我ら桃の園〜正義と愛と遺された命〜   作:黒影時空

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第8話「競え!桃に誓って」

「あれ?さくらちゃんちょっとだけ背が伸びた?」

 

「はは……まあ色々ありまして」

 

「ちょっとお邪魔するべ」

 

「はわっ!?そのスーツはブルー様と同じ!!?」

 

 コバルトに連れて帰ってもらったさくらはベビーと再会、ホワイト・レボルシオンが新たにサイボーグのような兵士を作り出していたことを話し、改めてコバルトと共に話し合いをするがその前にとベビーが監視カメラにハッキングして機能を止める、一応別カラーであるコバルトを申請なしに桃の園に入れているので、何かあったら問題になるからだ。

 

「でも妙な話だよね?確かあたし達が前に会ったホワイトスノーって人はエレボスと怪人が支配する世界を作ろうとしてるのにさっきさくらちゃんが相手した人は怪人をいじめてたんだよね?」

 

「以前、スノーホワイトが作り出したとされる怪人が野生の怪人を意図的に死なせたこともあって……どうにもホワイト・レボルシオンの行動理念と実際の行いがちぐはぐなんですよね」

 

「確かに聞いてみりゃ世界征服にしても変なところはあるが……わかることは幹部格が二人、戦隊遺伝子を悪用して怪人で極召喚法を行うスノーホワイトに、あのサイボーグを作ったやつはゼレットって名前だったかなぁ」

 

 ホワイト・レボルシオンのことはまだ分からないことも多い、それを知っていくために自分達は特待生にならなくてはならない。

 実力と同じくらい愛想の良さとコネ作りが大事、つまり自分を大々的に宣伝しなくてはならない、桃の園のパンフレットを見てみるとゴクレンジャーになれなくても卒業後に芸能系に進出したものも多いので、そこから可能性を広げるべきか……?

 

 考えていると、ポストに何か入る音がしたのでさくらが手を伸ばすと手紙が。

 

「差出人は……えっと書いてませんね、有望なピンク候補生へって書いてあります」

 

「それオラに開かせてくんねえか?」

 

 コバルトが手紙を取って、手の風圧がカッターのような刃となり、すっぱりと手を触れずに手紙の封を切り取る、落ちてきた紙を手に取ってみると……さくらは震えるのでベビーが覗き込むと、そこには……『桃の園生徒を特別番組にご招待!』と書いてある、ただそれだけ。

 

「えっ!?あたし達がテレビに!?」

 

 「テレビ……私こういうのあまり縁がないんですよね、ベビーさんだったら何の支障もなさそうですが、私は別の方向性を……」

 

 「いんや?せっかく誘われたんだしさくらちゃんだって充分べっぴんさんだて、行ってみるだけでも思い出になるて」

 

 「うーーん……では私は参加するだけしてみましょうかね……」

 

 ということで今すぐにでも招待状を手に取ってテレビ局まで向かう事にしたさくらとベビー、皆に愛されるピンクになる為に、その足掛かりの為にもいざ、芸能界デビュー!

 二人の後ろを見送ったコバルトは自分も退散しようとするが、その前に切り取った手紙の封を確認する、その裏側にはカミソリが仕込まれていた……。

 

(ま、実際なんかあるだろうがあの二人なら大丈夫だな……それよりオラも時間がねえし、行動に移るか)

 

 招待状を手に取ってテレビ局まで向かったさくらとベビーは 、指定されたスタジオに足を踏み入れて息を呑んだ。

 

スタジオには予想を遥かに超える大掛かりなセットが組まれており、大勢のスタッフが慌ただしく動き回っている。番組の進行スケジュール表をチラリと見ると、拘束時間は数日に及ぶ長丁場となっていた。

 

「すごいですね……こんな本格的な番組とは思いませんでした」

 

「さくらちゃんこういうの見たりしないの?」

 

「親が許してなかったので……というか、あの頃はそういう体験とか全く出来ませんでしたよ」

 

さくらは圧倒されながら呟いた。周囲を見渡せば、自分と同じように桃の園から集められたと思われるピンク候補生たちが何人も待機している。

この業界において、ピンクに求められるのは前線で敵を打倒する力ではない。

 誰かをサポートし、そして何より人々に笑顔と希望を与える『美しさ』だ。

 戦闘以外でピンクが輝ける第二の舞台、それがこうしたメディアへの露出や営業回りであることは、桃の園の授業でも耳にタコができるほど聞かされていた。

しかし、だからこそさくらはこの状況に強い違和感を抱いていた。

 

(この特別番組……何かおかしい)

 

自分を含めた他の候補生たちが集まっているのは、チャレンジ系の内容を扱う特別番組。

 しかし、放送時期は不定期であり、大々的な宣伝もされておらず、存在を知っているのはよほどの通だけという代物だ。

何より不自然なのは、ここに至るまでの過程だった。こういった番組に出演するためには、通常ならいくつもの厳しいオーディションを勝ち抜く必要があるらしい。

 それなのに、さくらは何の審査も受けず、あらゆるオーディションを素通りするような形でこの場に立ってしまっている。

隣にいるベビーは、持ち前の愛嬌と整った顔立ちで既に周囲の空気に馴染んでいる……彼女ならこの場に選ばれても不思議ではない。

 だが、さくら自身は自分の女性的な魅力が乏しいことを誰よりも自覚していた。昔から美容やファッションを意識したこともなく、ただひたすらにレッドのようなヒーローになることだけを夢見てきたのだ。

 華やかな候補生たちの中にいると、不相応な自分が浮いているように感じてしまう、そんな中でここまで安易に上り詰めると……まるでネズミ捕りのような甘美な罠に誘い込まれているような気がしてならない。

 

そんな中、スタジオの空気が一段と張り詰めた。

この番組の主演を務める『白鳥いぶき』が間もなく入るというのだ……彼女は元桃の園の特待生であり、今も現役で活躍するゴクレンジャーのピンクと同級生という破格の経歴を持つ。卒業後も誰もが名前を知るカリスマ女優として活躍し、自らの肝煎りでこの番組を立ち上げたという大物だった。

 

「それでは、カメラ回ります! 候補生の皆さん、ステージへ!」

スタッフの声が響き、さくらも指定された立ち位置へと歩みを進めた。

番組が始まる、そう思われた次の瞬間だった。

 

——ギシッ、と頭上で不吉な軋む音がした。

 

「えっ……?」

さくらが見上げると、ステージの遥か上部に吊るされていた巨大な照明機材が根元から折れ、一直線にさくらの頭上へと落下してくるのが見えた。

(避けられない……!)

全身の血の気が引いたその時、凄まじい風圧が横から吹き荒れた。

 

「ハァッッ!!」

ベビーが咄嗟にさくらの前へと飛び出し、迫り来る重量級の照明に向かって覇気溢れる掛け声と共に真っ直ぐに拳を突き出した。

ガァァァンッ!!

鈍い破壊音と共に、照明はベビーの拳によって見事に粉砕され、火花を散らしてステージの端へと吹き飛んでいった。

 

「さくらちゃん、怪我はない!?」

 

「べ、ベビーさん……! はい、私は大丈夫です……」

 

瓦礫の山と化した照明の残骸を見つめながら、さくらは冷や汗を流した。

コバルトが手紙の封に仕込まれたカミソリを警戒していたように 、これも単なる事故ではない。あの巨大な照明が、ピンポイントで自分の真上に落ちてきたのだ。

やはりこの番組……自分がオーディションもなしに招かれたことには、明確な悪意と理由があるのだと、さくらは確信した。

 

---

 

同じ頃、騒然とするスタジオから少し離れた静かな楽屋。

出番を直前に控えた白鳥いぶきは、優雅に脚を組みながら鏡の前で準備を整えていた。完璧に計算されたメイクとドレス姿は、まさにカリスマと呼ぶにふさわしい。

しかし、彼女の視線は鏡に映る自分ではなく、鏡の端に貼り付けられた数枚の写真に注がれていた。

 

一つは、桃の園時代の自分の写真。その隣で並んで笑顔を見せる『彼女』の写真。

そしてもう一つは——最近、様々な事件の現場で必ず姿を確認される、花岡さくらの顔写真が敷き詰められたスクラップブックだった。

 

「……ふふっ」

いぶきの艶やかな唇が弧を描き、冷たい笑い声が楽屋に響く。

彼女は細い指で、スクラップブックの中のさくらの顔をなぞった。

 

「こうして決まって目立とうとするのは血筋かしらね……」

 

その瞳に宿るのは、トップ女優の余裕などではない。ドロドロとした暗い執着と、何年もの間燻り続けてきた怨念のような感情だった。

 

「でも、ようやく貴方を蹴落とすことが出来るわ……花岡あやめ」

 

いぶきの口から紡がれたその名前は、さくらの顔とよく似た『彼女』への、深く重い因縁を物語っていた。

 

――

 

 番組が始まり、さくらとベビー……それ以外にも数多くの候補生達が並んでいる、同じ学校に居たはずなのに大体の人物に覚えがない、もしかしたら何人かクラスメイトもいるかもしれない……しかし思い返してみると入学して早々に様々なトラブルもありクラスメイトと話す余裕もなかった、下手すれば桃の園の知り合いはベビーとシエルしか知らないかもしれないし、そのシエルも最近は学校に来ていない。

 

「今更ながら、私たちってまず最初にクラスメイトと仲良くなるべきだったんじゃないですか……?」

 

「そんなことないよぉ、あたし達のクラスメイトはちゃんと向こうにいるし……その点で言えばライバルになりそうなのはリコリスちゃんかな?ミス桃の園にも選ばれてる逸材だよ」

 

「その点で言えば……貴方のことめっちゃ憎悪のオーラで見つめている恐ろしい目線を感じるのですが」

 

 さくら達のちょっと隣で闇しか感じられない覇気を出している少女がいる、ピンクスーツをロリータ風に改造しいかにもお嬢様のような雰囲気をしているのが台無しだ。

 しかしその面影はベビー・キャロルによく似ている。

 

「ああ、あの子は確かジングル・レディだよ、あたしは桃の園に入るためにメイドカフェでアルバイトしてたんだけど、その時一緒に働いてた人!あっ、ちなみにベビー・キャロルもその時の偽名!」

 

「ああ……というかうちの学校、偽名での入学ありなんですね……」

 

「えっ、大体の人は偽名で入学してるよ?」

 

「そうだったんですか!!?」

 

 つまりさくらはがっつり本名が割れた状態でお茶の間に公開されている、名前を明かすのなんていぶきのような卒業して完全に芸能界に踏み込むような人間くらいだ、だから自分だけ悪目立ちしていたのか……?

 と、考えてる暇もなく番組の説明が終わり、各自でチームを組むことになる。

 三人一組で各コーナーで一番を決めるという、一見すると普通のバラエティ番組のような内容、さくらとベビーは確定としてあと一人決めなくてはならない。

 しかし自分達と協力してくれる人などいるのだろうか?メンバーをじっくり考えていく。

 

「今回参加してるのは41人……えっと、3人なら作れるグループは19……あっ、違う!!2人あぶれます!」

 

「一人足りないからえっと……もたもたしてたらあたしたちグループ作れない!?」

 

 なんの苦労もなく来たのに始まる前に終わってしまいそうになっている、大急ぎで楽屋を巡り走っていると……さくらの肩があっさりと持ち上げられて宙に浮く。

 

「うわっ……おっとっと」

 

「やっと良さそうなやつを見つけられた……お前ら、ちょうど2人だな?」

 

 さくらを掴んでいたのは大柄で筋肉質、まさにヒーローのような、あるいはボディビルダーのような鍛え抜かれたがっしりとした体型、桃の園のヒーロースーツを着ていなければ女性とも分からなかったぐらいには雰囲気が違う。

 しかしベビーはその人物を見ても警戒している様子はない。

 

「マゼンタちゃん!同じクラスメイトのマゼンタちゃんだよね!」

 

「えっ、同じクラスメイト……良かった、知ってる人がいて……」

 

「オレさぁ、全然組んでくれる人がいなくて困ってたんだよ……一緒に参加してくれるか?」

 

「も……もちろんです!むしろ願ったり叶ったりです!」

 

 偶然にもメンバーが揃ったので準備万端のさくら一行、かくしてどんな結果となるのか……。

 

――

 

 同じ頃、コバルトはというとブルーに呼び出されて定期連絡、実はブルーはそろそろ現役から退ける時期になっておりしばらくすればコバルトに完全に引き継ぎしようと考えていた、唯一の特待生である彼に一切のトラブルもあってはならない。

 コバルトからすれは窮屈だがブルーになるまであと一歩、背に腹は代えられない。

 

「そんいや、オラが掃除してた時エレボス来とったと連絡あったけどなぁ……オラはシャドウ先生とやらに邪魔されて手を出せなかった、大丈夫だったべ?」

 

「シャドウめ、余計な真似を……その時にはオレが対処した、これ以上好き放題させないためにも俺達は秋葉蓮蛇という団体を見逃している、それより問題は例のホワイト・レボルシオンだ、好き放題怪人を作られては怪人研究を任されている藍の波止の立つ瀬がない……本格的に俺たちは役立たずの角印を打たれる」

 

「ああ、そのレボルシオンに関してのことなんだけどよ、オラの推測に過ぎねえがこんな可能性がある……エレボスは複数体存在する」

 

「……言ってみろ、お前がそこまで言うならただの空論ではないな?」

 

「ホワイト・レボルシオンの目的はエレボス統治の怪人の支配、最初に目撃した奴はそう言ってたそうだが、オラが見たのはそいつらが怪人を虐げている、やり方が食い違ってんだよ」

 

「なるほど、それでホワイト・レボルシオンにはオレ達が戦ってきた諸悪の根源たるものとは別で、奴らにとって崇拝の対象である別のエレボスが存在すると考えたわけか……考える暇はないな」

 

「んなこと言ってる場合か?」

 

「そういうことじゃない、餌をまいてみれば向こうから来てくれたんだからな」

 

 その瞬間、ブルーが待機していた機密研究所に穴が開くが、待ち構えていたように用意していた保安部隊の機動隊が一斉に銃を向ける……下りてきた男は呆気にとられながら蜂の巣になるが、銃弾を全部受けても何か虫に刺されたぐらいの感覚で起き上がる。

 

「どうやら俺の情報が筒抜けだったみたいだけど、これお仕事にボーナス入らない?」

 

『まだお仕事は始まったばかりです☆人類殲滅1人につき五万円』

 

 

 コバルトは理解する、これがさくらが相対してきた幹部格。

 片手と接続されているスマホ、不死身の肉体に黒い血液、あっけらかんとした無欲のダサ男……これが、スノーホワイト。

 遂に藍の波止にも乗り込んできた。

 

「言っとくがオラ達はあの子らとは出来が違うべ、カッコワリィところ見せたくねえから即本気でいく」

 

 

「あー……カガミさんシーケンスはまだ?」

 

『承認シーケンス終了。直ちに戦隊遺伝子を結合させてください』

 

「よっし終わった、エレボス細胞をちゅうにゅっ」

 

 レンジャアクを出してすぐにブルーが虚空に蹴りを入れると、遠く離れていたホワイトスノーに衝撃が走り、持っていた戦隊遺伝子を奪われる、ブルーが得意とする時間差攻撃だ。

 

「オリジナルの戦隊遺伝子……こうも容易く手に入るとはな、これさえあれば……」

 

「……ん?ゴクレンジャーって戦隊遺伝子なんか欲しいの?まあ別にいいけどあの程度……エレボス細胞は無事だし、また作るから」

 

「……は?」

 

 スノーホワイトは自分の武器を奪われたもの、全く動じてないどころか口から新しい遺伝子のアンプルを吐き出した、まるで代わりのキャンディみたいな感覚であっさりと口から……間違いないこの男、持っているどころか簡単に作れる、戦隊遺伝子を……。

 

「それじゃ改めて染色」

 

 スノーホワイトはレンジャアクに戦隊遺伝子とエレボス細胞を混ぜ合わせ、『超電子バイオマン』と書かれたアンプルを抜き取ると、粒子状の肉体を持つ怪人『バイオウィドー』が誕生した。

 

「なるほど、それがレンジャアク……誘い込んだ甲斐がある、なんとしてもそれを手に入れる!」

 

「……うーん、俺このまま蚊帳の外でいたかったんだけどなぁ、これ余計に戦わないといけないやつ?まあいいか、エレボス様が来てくれるだろ」

 

 藍の波止でブルーと特待生、怪人とホワイト・レボルシオンによる戦いが密かに始まっていたが……今回の物語の主題はさくら達である。

 なんとか揃えてチームとして出場したさくら達であったが、マッチョウーマンと素朴女でベビーが完全に浮いているような感じだが、三人は特別気にしていない。

 

「聞いたぞ?レッドみたいになりたいって、オレもレッドに憧れてたことあるんだよ、でもブルーもキャーキャー言われる人気者で羨ましいよなあ?イエローもすげー明るいしなんてったってかっこいい極武器がある!んで、色々悩んだ末にピンクになったんだ」

 

「へえ……色んな可能性を視野に入れてたんですね……あれ?なら秋葉蓮蛇に入ろうとはしなかったんですか?」

 

「実はオレもそれは結構悩んだんだが……なんか、まだまだ桃の園で学べることも多いだろうってもったいないだろ?アレに入ったら桃の園の生徒じゃなくなるんだぞ?お前のところのシエルみたいに」

 

「え……えええ!?」

 

 なんと秋葉蓮蛇に入ってしまうとそのまま桃の園から退学、いや卒業?のようになってしまいもう学ぶことが出来ないという、向こうにシャドウがいるので勉学に関しては問題ないし、極忍法があるとはいえ……。

 しかしシエルのことを心配している暇はない、第一種目が始まろうとしているが、ここでマゼンタがさくら達の背中を押す。

 

「お前達の噂は聞いたぞ?秘密兵器を隠してるんだってな、こんなところで使ったらもったいないから俺が行く」

 

「マゼンタちゃん、大丈夫なの?」

 

「お前らが凄い技を使えるように、オレだって少し弱いが特別な秘密兵器を持っているんだぞ?」

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