人外ちゃんはヤオヨロの神に脳を焼かれた   作:かずらば

1 / 2
映画を劇場で3回見たあと衝動で書き殴ったお話
短め、超ハッピーエンドにしていきたい


人外ちゃんはヤオヨロの神に脳を焼かれた

 

 千年間、生きることを定められた。

 もはや遠い遠い昔の、おぼろげな記憶の果てで自ら課した最悪の呪い。

 私は、その日を境に死ねなくなった。

 

 何をしたって、何をされたって死ねなくなった。

 砂時計が砂を落とすことをやめたかのように、老いることがなくなった。

 

 当然待っているのは迫害だ。

 人類は、他とは違う何かを嫌い攻撃する生き物だから。

 

 いろんな場所を巡った。

 極寒の大地、灼熱の島、一面が砂漠の砂の海。

 どれも新鮮で、あー命あったら多分死んでたな〜と思う旅路。

 でも私は、やっぱりどうやったって死ねなくて。

 

 なんで呼吸してるんだろう。

 なんで心臓、動いてるんだろう。

 

 やがて不死の身に訪れるのは深い諦観の情。

 私はかつて呪いを受けた地に舞い戻ると、誰もいない場所でひっそりと、化石のように動くことをやめた。

 目をつむり、耳を閉じて蹲れば何も感じずに済む。何にも失望せずに済む。

 だから、外界の全てを遮断して諦めた。

 風が吹いて雨が降って、泥に埋もれてやがて石の中に包まれても。

 私は生きている。どうしてか、生きている。

 

 このまま千年間いればいつか死ぬのかなぁ〜。なんて思ったりしながらやり過ごしている、そんなある日のこと……

 

 

 ――――この――を、最――の――……

 

 

 何かが、閉じたはずの鼓膜を打った。

 言葉、違う。似ているが違う……これは……これは、歌?

 

 耳を澄ます。何百年ぶりだろうか。

 

 必死に遠くから届く音を、拾い上げる。

 すっかり石になりかけていた身体に、力がはいる。

 

 ――もっと聞きたい。

 

 この音を、この歌を、もっと。

 四肢が四肢としての機能を取り戻していく。

 埋もれた身体を徐々に、徐々に外へ……光へ向けて進めていく。

 

 

 あなたは誰? 

 疑問を胸にいだいて、上へ上へと進み続ける。

 化石だったはずの全身に血が通っていく。非常に鈍くそして小さかった鼓動は、今や自分自身でも驚くほど高鳴っていた。

 

 長きに渡る諦観。

 諦めきっていたこの不死の身に、温かな火を焚べてくれるあなたは誰?

 

 光が瞼を焼き、赤く染まる。

 ひどく熱く、それでいて痛い。

 でも構うものか。早く会いたい。歌を奏で続けてくれているうちに会いに行きたい。

 数百年ぶりに得た活力をそのままに、私はついに自らの前に隔ててあった壁を打ち破り、そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

――――ヤオヨロ〜〜〜!!! 神々のみんな〜! 今日も最高だった〜〜〜?

 

 

 

 

「キャーーーーー!!!! ヤッチョーーーー!!!!!」

 

 

 気がつけば私は、電子の世界で推しへ向けてうちわを振りまくっていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。