双子と出会ってから2週間が経った。
2人から得た情報を総合した結果、やはり此処は都市の外郭で間違いないらしい。
それにしても不思議なものである、この肉体は機械でありながら非常に柔軟な稼働を可能とし、なおかつ人の形を模している。
そのうえ初めて炉心を稼働させた時に気づいた事だが、この身に使用された素材は自己修復能力を持つ特殊な合金らしい。
お陰で余程の大きなダメージでない限り、多少の破損では直ぐ様活動を再開出来る。
ただ人に似せたにしては大きすぎるのが少々ネックか、敵性存在に対する自動解析機能を少しいじって自分に使用した結果、この体は全長2m重量に至っては大型バイクに匹敵する200kg超えの巨体だ。
顔だけはフェイスオン状態なるものを使用することでモニタータイプのカバーを装着し人のような体裁を整えることが出来たが、この辺りは追々改良していく必要があるだろうか。
それに...
「ハイド!また怪物がやって来た!」
今はこの双子たちを守ることに集中すべきだろう。
外郭という場所は化物と人死には事欠かないから、お陰で私のような半端者でも命の奪い方を容易に学習出来る。
今回はかなり人に近い形をしている、何処かの技術者が悪趣味な研究でもやってやらかしたのか、それとも本人がこれになってしまったのか。
いずれにせよ、友人から聞いた都市という世界では良くあることらしいから、結局のところ私が命を奪う事に最適化する材料としては非常に優秀なのでこれからもどんどん出て頂いて結構。
その悉くを私の経験として余すことなく記憶しましょう。
『状況完了、全敵性存在の排除を確認、出てきても大丈夫ですよお二人とも』
「本当だわ、怪物が皆死んでる...ハイドは凄いのね」
「これだけの数をどうやって1人で」
『返答、私には対敵性体戦を想定した兵装が数多く搭載されています。
その中には多対一の状況において真価を発揮するものも存在するのです』
双子をオーナー登録したことにより、2人の呼称をハンドラーとしたが、結局双子からのオーダーにより「ハンドラーという呼称はどうも不思議な感じがする」と言われてしまったのでやめることにした。
だが、あまり仲が良くなりすぎても別れが来た時に困るだろうから、ある程度の距離を保つ為に双子のことは現在〝お二人〝と呼称している。
「それにしても襲撃が多いわね、私たちのいる場所は外郭でもそこまで都市から離れていないのに」
それはそうだ。
私が稼働し始めてからこの2週間というもの外郭の怪物たちによる襲撃だけで10件以上、それ以外にも私たち以外の外郭在住者による手荒い歓迎もまた複数回。
あまりにも回数が多い、まるで何かから逃げて来たような。
もしや時が近づいているのか?
「ハイド!また誰かが近づいてくるわ!」
『各種センサー類最大稼働、対象の解析を開始...』
「...機械と子供、珍しい取り合わせだ」
『対象を外郭部の人間ではないと判断...推奨、まずは話してみてはどうでしょう』
「ハイドがこんな反応するのは初めて、本当に危険はないの?」
『返答、所持品や装備から都市内部のフィクサーであることが推測されます。
外郭で活動出来ていることから敵対した場合、お二人を守りながら逃げる事はおそらく不可能です。
推奨、対象との会話を試み、情報収集を行いましょう』
遂にこの時がやって来た。
「...良くわからないが、敵ではないんだな?」
『肯定、当機はこの2人を保護対象とし、その護衛を最優先目標として設定しております。
不躾とは理解していますが、可能であればこの二人を保護しては頂けないでしょうか?私はこの外郭でも容易に活動出来ますが、この2人はそうでありません
故に2人を保護して頂けるとありがたいのですが』
「...はぁ、構わないがお前はどうする?」
「ハイド、もしかしていなくなっちゃうの?」
『返答、当機の存在は今後のお二人にとって極めて甚大な障害となり得ます。
故に、これを機として私のオーナー権限を放棄し、彼女に着いていくことを推奨します』
「その必要はない、お前も来ると良い」
『疑問、私のような存在はあなた方都市の人間にとって極めて有害な存在では?』
「...子供たちの顔を見てみろ、今にも泣きそうな顔をしているぞ」
2人が?たかだか2週間程度で別れる事を悲しむ程の関係性を構築した覚えは...
「ハイド、着いてきてくれないの?」
...駄目だ。
その顔は反則でしょうに、2人揃ってそんなに涙を溜めて此方を見つめるのは少々ずるくはないでしょうか?
そんな顔をされたら私が断ることは不可能であり、そうするつもりもなくなった。
『了承、オーナー登録を継続、乙型自動駆動式機械人形0期型、型式番号No.X8110はあなた方に随伴します』
カーリーさん含め生前のセフィラ組の喋り方エミュむっず!!!