仮面の玩具   作:スタレニワカ

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 初心者です。よろしくお願いします。


始まり始まり

 

   ー夢境ー

 

 「ばーーーーーーーか、あんたらはどうして心の優しい優しい、関係のないこの僕をまきこむのかなぁ!?」

 

 「あはは!アルちゃんまだ、神秘自称してるの?私達愚者(同じ仲間)でしょ?」

 

 「僕自らなった覚えがないのを除けばそだねッ!!!!!クソッ!!!!」

 

 元仲間に追われて、走る一人の影。

 狐のような仮面を頭につける少女を抱えて走る、逆さ絵の仮面を被り、カードを首にかける古い紳士服の男。

 

 「その名を!シリル・A(エー)・ホーニーゴールド!!」

 

 「僕のセリフッ!!!」

 

 この日、銀河にその名を走らせた。

 

 

 

 

 

 

 「はぁ……、ひどい目にあった」

 

 首にかかったカードをクシャリと握りしめシリルは呟いた。

 目の前の元凶──、悪びれる様子もなく木製の箱に座って足をプラプラとさせる少女を睨みつけながら。

 

 「だめだめ、ここで初めて知る、初見さんも居るんだよ?」

 

 まるで言っている意味がわからないと、シリルは怪訝そうに眉をひそる。

 

 「だから何だよ、()()

 

 「はい、よく出来ました」

 

 ニコニコと笑う少女──、花火。

 そんな、花火の待っていたプレゼントが届いたかのような笑みに、シリルは更に強く睨みつけた。

 

 「クソッ、こんな忌々しいものがなければお前らなんてなぁッ!」

 

 子供の癇癪のようにそう喚く。

 強く首飾りのカードを潰すようにして引っ張った。

 その様子を花火は冷ややかに見て、息がかかる距離までシリルに顔を近づけた。

 

 「ムリムリ、どんなに反抗したって、貴方は愚者(私達)仲間(玩具)何だから、ね?」

 

 蠱惑的に微笑み、シリルの頬を両手で挟んだ。

 それにシリルは────。

 

 「やめろ、気持ち悪い」

 

 羽虫を追い払うように、不快感に眉をひそめてその手を払った。

 

 「もう、ひどいなぁ、気持ち悪いなんてさ」

 

 花火の蠱惑的な笑みはすぐに霧散して、ニコニコと人好きのするような、子供のような笑みに戻る。

 その瞳は、それすらも楽しんでいるように細められている。

 

 「いやぁ、よかった、皆さんお揃いで」

 

 パチパチ、と響く拍手の音にシリルの顔が引き締まる。

 古びたリボルバーを取り出して、言う。

 

 「花火、あれが初見さんってやつか?」

 

 「んー、と少なくとも舞台に登場するようなものじゃないかな、アルちゃんはわかんなくていいと思うよ」

 

 その影が見えてくる。

 その長身の男の姿は──。

 

 「あれ、いけすかないくそかす(サンポ)じゃん」

 

 「ホントだー、なんで最低なカス(サンポ)が居るの?」

 

 「あのですね、ルビの中身を好き勝手しないでください」

 

 長身の男、サンポはシクシク、と泣き真似をした。

 

 「今回、ここに来たのはですね、十中八九花火さんに囚われてるであろう、シリルさん、貴方にお願いがあってきたのです」

 

 シリルが目を細めた。

 無言でリボルバーをしまう、言外に話の続きを促しているようだった。

 

 「ええ、ヤリーロⅥを手助けしてほしいのですよ」

 

 シリルはうつむき無言を貫いた。その姿は真偽を図っているかのようだった。

 花火はその様子を見て、ニコニコとしているだけであり、サンポは胡散臭い(まじめそうな)顔を崩さない。

 

 「花火、やれ」

 

 「あいあいさー」

 

 「え!?」

 

 そして瞬く間に、サンポは縄にぐるぐる巻きにされて転がされてしまった。

 

 「そのまま話せ、お前はサンポだし(信用ならん)

 

 追随するように、棒読みで花火が言う。

 

 「ボスの命令だー」

 

 花火はそこら辺の木の棒でサンポを突っついた。

 

 「ちょ!け、契約はどうなってるのですか!?」

 

 「なんか、お前は適用外らしいぞ」

 

 「そっちのほうが絶対面白いじゃん」

 

 「ごむたいな!」

 

 ひらりと、カードが揺れる。

 サンポは慌てたように言った。

 

 「貴方を目的地へ運ぶ方法があるんですよ!」

 

 その瞬間時が止まった。

 不穏な空気があたりを漂う。

 

 「そうか」

 

 パンッ!とその銃をサンポに向けて撃った。

 その顔は冷水を掛けられたように冷やかなものだ。

 

 「愚者共。また落ち合おう。」

 

 そう言って、今度は自分に向けて撃つ。 

 世界が崩れる。意識が暗転する瞬間、声が聞こえた。

 

 「はいはーい、そっちの方が面白そうだしいいよ〜」

 

 そう言って花火も姿を消した。

 目が覚める、冷たくも温かくもない水の入ったポットから起き上がる。

 

 

 

 ここはレバリー、夢境へ向かうためのホテルだ。

 

 

 

 髪に水が滴る。

 あの忌々しい者(仮面の愚者)達の声もシリルの耳には残っていなかった。

 冷たい、夜風が入り込む。シャワーを浴びて、身支度を済ませる。

 鏡を見れば、逆さ絵の仮面は悲しそうな表情で顔に張り付いている。

 舌打ちを付けば、それすらも楽しんでいるかのように首飾りは揺れていた。

 

 「来たぞ、愚者共」

 

 「あ、やっときたーやっほー」

 

 「撃つなんてひどいじゃないですか」

 

 その声に仮面の下の顔が引きつる。

 やはり何度聞いても気持ちの悪い声だと、シリル内心で毒づく。

 ガチャン、と扉を閉じた。

 

 「…………それで、羅浮へはどう向かうんだ?そろそろ、神秘としても動きたいんだ」

 

 サンポは仮面の下で笑みを深くする。

 

 「ええ、ええ。ですので、ただ代わりにお願いしたいことがあるのです!」

 

 花火は仮面の下でその様子を眺めている。

 

 「盲目の操り人形(アルちゃんは)誕生日のプレゼント(アルちゃんは)盲目の仮面(アルちゃんは)、アルちゃんはどうする?」

 

 「受けるさ、受けるしか無いんだからなッ!!」

 

 少しでも歯向かえば、たちまち体が動かなくなり、花火か、または別の誰かに何年拘束されるかわかったもんじゃない。

 シリルは眉間の代わりに、ピクピクと動くこめかみを押さえる。

 

 「では、ヤリーロⅥへ向かいましょうか、シリル・A(アルコーン)・ホーニーゴールド氏?」

 

 静かにその手を取った。

 それは奇しくも、彼にとって忌々しい過去の最初と同じであった。





 ニワカです。よろしくお願いします。
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