薄明譫言(はくめいせんげん)——安らかな譫言・非公式続編 作:渡辺零
回収地点の目前で遭遇したダブリンの巡回兵二名。祥子のハンドシグナルを受け、初華がクロスボウで一人目の喉を撃ち、睦がナイフで二人目に飛びかかった。敵兵二人の亡骸を残し、五人は回収地点に辿り着く。五人とも生き残った。装甲車から降りたウィスラッシュの前で、祥子の膝が折れた。
ぼやけた視界が、少しずつ天井の輪郭を拾っていく。
白い天井。蛍光灯。排気口の格子。ロドス本艦の医療部。病室。
個室だった。壁も天井もベッドの柵も白い。窓はない。排気口だけが部屋の外との接点で、消毒液の匂いが降りてくる。甘さのない、鼻腔の奥を灼く匂い。ロドスの医療区画はどこもこの匂いが染みついている。
硬い枕の感触が首筋に触れた瞬間に、全身の感覚が戻った。毛布の重み。左腕に点滴のチューブが繋がっている。輸液バッグから落ちてくる液体がぬるい。加温輸液だ。低体温の患者に冷たい点滴は入れない。教練の救急講習で習った知識が、自分の体の上で答え合わせをしている。
唇が割れていた。舌の上に金属の味がする。点滴の成分が血液に混ざって、味覚に出ている。
今日が何月何日なのか、わからなかった。
ウィスラッシュの手が肩を掴んでいた記憶。膝に力が入らなくなった感覚と、泣いた記憶。それが最後にはっきり覚えていることだった。あとは断片しかない。担架の揺れ。蛍光灯が流れていくロドス医療区画の天井。
「——沁みるッて言ってんの!」
壁の向こうから声が聞こえた。
「もうちょっと優しくできないわけ!?」
にゃむの声だった。甲高い。怒っている。腕の傷の処置だろう。ロドス医療区画の個室は隔壁を後から仕切って作っている。遮音性は低い。患者の異変に医療スタッフが気づけるよう、わざとそうしてあると説明を受けたことがある。
「うるせぇな、動くからだろ。じっとしてろっつってんだ」
低くて太い女の声。ガヴィルだ。ロドス医療部のオペレーター。元傭兵で、戦場で負傷兵を診るのが本業の、荒っぽい医者。教練中に擦り傷を作ったとき、消毒液をぶっかけられて泣いたにゃむの声を思い出した。
「いったーーー! ねえ、麻酔ちょうだいよ麻酔!」
「この程度の裂傷に麻酔使うかバカ。あと三針、歯ァ食いしばれ」
「三針!? あと三針もあんの!?」
「ガタガタ言ってっと四針にするぞ」
「理不尽すぎない!?」
にゃむの声が明るかった。明るくしている声音だった。祥子にはわかる。にゃむは「大丈夫な自分」を演じている。にゃむが本当に大丈夫なとき、声はもっと雑で、もっと力が抜けている。
壁の向こうのガヴィルが何かを言った。低い声で、聞き取れなかった。にゃむが「——うん、大丈夫」と答えた。明るさの仮面が剥がれた一瞬だった。
反対側の壁。そちらは静かだった。
運び込まれたときの記憶が断片的に残っている。天井が動いていた。同じ並びの扉が次々に開くのが見えた。にゃむが右隣の部屋に入っていった。痛みに声を上げていたからわかる。左隣にも誰かが運ばれた。海鈴か、初華か——顔は見えなかった。その向こうに、もう二人。隣り合う五つの個室に、祥子たち五人が入っている。
祥子は半身を起こし、サイドテーブルに置かれたボトルの水に手を伸ばした。右手がボトルを掴む。指に力が入りにくい。ぬるい水を飲んだ。何時間も前に置かれた水だった。それでも液体が喉に流れ込む感覚で、体がようやく「生きている」と認識した。
ボトルをテーブルに戻した。壁の向こうで、にゃむがまた何かを言って、ガヴィルが「黙ってろ」と返した。
祥子は、ベッドから出る気にはなれなかった。
***
翌日の午後だった。点滴は外れた。怪我は軽度。両膝の打撲のみ。一番深刻だった脱水と低体温は一晩の加温輸液で持ち直した。体は動く。なのに、ベッドから降りると膝が笑った。
ノックが三つ。扉が開き、規則正しい革靴の音が入ってきた。
「豊川、報告書」
ウィスラッシュが長机に事後行動報告書を置いた。見慣れたA4より少し縦長い。罫線と項目が印刷された、教練で何度も書かされた書式だった。日時。場所。参加人員。作戦経過。損害。使用装備。特記事項。
ペンがその上に転がった。
「書きなさい」
ウィスラッシュは壁際の椅子に腰を下ろした。腕を組んで、待つ姿勢になった。
もう一人、入ってきた。ガヴィルだった。昨日にゃむの右腕を縫っていた、ロドス医療部のオペレーター。白衣だった。ガヴィルは扉の横の壁に背を預け、腕を組んだ。ウィスラッシュと対角の位置。部屋の二つの角を、教官と医者が塞いでいる。両者が軽く目配せをしたが、一瞬だった。ガヴィルは何も言わなかった。
事後行動報告書の記入中に、担当医が同席する。報告書を書く行為自体がフラッシュバックの引き金になりうるため、医療要員が患者の状態を監視する。戦闘帰還後のオペレーターに急性ストレス反応が出る場合があるからだ。教練で知識として教わった。手順だ。祥子は手順を理解した。理解することで、ウィスラッシュとガヴィルの存在を手順の一部に変換した。
祥子はペンを取った。
日時を記入した。作戦番号と作戦名を記入した。参加人員を記入した。六名。豊川祥子、三角初華、若葉睦、八幡海鈴、祐天寺にゃむ。先任オペレーター、マルゴ。
マルゴの名前を書くとき、ペンの先が紙を引っ掻く音が少し変わった。筆圧が強くなっていた。
損害。マルゴ戦死。車両喪失。通信機器破損。一部装備遺失。ここまでは書けた。事実を並べるだけだ。数字と固有名詞。手順の中にいる限り、ペンは動く。
作戦経過の欄に差し掛かって、ペンが止まった。
「交戦状況」の欄。書くべき内容は決まっている。教練で教わった報告書の書き方も知っている。客観的事実を時系列に沿って記述する。主語、動詞、対象。誰が、何を、どうしたか。
書いた。
——隊長判断により排除を指示。敵巡回兵二名を排除。
主語を消した。意図的に初華と睦の名前を消した。「隊長判断」という言葉で二人の行為を覆い隠し、全てを自分に集約した。これなら、記録に残るのは自分だけだ。初華が撃ったことも、睦が刺したことも、紙の上からは消える。
二人は命じられただけで、実行したのは——。
ペン先がインクの点を滲ませた。紙の繊維に黒い染みが広がっていく。二人がやった。命じたのは自分。その二つは別の事実で、どちらかを消すことはできない。それなのに、今この紙の上から二人の名前を消そうとしている。自分が全部被れば二人は——。
「見せなさい」
ウィスラッシュの声が降ってきた。いつの間にか、祥子のそばに来ていた。用紙を手に取ったウィスラッシュの目が、文面を追う。
「豊川」
「……はい」
「『隊長判断により排除を指示。敵巡回兵二名を排除』——誰が排除したの。主語がないわ」
「……」
「報告書には主語を書くの。誰が命じて、誰が実行したか。あなたが教練で習ったことよ」
ウィスラッシュが用紙を祥子の膝の上に戻した。
「命令者と実行者、どちらかを省くのは改竄」
声は教練と同じだった。感情が一切入っていなかった。訓練場で「もう一度」と言うときの声。事実を事実として扱う声。
壁際のガヴィルは動かなかった。腕を組んだまま、何も言わなかった。
「わたくしが命じましたわ。わたくしの責任ですわ」
「豊川。事実を消すことは責任を取ることではないわ。書き直しなさい」
ウィスラッシュが祥子の前から報告書を引き取り、新しい用紙を置いた。椅子に戻って腕を組んだ。ガヴィルが祥子のペン先をじっと見ていた。ペンを持つ手が震えているのを、観察している。
祥子はペンを握り直した。手の震えを止めるために。
——隊長命令により排除を指示。三角初華がクロスボウにて一名を射殺。若葉睦がナイフにて攻撃後、三角初華が二人目を射殺。
初華の名前を書いた。手が震えた。睦の名前を書いた。手がもっと震えた。名前が、言葉が、紙の上に並んでいる。初華。射殺。睦。ナイフ。射殺。全て事実だ。事実が紙の上にある。教範通りの、正確な報告書。
だが、祥子の中では何も解決していない。初華の名前と「射殺」の間に、何があるのか。命令と実行の間に、何があるのか。命じた人間の罪と、実行した人間の罪は、同じなのか違うのか。重いのか軽いのか。答えがない。
「……書きましたわ」
ウィスラッシュが受け取った。今度は目を通さなかった。用紙をファイリングして脇に抱え、扉に向かった。ドアノブに手をかけて、止まった。振り返らなかった。
「——マルゴの戦死報告は私が書くわ。教練は当面休み。医療部から許可が出るまで安静にすること。いいわね」
扉が閉まった。革靴の音が廊下を遠ざかっていく。
部屋の中に、祥子とガヴィルだけが残った。祥子はペンを握ったままなことに気づいて、テーブルに置いた。ペンがテーブルの上を転がった。ガヴィルが壁から背を離した。テーブルの端まで転がったペンを指で止めて、回収した。それだけだった。報告書の中身にも、震えていた手にも、一切触れなかった。
「飯、食えてるか」
「……少しは」
「少しじゃ足りねぇ。次の食事は全部食え」
ガヴィルは背を向けて、扉を開けた。振り返らなかった。ウィスラッシュと同じだった。
扉が閉まった。強い、消毒液の匂いだけが残っていた。
***
四人には会いに行かなかった。
ウィスラッシュが言った。医療部から許可が出るまで安静にすること。教官の命令だ。命令に従っている。それだけのことだ。そう、自分に言い聞かせた。
報告書を書き終えた夜、扉がノックされた。二回。軽い指の音だった。
「さきちゃん、起きてる?」
扉越しに、初華の声が聞こえた。いつも通りの声音だった。教練の朝、「さきちゃん、おはよう」と言うのと同じ声。ヒロック郡に行く前と何も変わらない声。
祥子の頭に、報告書の文面が浮かんだ。三角初華がクロスボウにて一名を射殺。自分の筆跡で刻んだ、初華の名前と「射殺」の文字。その名前の持ち主が、今、扉の向こうで「さきちゃん」と呼んでいる。
「……ごめんなさい。少し、疲れていますの」
「うん。——ごはん、ちゃんと食べてね」
足音が遠ざかった。初華は引き下がった。ガヴィルと同じことを言っている。体を心配している。祥子の体を。報告書に「射殺」と書かれた人間が、命じた人間の体を心配している。
***
翌日も、祥子は病室に篭もった。
ベッドの上で端末を開いた。ロドスの内部スケジュールシステム。同じ部隊のメンバーは互いの予定を閲覧できる。
海鈴のスケジュール。医療部の予定が並んでいた。処置。経過観察。午後にもうひとつ、経過観察。予定と予定のあいだに空白があるが、それは休憩ではなく、ベッドにいる時間だろう。
にゃむのスケジュール。朝に処置。昼にリハビリ。それ以外の時間帯は空白だった。腕の治療が続いている。
初華のスケジュール。午前にアステシアとの訓練枠が入っていた。剣術。そして午後に一件、非公開の予定がある。時間帯を見て、ウィスラッシュのスケジュールを開いた。同じ時刻に、同じ長さの非公開枠。おそらく、医療部同席の面談だろう。
初華だけが動いている。海鈴とにゃむがまだベッドと処置室を往復している間に、初華は新しい訓練を始めている。報告書に「射殺」と書かれた人間が、翌々日には剣を握っている。
祥子には理解できなかった。正直に言うと、怖かった。初華が壊れていないことが。あの日、至近距離で人の喉にボルトを撃ち込んで、泥の中で後頭部を撃ち抜いて。そのあとの初華がまだ「さきちゃん」と呼べることが、怖かった。
睦のスケジュールを開いた。
空白だった。何も入っていない。処置も、リハビリも、訓練も、面談も。すべての時間帯が空白だった。睦がどこにいるのか、端末からはわからなかった。廊下で偶然出くわす可能性がある。どの時間帯にどこを歩いているか、予測できない。
端末を閉じた。
***
三日目の朝。
天井を見ていた。蛍光灯の光。排気口の格子。見慣れた景色になっていた。
初華が朝と夜にやってきた。ノックが二回。「さきちゃん」。祥子は毎回断った。体調を理由にした。初華は毎回引き下がった。
にゃむは来なかった。海鈴も来なかった。睦も来なかった。
初華だけが来る。初華だけが、ヒロックの前と同じ距離で祥子に近づこうとしている。
それが一番、耐えられなかった。
結論が出ていた。いつ出たのかわからない。報告書を書いた日か。初華の足音が遠ざかった後か。端末で初華の訓練予定を見たときか。どこかの時点で、祥子の中に結論が据わった。
——もう、導かない。
四人の前に立たない。指示を出さない。判断をしない。「殺せ」というハンドシグナルを出さなければ、初華はクロスボウを撃たなかった。「殺せ」と命じなければ、睦はナイフを握らなかった。外勤を志願しなければ、マルゴは死ななかったし、初華も睦も、人殺しにならずに済んだ。全部、自分が導いた結果だ。
だからもう導かない。祥子が退けば、四人は——。
安全だ。
そう思った瞬間、胸の奥で何かが揃った。思い描いた和音が正しい鍵盤に落ちたときの感覚。響きが収まるべき場所に収まって、手が「これだ」と知る、あの感覚。ヒロックに向かう前に感じたのと同じ種類の——。
同じ。
まったく同じだ。
「わたくしがやれば四人を守れる」と信じたときの確信と、「わたくしが退けば四人は安全だ」と信じたときの確信が、まったく同じ手触りをしている。
天井の蛍光灯が白く光っている。消毒液の匂いがする。甘さのない、白い匂い。
「この匂い……嫌いですわ」
口をついて出た呟きだった。前にも同じことを言った気がする。いつ、どこでだったかは、思い出せない。
***
四日目の午後、扉がノックされた。三回。柔らかい指の音。
「祥子さん」
声を聞いた瞬間に、胸の奥で何かが軋んだ。
「アイリスですわ。少しだけ、お話ししてもよろしいかしら」
どこか古風な響きがある声。芯のある声。子供に読み聞かせをするのに慣れた声。
祥子は起き上がって、扉を開けた。
アイリスが立っていた。白と水色を基調としたドレスと、ヘッドドレス。杖。身長が祥子より一回り小さい。百四十七センチ。フェリーン族の耳が覗いている。
夢のお城の記憶が押し寄せてきた。モーフィアスの束縛。四人の夢に入って、全員に拒まれて、自分も母の夢に落ちた。母に別れを告げて覚醒した。アイリスから貰ったネックレスの光。ピアノの鍵盤。四人を連れ戻した。すべてが終わったあと、最初に見た現実の顔が、アイリスだった。
「——お入りになって」
アイリスは部屋に入ると、ベッドの横の椅子に腰を下ろし、杖を膝に立てかけた。
「お加減はいかが」
「体は、もう大丈夫ですわ」
「そう」
アイリスが祥子を見ていた。青いフェリーンの瞳。美しく、どこか遠い。童話の中から現実を覗いている目。
「けれど、眠れていないのでしょう?」
祥子は答えなかった。
「ガヴィルさんから、ご相談がありましたの。祥子さんの状態を診て、夢の治療が合うのではないかと。ウィスラッシュさんも同意なさっていますわ」
医療部の依頼。手順だ。ガヴィルが判断し、ウィスラッシュが承認し、アイリスが実行する。祥子のための手順が、祥子の知らないところで回っていた。
「でも、私がここにいるのは、それだけではありませんの」
アイリスの声が変わった。城主の声ではなかった。もっと細い、剥き出しの声だった。
「——夢のお城で、あなたの心に触れたことがありますもの。わかるのよ」
アイリスの指が、杖の柄を握り直した。
祥子は息を吸った。吐けなかった。
アイリスは視線を落とし、杖の先を見ていた。三秒ほど。それから、顔を上げた。城主の目に戻っていた。
「祥子さん。あなたが経験なさったことを、私がすべて理解できるとは言いませんわ。けれど——」
アイリスが杖の先を床に軽く当てた。小さな音がした。
「私の眠りの中でなら、安全に、あの日のことを見つめ直すことができますの。ただ——」
少しだけ、間がある。
「夢は正直ですの。見たいものを見せてくれるわけではありませんわ。あなた自身が持っているものを、そのまま映しますの」
祥子はアイリスの言葉を聞いていた。聞いていたが、別のことを考えていた。
夢の中でなら。
その言葉が、二つの意味を持って響いていた。
表面の意味——安全に、あの日のことを整理できる。ガヴィルが選び、ウィスラッシュが承認した手順。とても有用な、医療的に正しい、回復手順。
もう一つの意味——夢の中でなら、やり直せる。あの農道に戻れる。ハンドシグナルを出す瞬間に戻れる。今度は別の判断ができる。逃走。交渉。自分が盾になる。初華にクロスボウを握らせない方法がある。睦にナイフを握らせない方法がある。
もう導かないと決めた。それは既に決めている。けれどあのとき、本当に他の選択肢はなかったのか。自分が見落としていただけなら。自分の判断が間違っていたなら——。それだけはどうしても、確かめたかった。
現実は巻き戻せない。でも夢の中なら。アイリスが言った。「あなた自身が持っているものを、そのまま映す」。ならば、あの日のことを映してほしい。初華と睦の手を汚さずに済む道が、どこかにあったはずだから。
「——お願いしますわ」
祥子の声は静かだった。
「夢の治療を、受けたいですわ」
アイリスが祥子を見た。青く遠い瞳が、何かを確かめるように細くなった。夢のお城の城主は、夢を望む人間の動機を見抜く目を持っている。祥子が何を期待しているか。「やり直し」を求めていることを、アイリスは感じ取っているかもしれなかった。
だがアイリスは、それを口にしなかった。小さく頷いた。
「では、今夜。お部屋に参りますわ。楽な格好でいてくださいね」
アイリスが立ち上がった。杖を手に取り、扉に向かった。ドアノブに手をかけて、振り返った。
「祥子さん。一つだけ」
アイリスの声は、穏やかだが、揺るぎがない。
「夢の中で何が映っても、私にはそれを変えることはできませんの。——それでも、よろしいですわね」
「……承知していますわ」
アイリスが出て行った。
祥子はベッドの端に座っていた。手のひらを見た。右手。人差し指と中指を揃えて、自分の喉元を横に引いた、あの動き。
今度は違う結末にする。今度は——。
祥子は手のひらを握り締めた。
〈つづく〉
次回更新:2/26(木) 21時
◇次回予告
夢の中なら、やり直せる。
今度は別の判断ができる。今度こそ。
第8話「おやすみなさい、祥子さん」
正しい判断の中に、殺人がある。