「えーっと…ここだな、今日から俺の部屋っ、いや、俺の城である1025室は!」
特訓後そんな事を口に出しながら本日山田真耶に教えてもらった部屋の前に立つ。心地の良い疲労感と本日のノルマを終わらせた小さな達成感に包まれているのか妙に清々しい顔である。
「確か千冬姉が俺の荷物の手続きとかしてくれたんだよな。ちゃんと昇にいちゃんのハチマキと闘志にいちゃんのグローブ入ってるといいけど…」
そんな心配をしながら鍵を入れて回し、ドアノブを捻ると開かない。首を傾げながらもう一度鍵を回すと、カチャッ、という音と共に鍵が開く。
「鍵が開いてた?…ああ、無用心だなー、千冬姉は!確かに俺の荷物を盗む奴なんて物好きいないだろうけどさ、でもやっぱちゃんとして欲しいよな。もし誰かいたらどうするんだ?」
千冬が、お前の荷物を手配しておいた、と言った事を思い出し手をポンっと叩き笑いながら開け、入る。そこに相部屋の人がいる可能性など一切考慮はしておらず、更に男が自分だけという事もすっかり忘れているようだった。
「豪華な部屋だなぁ…俺本当にここに住んでいいのか?」
目に入った大きめの二つのベッドに心惹かれながらも、取り敢えずは荷物の確認を優先しなければという事でこじんまりと置いてあった段ボールを開け、荷物を出し始める。
「…うん、ちゃんとハチマキとグローブはあるな。後は真ゲッ◯ーのフィギュアと、アオイホノオもある。よし、残りはまた後でやろう!」
そう自分に言い聞かせるように言うと我慢しきれなかったのか靴を脱ぎ思いっきりベッドにダイブする。今まで感じた事のない弾力性と羽毛布団のフカフカに心奪われてウットリである。
「誰かいるのか?」
そんな最中、突然奥の方から声がした。その声で我に戻った一夏はベッドから降りて奥まで聞こえるように言う。
「ああ、俺は織斑一夏、これから君の同室になる!何年間一緒かわからないけど、これからよろしくな‼︎」
ニカっとした笑顔でそう挨拶する。しかし奥からは挨拶など返って来ない。
「どうした?大丈夫か?」
心配になったのか声のした方向に向かう一夏。するとそこには、顔面を真っ赤にした一夏の幼馴染である篠ノ之箒がバスタオル一枚で縮こまっていた。
「あ、あっ、ああああああ………」
「ど、どうした?…って箒じゃないか!そうか、お前が俺のルームメイトか!」
一夏の平然とした明るい表情とは違い、箒はあわあわとして固まってしまう。それもそのはず、篠ノ之箒は一夏に恋心を抱いているのである!しかし一夏は流石天下の朴念仁とでも言うべきか、一切に置いて勘づく事はなかった。しかし!今は二人っきり!しかも箒は風呂上がり!誘いをかけるならこのチャンスしかない!だがしかし、そうしかし!そうはいかない!何故ならば!
箒は乙女なのである!
そう、一夏が漢であるなら箒は乙女!ある意味究極のバランスが取れたペアである‼︎しかし外ではクールな感じがする箒。そのため一夏にも甘える事など出来ず、その為厳しい態度を取って内心後悔したり、強がったりしちゃってるのだ!実際箒に言うとおもっくそ殴られるからこれは読んでるみんなと地の文の秘密だぞ‼︎
「あ、あああ、ああ、よ、よろしく、い、一夏」
「?おう、よろしくな箒。ちょっと疲れてっからシャワー浴びるわ。ここだろ?」
「あ、ああ。そ、そうだぞ」
「おう、サンキュー」
そう言うと服を脱ぎだす一夏。それに反応し、更にテンパる箒。
「ば、バカ者ぉ!お、女の目の前で着替える奴がいるか!」
「ああ、悪いな。ま、昔っからの付き合いなんだから別に気にするほどでも無いだろ!」
「私が気にするのだ!」
そう言うと急いでベッドの方に行ってしまう。
「変な箒だなー…」
そう呟くがそんな事はどうでもいいと言わんばかりにシャワーを浴びて髪を洗い、身体を洗い、顔を洗いシャワーで流し、出て、身体を拭き、ジャージに着替える。
「やっぱ湯船に浸かりてえよなぁー…」
そんな事をぼやきながら戻ると、箒がムッとしていた。
「出たぞ、箒!」
「そんな事は分かっている!…お前やっぱりジャージ似合うな」
「まあな、昔っから何も変わってないしな。箒はなんていうか、綺麗になったな」
そうベッドの上に乗り、ベッドに入りながら言う。箒は顔を赤くして「べ、別にそんなことはー」とか「お前の為に…ゴニョゴニョ」とか言っているが既に一夏は夢の中であり、箒がそれに気づいたのはそれから30分後であった。
今回特に一夏が熱血しませんでした。きっとこの一夏が一番原作に近いのでしょうが今度はきっと戦闘するから許してください