【完結】転生って人の心とかないんか?―有象無象のヒーローごっこ、三歩下がってついといで。   作:まだら模様

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全てが終わった後の、なんてことのない放課後。

切島鋭児郎の「禪院って、みんなのことどう思ってるんだ?」という、あまりにも無防備な問いかけが、この極秘記録の引き金となった。

前世の禪院直哉を縛り付けていた「力と顔」、そして「男を立てる」という旧時代の物差し。

それが、個性豊か(すぎる)1-Aの面々を前にして、いかに無力であり、いかに書き換えを余儀なくされたか。


これは、700メートルの『空写』でクラスメイト全員の気配を読み、その魂の「燃料」を観測し続けてきた直哉による、極めて私的で、極めて不遜な、そして誰よりも誠実な「1-A評価録」である。

その後半です!

「——言っとくけど、これ本人たちに見せたら俺の設計図に致命的なバグが出るさかい、絶対に内緒やで」


キャラの語彙などの崩壊、ストーリー崩壊などの可能性がございます。
ご注意下さい。

※本作には筆者独自の解釈および、禪院直哉というキャラクターの視点による評価が多分に含まれます。
原作とは異なる捉え方をする部分もありますが、その違いも含めてお楽しみいただければ幸いです。


感想、お気に入り登録、評価付与は直哉が持論を展開できてとても満足する源になります!

意図的に分析の批評は他人が見る(広まる)批評、評価という設定にしているので評価を見る人のために
地の文の部分だけ標準悟にしているという設定があります。


73話:後日談編② 「禪院直哉・1-A評価録(後半)」

九 緑谷出久

 

評価:「美しい。しかしドブカスすぎて時々目を逸らしたくなる」

 

 設計の密度が異常だ。七つの個性を同時に動かしながら、全部が噛み合っている。

 

「一人で全部抱えようとする」という欠陥が、時々全てを台無しにする。だが今は、それも含めて「デクくんの設計」だと思っている。

 

総評:設計の美しさA+。欠陥の愛らしさS。空写で追いかけ続けた甲斐があったわ。 

 

十 爆豪勝己

 

評価:「雅やない。でも一番『設計が本能になってる』人間や」

 

 感情と設計の境界が、この男だけ存在しない。空写で読んだ爆豪くんの気配は、常に前を向いていた。後ろを向いたことが一度もない。

 

「ドブカス野郎」という呼び方は失礼だと思う。毎回言い返せないのも事実なので我慢しているが。

 

総評:雅やないが本物S。「ドブカス野郎」呼称への耐性が上がってきたことを報告しておく。

 

十一 轟焦凍

 

評価:「美しい。設計と感情が『同時』になった人間の完成形の一つや」

 

「おんなじだ」という言葉を交わした夜は、設計の記録に残っている。

 

 天然なのが唯一の欠点だが、天然も設計の外の動きだからむしろ面白い。

 

総評:設計の完成度A。天然度S。空写で一番「次に何をするか読めない」人間の一人だ。

 

十二 切島鋭児郎

 

評価:「雅やない。でも一番『燃料を渡してくれた』人間や」

 

「硬化」はシンプルだが、その「シンプル」を極限まで磨いている。

 

 空写で読んだ切島くんの気配は、常に「誰かの方を向いていた」。

 

総評:設計の純粋さA。燃料供給量S。この評価を本人に読ませる予定だったな。覚悟しておいてくれ。

 

十三 飯田天哉

 

評価:「雅やない。でも一番『信頼できる設計』の人間や」

 

 飯田くんを空写で読むと「今何をしようとしているか」が一番はっきり分かる。深夜でも誰かのために動いている気配を空写で読むと、少し安心する。

 

総評:設計の可読性S(弱点でもある)。信頼係数A。読んでて安心する設計は、最高の褒め言葉や。 

 

十四 上鳴電気

 

評価:「有象無象……かと思いきや、設計の切り替えが一番速い人間や」

 

「感電」の切り替え速度は俺の空写との連動に一番向いている。

 

「うるさい」という表面的印象が設計の本質を隠している。表面で判断するのは雑魚の思考だ。

総評:表面的印象D。設計の切り替え速度A。以上。

 

十五 砂藤力道

 

評価:「美しい。一番『本音が設計になってる』人間や」

 

「それでいい」「よかった」「怪我は」——全部本音だけで構成されている。

 

 空写で読んだ砂藤くんの気配は、常に安定していた。揺れない。

 

 そして顔については、あえて言及しない。

 

総評:設計の安定性S。本音率S。顔:黙秘権を行使。一番信頼できるタイプの人間だ。

 

十六 常闇踏陰

 

評価:「美しい。設計の最も深い部分を一番よく分かっとる人間や」

 

「分からないまま持っておけ。それが闇の中で見続けることだ」という言葉は設計の記録に残してある。

 

総評:設計の深度S。「フッ」の使用頻度全クラス1位。黒影との「橋」の完成を期待している。

 

十七 峰田実

 

評価:「……設計の方向性が俺には理解できへんが、判断速度は本物やな」

 

 気配の方向が常に「何かに向かっている」。その「何か」の内訳については、俺の理解力の限界かもしれない。

 

総評:目標設定の方向性D(俺には読めへん)。判断速度A。これ以上言う言葉はないわ。

 

十八 瀬呂範太

 

評価:「面白い。『連結』という設計が一番設計のお手本になる個性や」

 

 テープワームは空虚呪法の「固定」という設計に近い。地味に見えるが設計の活用幅は広い。地味な個性を設計で活かす人間は評価してやる。

 

総評:個性の地味さD(本人には申し訳ない)。設計の活用幅A。

 

十九 青山優雅

 

評価:「一番『設計の外側に立たされてた』人間や. でも今は一番『設計の内側に来た』人間でもある」

 

 AFOの密告者だった。それを俺は最初から知っていた。

 

 だが、青山くんの気配には「自分が許せない」という質がずっとあった。

 

「苦労させた」とAFOは言った。俺はその言葉が、AFOの全発言の中で一番腹が立った言葉だった。青山くんは今、1-Aにいる。それが答えだ。

 

総評:設計上の過去C。現在の位置A。「設計の外側に立たされた人間が内側に帰ってきた」——設計の記録に書いておく。

 

二十 障子目蔵

 

評価:「美しい。設計の『拡張性』において、このクラスで右に出る者はおらん」

 

 「複製腕」という設計は、単なる多腕ではない。耳、口、眼――必要に応じて自分の機能を「外側」へ広げ続ける、極めて理知的な設計だ。

 

 空写で読んだ障子くんの気配は常に静かだ。

 

しかしその静寂は、周囲のあらゆる情報を拾い上げるための「アンテナ」として機能している。

 

異形の設計を、誰かを守るための盾と、誰かを見つけるためのセンサーとして完璧に使いこなしている姿は、雅と呼んでも差し支えない。

 

総評:設計の拡張性S。索敵精度A+。その大きな掌に救われた人間は、俺の設計の記録にもぎょうさん残っとる。

 

二十一 尾白猿夫

 

評価:「雅やない。でも一番『誠実な設計』を積み上げてきた人間や」

 

 「尻尾」一本。呪術的に見ても、あまりにシンプルで「それだけ」の設計。

 

 だが、その一本を軸にした武術の練度は、付け焼き刃の有象無象とは一線を画している。

 

 空写で読む尾白くんの動きには、一切の迷いがない。派手なエフェクトも、奇をてらった策もない。

 

ただひたすらに、己の身体という設計図を極限まで信じ抜いている強さがある。「地味」という言葉で片付ける奴は、設計の本質が分かっとらん雑魚だ。

 

総評:設計の堅実さS。武芸の雅度A。派手さはないが、崩れない。これこそが「本物」の強さの土台やな。

 

二十二 『最後に——切島くんへ

 

「禪院って、みんなのことどう思ってる?」という問いに答えたわ。全部記載した。

 

 一つ分かったことがあるんや。

 

 前世の俺は「力と顔」で人間を評価していたわ。

 

 今世の俺は——空写全員の設計を読み続けて——「設計の質」と「燃料の本物度」で人間を評価している。

 

 俺自身が正直心から否定したがっとるけど、確かに基準は変わっとった。

 

 せやけど、「本物かどうかを見極めようとする」という根っこは変わっていない。

 

 ——クラスメイトは全員、最終決戦まで生き残った…そのしぶとさは、本物なんやない?それが今日の結論だ。

 

「切島くんの評価が抜けてる」と言いたいんか?

 

 君の評価は最初に言った通りやわ。

 

「設計の純粋さA。燃料供給量S」——それで全部だ。これ以上は俺の雅なキャラが崩れるから言わへんよ。』

 

【番外編「禪院直哉・1-A評価録」 了】

 

■ 後記

 

 この評価録を書き終えた後、切島に見せた。

 

 切島は最初から最後まで真剣に読み込み——

 

「……禪院って、なんだかんだ言って、皆のことをちゃんと見てたんだな!」

 

 と、顔を輝かせて言った。

 

 直哉は即座に扇子で顔を隠す。

 

「設計として評価してるだけや」

 

「おんなじことだよ」

 

「……違うと思うんやけど」

 

「おんなじだよ!」

 

 この不毛な問答は、結局決着がつかなかった。

 

(……切島くんの方が正しいかもしれへんな、と思う自分もおる。ドブカスやな)

 

 でも、それを認めるのは今日ではない。

 

 ——保留だ。




なんだかんだでクラスメイトのことはよくみている直哉でしたね…

やはり計算をして設計する者としては、観察は怠らないと言うことなんですかね…

最後、切島くんに「みんなのことよく見てんじゃん」と見抜かれ、「保留や」と返す幕引き。

素直になれない直哉の矜持と、それを包み込む1-Aの温かさが同居する、これ以上ないほどに「雅」な幕切れでした。

この評価録、もし1-Aの女子会で回し読みされたら直哉の命(と尊厳)が危ういことになりそうですが……それもまた、彼の「設計外」の賑やかな日常として続いていくのでしょう。
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