あゝ、忌まわしき青春の記憶よ〜ダメ男なガノタのブルアカ転生〜   作:社会の歯車

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 妄想が暴走したので書きなぐりです。





第一話 プロローグ

 異世界転生。そう聞いて、君はどう思うだろうか。

 アニメや漫画、二次創作。様々な媒体で題材として扱われているシチュエーションであり、一度は夢見る事もあるだろう。

 前世で無能と蔑まれ、転生したらチートでチヤホヤされる。前世の世界に囚われながら、異なる世界に振り回される苦難の連続。

 大方想像できる展開は、大きく分けてその二つか。

 

 そして、転生先の世界について知っていたなら。その知識を使って改変、介入を試みるか?それとも、傍観者を決め込んで、最高のエンターテイメントを特等席で見守るか。はたまた、巻き込まれぬよう距離をとるのか。

 

 昔の俺なら、アンタの意見(ソイツ)を聞かせて欲しいと言ったんだろうが……。今となっちゃ、後の祭りだ。

 

 

 

 ――おはようございます。起床時間です。

 

「一時間前には起きてるよ」

 

 頭に響くアラーム(自動音声)に、口にくわえた煙草を落とさぬように適当な返事を返しながら、右手に持ったドライバーで左足のネジを捻る。

 古びたラジオからノイズ混じりに垂れ流される朝のニュースに紛れて、螺子の擦れるきゅるきゅるという音が部屋に響いていた。

 

「……ん」

 

 締め終えた足に力を込めてカシカシと動かしてみれば、特に違和も痛みも感じない。エラーコードも出ていなければ、数値はすべて範囲内(オールグリーン)だ。

 

 そんな流れで体の調子を確かめていると、ピリリと電話が鳴り響く。

 

「はい、こちらどんな場所にもお手軽即効即戦力、アナハイムPMC。御用件は?」

 

 ワンコールの内にそれを取り、今となってはすっかり言いなれた、借り物だった屋号を名乗る。接客のコツは、速度と丁寧さと再現性だ。

 

「ええ、はい。緊急ですね」

 

 電話の主は、とある商店のオーナーだった。何でも、店の付近でデカめの戦闘があったらしく、火事場泥棒を食らってる真っ最中らしい。

 

「承知しました。では、すぐに向かいます。報酬は後程」

 

 要件だけを短く伝えて、俺は受話器をもとに戻した。

 それを待っていたかのようにテーブル上のトースターが音を立てて、こんがり焼けた食パンをつきだした。

 

 寝床の近くにトースターなど不衛生だし火事も怖いが、便利なのだから仕方ない。

 俺は飛び出たパンを右手に取りつつ、左腕で電子ケトルの電源を落とす。コーヒーを淹れている時間はなさそうだからな。

 

 左手にパンを持ち替えてからくわえていたタバコを丸ごと右マニピュレータで握りつぶして火を消して、腿部のダストケースに押し込んだ。

 開いた口にパンを押し込みながら防弾チョッキとコートを着込んで、ガンラックから銃を取る。

 

 そのまま玄関に向けて歩き出し、扉の横に掛けてある黒いヘルムを手に取った。

 近未来的な構造をしたソレを被り、頚椎のあたりのアダプタに接続する。開いたマスクを上から閉じれば、視界とマスクがリンクした。

 

「仕事の時間だ」

 

 そうして扉を開いて外へと出れば――、そこには朝の街が広がっている。

 集合住宅の中層あたりにある一室である俺の部屋からは、目の前の通路の様子が見て取れた。

 朝の時間は通勤や通学に行き交う人が散見されて、わずかな賑やかさを伴う。

 そんな彼らの姿の中に――、人の姿はそう見えない。

 二足で歩く獣や、全身機械のアンドロイド。どうにか見当たる人の姿は、一つ残らず女学生。

 

 異常だ。そう見えるのなら、お前は転生者では無いのだろう。だが、この世界ではこれが通常なのだ。

 

 

 

 自己紹介が遅れたな。

 

 俺は……四十を過ぎた、卑賤なガノタ(ガンダムオタク)で。ブルーアーカイブ(キヴォトス)へ転生してきた、転生者だ。

 

 

 

 最も。

 

 

 

 ――ここに来たのは、二十年以上前の話だが。

 

 

 

 車を飛ばして数分、俺は依頼のあった店舗のある現場へと到着した。

 とはいえ、町は現在戦闘の真っ最中。生徒同士の銃火器を使ったドンパチで市街があれてることなんざ日常茶飯事だが、今回ばかりはそんないつもの様子とはちょいとばかり様子が違った。

 

 ヘリの墜落があったとか、装甲車が陣取っているだとか。大混乱の現場には、多くの人があふれており、とてもではないが車で乗りこめる状況ではない。

 仕方なく、近場の駐車場へ車を止めて、最低限の“仕事道具”を肩にかけ、俺は混乱の中へ飛び込んだ。

 

 道中、乱入者たる俺に銃を向ける不良生徒(バカ)がいたが、自慢の改造ショットガンで適当にノして、依頼主の元へむかう。

 

 ビルの前にはすでに数人の不良が集まっていたが、ショットガンと手榴弾(丁寧な説得)でそいつらにはご退場いただいた。

 

「ジェガンさん!お待ちしておりました‼さすがの手際です‼」

 

 ビルの入り口をくぐり店舗の中に入れば、すぐさまスーツに身を包んだサービス型アンドロイドが俺のもとへと駆け寄ってきた。彼が今回の依頼主だ。

 ちなみに、“ジェガン”というのは今の俺の名前のことだ。“アナハイムで働く、無駄に図体のでかい量産機”、そんな意味だ。最も、俺の見た目はどっちかというと“ジェスタ”だが。

 

「フットワークの軽さと、迅速な制圧がアナハイムのモットーですので。……ところで、依頼は?」

「まずは店舗とお客様の安全を……と、言いたいところでしたが。それはすでに完了しています」

「ああ、アレらが」

 

 入口に積み上げられた意識のない不良生徒――どこの所属化は知らんが、ヘルメット団だろう――たちを親指で指し示すと、オーナーは首を大きく縦に振った。

 

「ヴァルキューレは?」

「通報はしましたが、頼りになるならあなたへ連絡などいたしませんよ」

「でしょうな」

 

 オーナーと同じくアンドロイドである従業員の手によって、気絶したヘルメット団は縛り上げられていく。そんな彼女たちをわき目に、俺は一言「失礼」とだけ告げて、ショットガンへと弾を込める。

 

「他は?」

「実は……商品の一部が持ち去られてしまっておりまして、可能ならそれを取り返していただきたく」

「難しいでしょうが。……やってみましょう」

「本当ですか⁉」

「成功すれば報酬はその分載せますがね」

 

 それでもかまわない!と、景気のいいことを言ってくれるのは……過去の俺の業績の賜物だろう。個人経営、単独エージェントであるが故に、“実績という信頼”を重視してきた俺の営業理念は間違っていなかった。

 

「しかし、随分な騒ぎですね。状況を少しうかがっても?」

 

 ここ最近のキヴォトスの治安の悪化は、異常な程のペースだった。有能だともてはやされていた新連邦生徒会長の手際により、目を見張る発展をしていた直後だというのに、だ。そんな現状に、市民の多くは連邦生徒会への不満を募らせていた。

 しかし、たいていの荒事はこんなに長く続かない。計画的に行われる大規模な犯罪なんてものは、カイザー絡みのものばかりで、この辺りにはそんな事件の種になるようなものなんて何もない。と、俺は記憶していた。

 

「どうやら……連邦生徒会が絡んでいるらしく」

「連邦が?」

 

 連邦。というとなんか意味が違って聞こえてくるが。今は置いておこう。

 

「ええ、なんでも、この戦闘はその連邦生徒会の保有する施設を狙ったものらしく」

「随分はた迷惑な話ですね」

「ええ。……なんでも、今回の戦闘の中で、かの“七囚人”の姿を見たという噂も……」

「それはそれは、けったいな――」

 

 ふと、錆びついていた俺の記憶が、積もっていた埃を落として鎌首をもたげた。

 

「――ふむ?」

 

 なんだか、覚えがあると。そんな気がした。

 

「いかがされましたか?」

「ああ、いや。すみません、ただの勘違いでしょう」

「はあ」

 

 会話の傍ら、リロードの完了したショットガンを片手に盗難品の特徴をしますデータを受け取った俺は、オーナーへ軽く頭を下げた。

 

「それでは、盗品の回収へ向かいます。……見つかることを、祈っていますよ」

「ご武運を」

 

 そうして、ひとまず俺は渦中の大通りへと向かうことにした。

 

 なんだかいやな予感がしたからだ。

 

 

 

 ――結論から言うと、俺の予感は当たらずとも遠からず。というところだった。

 

 

 

 盗難された物品も、逃げた生徒も見つからなかったが。代わりに一つ、大切なものを手に入れた。

 

 

 

「ああ、そういやこれってプロローグか」

 

 

 

 忘れていた青春の記憶が今、動き出す。





【登場人物紹介】

主人公:ジェガン(自称)
所属:アナハイムPMC(構成人数1人)
年齢:42歳(推定)
身長:186cm
体重:約120kg(全備重量157kg)
分類:第4世代後期型サイボーグ(全身の機械化率約65%)
職業:自営業(主に戦闘と賞金首狩り)

 前世で死亡したのち、ブルーアーカイブの世界、もといキヴォトスへ転生してきた男性。
 転生、というか転移というか、とにかく、二十歳前後の肉体でキヴォトスへ放り出された。
 前世ではひねくれたオタクをしており、特にガンダムシリーズとブルーアーカイブを好んでいた。
 現在はキヴォトスへ転移してから20年以上の時間がたっており、その間彼の知る“ブルーアーカイブ”の展開やキャラは一切登場しなかった。そこから、自分が過去のキヴォトスへ転生したことを知り、とにかくキヴォトスで生きるために様々なことを経験してきた。
 全身に施されたサイボーグ化の手術により、四肢と右目の機械化が完了している。
 呼吸器系などの内臓も一部機械化が施されているが、心臓や胃などの部位はまだ生身の肉体である為、自身のことは“人間”だと考えている。当然、機械化の完了していない部位への被弾をすれば……。

 彼の過去の名前は不明。現在は“ジェガン”を名乗り活動している。
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