

直哉は足を止めない。

 

(……うっとうしいわ)

 

『落花の情』を最小限の動きで発動し、迫る一体をオート迎撃で吹き飛ばす。

 

足元に呪力弾と化した『鏃』を叩き込んでその反動で右へスライドし、『空虚呪法』の射程に入った三体を瞬時に空間ごと固定した。

 

だが、数が絶望的に足りない。

 

「うるさいわ、少し静かにしとき」と指先一つで空間ごと叩き割って更に複数体を消し飛ばした。

 

しかし『空虚呪法』の干渉範囲を嘲笑うかのように、複製体は四方八方の死角から溢れ出していた。

 

「——『鏃・多重』」

 

十数本の鋭利な『鏃』を全方位へと同時展開する。複製体が数体、泥のように溶けて崩れた。やはり脆い。一定以上の衝撃を与えれば即座に崩壊する。

 

だが、溶けた分だけ、背後から新しい個体が補充される。

 

(……これは消耗戦やないな。倒せば倒すほど増えていく……ドブカスな設計やわ、ほんま)

 

直哉は『空写』を精度優先へと切り替えた。

 

「——本体はどこや?……!見つけたで」

 

東へ130メートル。

 

数多の複製の中に、他とは明らかに質の違う気配が一つ。精密な計測に基づき、この「地獄」を産み出しているオリジナルの熱量。

 

だが、これだけの物量を前にしては、そこへ辿り着く道筋すら描けない。

 

直哉は複製体の渦に身を投じながら、自身の内側の感覚を研ぎ澄ませた。

 

(……まだ、残っとるな)

 

少し前の死柄木戦。

あの再生を許さない同時多重攻撃の極限状態の中で、あの一撃が迸った。

 

『黒閃』

 

呪力と打撃が、0.000001秒という神の領域で最適に噛み合った瞬間の現象。狙って出せるものではない。だが、直哉は確かにそれを引き当てた。

 

あの瞬間を境に、直哉の呪力操作は変質していた。

 

密度が増している。術式の精度、そして『空写』の解像度までもが、一段上のステージへと跳ね上がっている。

 

(——ゾーン状態が、まだ残っとるわ)

 

『黒閃』を経験した術師は、一定時間、呪力操作の精度が極限まで高まるという。前世の記憶に眠る「呪術の理」。

 

(……今この瞬間なら、あの設計が形になるかもしれへん)

 

直哉は、ピタリと足を止めた。

 

「——この状況…やるしかないやろ!」

 

声に出した。

 

複製体が四方から牙を剥いて押し寄せる中、直哉の視界の中で、ある「像」が結ばれ始めた。

 

ずっと、設計の全体像は見えていた。

 

訓練の中で試験的に領域を完成させ、その感触も掴みかけていた。

 

だが、実戦でそれを出力する勇気も、確信も持てずにいた。

 

(……使えるかどうか、賭けや。確証なんてどこにもあらへん)

 

だが。

 

(——黒閃を経た今の感覚なら。この『ゾーン』の中におる今なら。……この土壇場の状況こそが、俺がそれを『使える』っていう最高の証拠になるんと違うか?)

 

「——やるしかないやろ!」

 

直哉はその言葉をもう一度、今度は静かに、自分自身の芯へと飲み込んだ。

 

四方から複製体の波が迫る。

 

その中心で、直哉は微動だにせず立ち尽くしていた。

 

一点の揺らぎもない。

 

扇子を静かに閉じ、両手を顔の前に掲げる。

 

——右手の親指と人差し指でL字。左手も同様に。

 

それらを緻密に噛み合わせ、瞳の前に長方形の「画角」を形作る。

 

「断層の構え」。

 

突進してきた複製体の一体が、直哉の不気味な静止に気づき、本能的に牙を剥く。

 

直哉は動かない。

 

意識するよりも速く、『空写』と『零駒』の連動によって『鏃』が自動的に射出された。複製体は直哉の指先に触れることすら許されず、泥へと還る。

 

だが、次が来る。その次も、その奥も。

 

(……時間がないな。一気にいくで)

 

直哉は深く、深く息を吸い込んだ。

 

「——重なりし有象(うぞう)、皆泥濘(ぬかるみ)」

 

詠唱が始まった瞬間、押し寄せていた複製体たちが一斉に動きを止めた。

 

本能的な危機察知。何かが始まる——その異様な予感に、戦場が凍りつく。

 

だが、次の瞬間には物量の津波が再び直哉へと牙を剥いた。

 

「——我が瞳に映るは、一刻の極彩」

 

複製体の先頭が、直哉の腕にその指をかけようとした——その刹那、直哉の右手が閃いた。

 

両手の中指を交互に弾く。それは、カタカタと音を立ててフィルムを回すような独特の所作。

 

「——余分は一画すら、許さへん」

 

 最後の一節。

 

  「————領域展開」

 

 

 世界が、反転した。

 

 音が——消えた。

 

複製体たちが押し寄せていた耳を刺す喧噪が、一瞬にして完璧な無音へと塗り替えられる。

 

もしこの時、上空を見上げた者がいたなら——そこには巨大な半透明のフィルムが、何重にも渦を巻いて天を覆う異常な光景を目にしただろう。

 

フィルムの一枚一枚には、コンマ数秒前の戦場の「静止画」が焼き付いている。無数の編集台が積み重なったような圧倒的な圧迫感。幾千、幾万の「過去の一瞬」が、天井のない空に吊り下げられていた。それはまさしくコマを設定し、描くための「編集室」のような有り様であった。

 

どのフレームも、完璧に停止している。動かない。

 

ただ「そこにあった瞬間」だけが、永遠としてその場に残されている。

 

(……俺にとっての世界は、元からこういうもんや。1/24秒で刻まれた、止まった瞬間の積み重ね。その設計を、今、外側に引き摺り出したったわ)

 

足元が変わった。

 

漆黒の鏡面。直哉が一歩踏み出すたびに、足元から油絵具をぶちまけたような極彩色の波紋が広がっていく。波紋に触れた物質の「色」は分離し、そのまま鏡面の中へと溶け落ちた。

 

空気が変わった。

 

音の振動すらも24枚の層に分解され、直哉が許容した音以外は一切響かない。真空に近い静寂の中、自分の呼吸音だけが耳に届く。

 

「——領域の内側や」

 

直哉は静かに、その心象風景の中心に立った。

 

直哉の領域は、通常の領域展開とは異なる異質な構造を持っていた。

 

空間を展開しただけでは——まだ、何も起きない。

 

術式の必中効果を対象に刻むためには、領域を展開した後、改めて別の掌印を組み、別の詠唱を刻み直す必要がある。領域展開はあくまで「空間を開く」という土台の操作に過ぎず、その中で何を起こすかは、術師の次の「設計」が決定する。

 

(当然やろ。一度に全部済まそうなんて、雅やないし、設計が甘いわ)

 

直哉はそれを、至極「当然の設計」と感じていた。

 

複製体の先頭が、領域の内側へと踏み込んだ。

 

直哉は両手の中指を、内側へと深く折り込む。

 

    「彩(いろ)は濁り、形は歪(いびつ)」

 

 

 詠唱が空間を走った。

  

  「有象無象(うぞうむぞう)、皆背景へと還るべし」

 

    墨色定着(ぼくしきていちゃく )

 

領域内の極彩色が、一瞬で向きを変えた。

 

四方八方から「色彩」が、踏み込んでくる複製体たちに向かって恐ろしい勢いで吸い込まれていく。

 

命の脈動そのものである「カラー」が強奪された。

 

複製体たちが——白黒に染まった。

 

動きが止まる。地面に癒着した影が、そのまま剥がせない「静止画」としてその場に固定された。

 

『墨色定着』が発動した瞬間、必中性が確立される。

 

領域内に踏み込んだ対象には、直哉の術式が「必ず届く」。逃走も防御も、原理的に不可能。

 

ただし、その必中は『墨色定着』という特定の効果にのみ限定される。直哉の領域は「必中の範囲を効果ごとに設定する」設計。

 

この空間において、墨色定着の必中とは「踏み込んだ者の色彩と動きを奪い、静止画へ変える」という結果を強制する。

 

(……動けへんのと違うで。お前らにはもう、『動く』っていう選択肢も、未来もあらへんのや。この一画に、大人しく定着しとれ)

 

一体。十体。百体。

 

領域に踏み込んでくるたびに、暴力的な増殖は白黒の彫刻へと変わり果てていく。

 

戦場が——不気味なほど静かになっていった。

 

領域を維持したまま、直哉は『空写』を精度優先で走らせる。

 

東へ130メートル。「本体」の気配を絞り込んだ。

 

「——いるな」

 

領域の外縁の向こう側。本体——トガヒミコが化けているトゥワイスが、そこにいた。

 

「——俺の領域を見てるな」

 

『空写』が本体の激しい動揺を読み取る。

 

当然だ。数万の複製体が、一人の術師の周囲で次々と白黒の彫刻に変わり、物理法則を無視して固定されていく光景。それは他者から見れば、不可解極まる「広域停止能力」としか映らない。

 

(——今の段階では、誰もこれが『領域展開』やなんて分からへん。AFOも、プロヒーローも

な。……それでええ。まずはそう誤認しとけばええんや)

 

直哉は本体に向かって、ゆっくりと歩みを進めた。

 

本体がよろめいた。

 

増殖という個性が、もはや機能していない。増やせば増やすほど、領域の内側に入った瞬間にリソースを白黒のゴミへと変えられる。増殖の「先」が、完全に閉ざされた。

 

「——な、なんだこれ……! ちがう、どういうことだ!」「なんだ!? なんなんだ!?」

 

トゥワイスの、矛盾し続ける二重の声が混乱に震える。

 

直哉は止まらない。

 

複製体が直哉の足元で次々と固定され、白黒の路面の一部となっていく。それを無造作に踏み越えていく。

 

「——お前……! 近づくな!」「近づくな! 来るな!」

 

本体が顔を歪めて後退し、複製体を盾にしようと試みる。

 

だが、その盾も——既に色彩を失った、ただの白黒の静止画だ。

 

そこにあるのは、何の防御力も持たない過去の残骸。

 

盾など、どこにもない。

 

直哉は、愕然とする本体の目の前に立った。

 

 

トガヒミコが化けたトゥワイスの顔が、驚愕に歪んだまま直哉を見上げていた。

 

「——お前、何をした……!」「何をしたんだ!?」

 

「終わりや」

 

直哉は感情の起伏を排した声で、淡々と告げた。

 

「——降伏するなら、これ以上傷はつけへん。続けるなら……続けてもええけど、結果は変わらへんで」

 

「こんな……こんなの……!」「バカなっ!」

 

往時を彷彿とさせる悲痛な叫びと共に、無理やり複製体を作ろうと足掻く。

 

だが、直哉が再び両手の中指を折り込んだ。

 

 「墨色定着」

 

詠唱を省いた簡易発動。

 

既にこの領域には『墨色定着』のルールが「現像」されている。一度定着した理(ことわり)を繰り返すだけなら、もはや掌印一つで事足りた。

 

直哉の周囲を中心に、新しく産み落とされようとした複製体たちが、胎芽の状態で白黒に染まる。生まれた瞬間にその未来を固定され、命の色彩を奪われた残骸が転がった。

 

「——領域の中では、俺の設計こそが法や。お前が何作ろうと、全部この空間に従ってもらうで」

 

「なんだこれ……! なんなんだこれ!!」

 

精神的な柱を叩き折られ、本体が崩れるように膝をついた。

 

直哉は冷徹に領域を維持したまま、その場に頽れた本体を見下ろす。

 

「——言うとくけど、お前の命そのものには興味ないんや。降伏し。……な?」

 

「……なんで」「なんで止めない……お前」

 

「殺す理由がないさかいな。効率悪いわ」

 

「……ヒーローじゃないのか?」

 

「ヒーローでもヴィランでもあらへん。ただ……今日は、お前を止める設計(プラン)でここに来とるだけや」

 

(……死ぬまでやるなんて、雅やない。ここで終わりにするのが一番綺麗な着地点やな)

 

本体から、ふっと力が抜けた。

 

直哉は術式を解き、領域を解除した。

 

上空を覆っていたフィルムの渦が、光の粒子となって霧散していく。足元の漆黒の鏡面は元の荒れ果てた地面へと戻り、吸い込まれていた音が戦場に一気に流れ込んできた。

 

白黒に染まっていた数万の複製体たちが、一斉に泥となって崩れ落ちる。地面に溶け広がり、あれほど世界を埋め尽くしていた軍勢が、瞬く間に消えてなくなった。

 

周囲のプロヒーローたちは、誰一人として動けずにいた。

 

何が起きたのか理解できない。ただ、一人の少年が歩いた跡に「静寂」だけが残された——その事実に、戦慄が走っていた。

 

直哉は即座に『反転術式』を回しながら、自身の消耗を確認する。

 

(……かなり持っていかれたな。領域の展開と維持で、呪力は既に70%を切っとる)

 

だが、手応えは十分だった。

 

直哉は再び扇子を開き、ゆっくりと自分を仰いだ。

 

「——発動した。一つ目を見せた……。残りは——」

 

自分に言い聞かせるように、独り言を漏らす。

 

「——禪院くん!」

 

緑谷の声が届いた。『空写』で位置を確認する。南東50メートル。

 

「トゥワイスもどきは片付けたわ。次はそっちや」

 

「……禪院くん、今のって、一体……?」

 

「あとで説明するわ」

 

「でも……今の、すごかった。周りのプロヒーローが全員固まってるよ」

 

「そうやろな。見慣れんもん見せたら、人間そうなるわ」

 

(……驚いとけ。その驚きが俺の設計を助けるんや)

 

「とにかく、今は立ち止まらんといてくれや。次の設計(プラン)を動かしてくれ」

 

「……分かった!」

 

緑谷の気配が、弾かれたように動き出した。

 

直哉は呼吸を整え、呪力の巡りを正常化させていく。

 

(……領域の縛りの詳細なんて、後でええ。今はAFOとの接触が先や)

 

『空写』を距離優先モードに切り替える。半径700メートルの包囲網。

 

北西の方向——あの「歪み」の塊が、確実に動きを変えていた。

 

「——あのおっさん…AFOも、今のを見てたはずや」

 

直哉の領域を、AFOは「強力な広域停止能力」として認識しただろう。

 

それが「領域展開」であることも、そして特殊な仕掛けのある心象風景を内包していることも、まだ誰も知らない。

 

(——その「誤認」が、次の戦場で俺に決定的な『時間』をくれるはずや)

 

直哉の瞳には、次なる戦場を完璧に編集するための冷徹な光が宿っていた。墨色定着(ぼくしきていちゃく)




ついに直哉の「設計」が、現実の空間を上書きする領域展開へと到達しました。

 彼の領域は、一般的な「必中必殺」とは一線を画す特殊な構造を持っています。あえて工程を増やし、効果ごとに別の掌印と詠唱を課すという重い「縛り」は、一つの領域に三つの異なる解答を詰め込むための、直哉らしい合理的かつ執着に満ちた設計です。

 今回披露された「墨色定着」は、圧倒的な物量を誇るサッドマンズパレードに対する完璧なアンサーとなりました。色彩を奪い、存在を静止画へと固定するその光景は、周囲のヒーローやヴィランにとって、既存の「個性」の枠組みでは説明のつかない異質な恐怖として映ったことでしょう。

 「広域停止能力」という誤認を撒き餌にし、残る特殊な仕掛けのある隠し種を持ったまま、物語は最強の敵・AFOとの最終決戦へと加速していきます。

 「残りは——」

 その言葉に秘められた直哉の真の狙いとは。

 次話、魔王とのラバトルにご期待ください。

もしこの圧倒的な蹂躙に心惹かれた方、グッときた方は是非評価付与がでその気持ちを教えてください!
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