ポケモントレーナーの日常?   作:ポケモン全般(今はas)やってる人

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大変お待たせ致しました。
暑いし忙しいしで心身ともに死にかけゾンビです


またしても何も知らないポケモントレーナーA

 慰安旅行が終わりマサラタウンに戻って数日。旅を再開することができた。オーキド博士やハナコさん、マサラの住民さんが前日にわざわざ宴会を開いてくれてさ。

 

 ……人のぬくもりをここまで感じたのはこの世界じゃ初めてな気がする。マナフィなんて旅に出るまでずっとハナコさんに張り付いてたってか…そのまま置いてきた。

 

 旅に出る直前までハナコさんに引っ付いて眠っていたからさ。起こすのも悪いし…ハナコさんになら全信頼を置いて任せられる。

 

 オーキド博士も研究できるならと喜んでいたし幻のポケモンとして有名だからマサラタウンの中だけの秘匿として扱うともいっていた。

 

 宴会で大はしゃぎして住民さんに絡んでいってたからなぁマナフィ。もうマサラタウンのマスコット枠といってもいい。

 

 ……ま、まー大丈夫でしょう。何かあれば連絡してくれるだろうし転送して貰うこともできる。何も無いことを願おう。

 

 しかしヤマブキシティに負けず劣らずカントー地方の大都会タマムシシティ。なんとかやってきましたよ。久しぶりだなぁ。

 

 歩き続けて暑過ぎて最速でタマムシデパートに駆け込んだ。入った瞬間に涼しい風が体を冷やしていく。目の前にはサービスカウンターがあり受付のお姉さんが笑顔で迎えてくれる。エントランスだけでも人とポケモンが溢れかえり賑わいを見せていた。

 

 アオプルコと変わらず人が多い。人々の視線を感じるが先には肩に乗るピカチュウ。……ピカチュウ…珍しいものね。

 

 すれ違い様に少女がピカチュウだ!と指さし母親から注意されていた。…腕の中にはピカチュウ……の人形。ピカチュウが好きなのか。

 

「ピカ」

 

 小さく手を振ってファンサービスをするピカチュウ。少女は嬉しそうに手を振り返し母親は少女の手を取りペコペコと頭を下げて去っていく。

 

 …ああ、イーブイはアオプルコとマサラ式宴会で揉まれてグロッキー。オーキド博士とハナコさんはもちろんマサラの住民さんの前ではマシになった。

 

 ヒトカゲも宴会明けでグッスリだよね。ミロカロスも多分2人と同じようにモンスターボールの中で寝ていると思う。

 

 …ピカチュウだけはピンピンしてた。

 他の子に比べて睡眠時間が少ない気がする。心配だな。無理してなきゃいいんだけど。

 

 まだ手を振ってるよ。俺も軽く手を振ったら嬉しそうにブンブンと振り返してくれる少女。お母さんが恥ずかしげに注意する。…和むなぁ。

 

 ……なんて思いながら見送っていると良い匂いが漂っていた。これは…自然…若葉みたいな爽やかさのありつつも刺激の少ない香り。まるでくさタイプのポケモンを思わせる。

 

 ……香水…?

 誘われるように視線向けると人集りができていた。

 

 ピカチュウも鼻をピクピクとさせ香りの先を見つめている。…タマムシシティで香水と言われれば思い当たる人物は1人しかいない。

 

 タマムシジムのジムリーダーエリカ。

 アニメだと香水販売もしてた気がする。…人の壁の隙間からチラッと容姿が見えた。

 

 ……黒髪で和服を着込んでいる。うん、普通だなぁ。…自分を囲う人々対して上品な対応を見せている。

 

 鼻の下を伸ばしている男性もチラホラ。女性は憧れ、尊敬に近い視線を向けていた。…一部は修羅の道に進みそうだったり…ニドランカップルを思い出す。

 

 …ジム戦をしにきたわけじゃない。

 サトシなら人々を押し退けてでも挑戦しに行くんだろうなぁ。

 

「ピカピ」

 

 ああ、そうだな。タマムシデパートに来たんだから見て回らないとね。エリカとその他大勢を横目に通り抜ける。

 

「…………ぁ」

 

 エリカと目が合う。…?……ぽかんと開いた口を手で隠すと顔を背けられた。…接近はしない方が良さそうです。

 

 そのままエレベータ……には乗らず階段を駆け上がる前に各階の案内板を見つけ立ち止まる。…初めて見たかもしれない。

 

 2階はポケモントレーナー御用達トレーナーズ・ショップ。3階はスーパーやゲームショップ等の一般向けの階層になっている。…わざマシンも売ってるんだ。

 

 4階は日用品やワイズマン・ギフトというお店があり5階はドラッグストアをメインに色んなお店が開かれているのか。

 

 屋上は解放していて時折イベント等が開催されるらしい、と。今は何もやってない。

 

 …ん?4階にてポケモンフェア開催中?

 はぇ…可愛い人気ポケモングッズを展開中。対象のポケモンの中にピカチュウが……ピカチュウに注がれる視線の謎が解けました。

 

 ピカチュウって人気なんだな。

 もちろんピカチュウといえば知らない人は存在しないと言われるほどの世界的な知名度を誇っているけどさ。

 

 ポケモンといえばピカチュウ。ポケモンを知らない人でもピカチュウは知っている。この世界じゃ分からないけどそう遠くない未来にチャンピオンの相棒として……。

 

「……ピカチュウ?」

 

 ピカチュウの悲しげな…思い詰めたような横顔。…人前じゃ閉ざされているあの口が蚊が泣くように呟いた。

 

「……ピ…?ピッ!?ピカチュ! 」

 

 耳をぴくりと揺らすと両手を振り笑顔を向ける。ただその笑顔は無理して作ったかのようにぎこちない。

 

 ……みんなと同じように疲れてたのかね。

 モンスターボールを取り出しピカチュウに押し当てる。おやすみなさいな。

 

「ッ……ピカ…!」

 

 …あら両手で押し返されちゃった。…大丈夫?無理して外に出ている必要はないんだぞ?やることはないし……ポケモンフェアは気になるけど。

 

 ……ピカチュウがいいならいいんだ。

 モンスターボールをしまう。

 

 …うん、せっかくだし行ってみよう。

 丁度開いたエレベーターに駆け込み4階へ。

 

 4階に着き開かれたエレベーターの先にはポケモンの看板を中心にポケモングッズが目白押しだった。

 

 ……凄っ…よく見るとピカチュウはもちろんピッピやプリンがあるわよ。可愛いなぁ……他にもガーディやメタモン…これはみがわり人形?……??色んなポケモンの溢れんばかりグッズたち。

 

 …あ、ピッピの人形だ。手に取って見る。見覚えのあるデフォルメ……これってピッピにんぎょう?

 

 ピッピにんぎょうってアイテムでは?と思ったけどアニポケだと違うかもしれない。…映画で…見たことはある気がする……けど。

 

 せっかくだしプリンと一緒に買っとこ。そのままピカチュウの人形を見る。…おお、クオリティが高い…ものから最早似せる気がないものまで幅広いな。

 

 顔だけ福笑いは生産ミスだろメタモンかよ。メタモン顔のピカチュウあったわ。おどろおどろしい雰囲気のピカチュウどことなく……お、等身大ピカチュウ人形まで置いてあるのか。

 

 ……ピカチュウの方がすこーしだけ横に……ピカチュウ?

 

「……ピ?…ピカ」

 

 ボーッとしてるけど大丈夫か?

 

 ……買い物はここまでにしよう。あ、どうせだし等身大ピカチュウ人形を買………。

 

 伸ばした腕が黄色に包まれる。…ピカチュウが抱きついていた。……ジト目のピカチュウがそこにいる。

 

 自宅に飾ろうと思ったんに…はいはい、買うのはピッピの人形とプリンの人形ね。調子が戻ってきたようで何よりです。

 

 レジに向かってお会計。店員さんが羨ましそうにピカチュウを見ていた。…よく見たらピカチュウを連れた客は誰1人いなかったなぁ。

 

 視線は常に感じてたけど声をかけられることはなかった。…流石にね。ピッピとプリンの人形が入った紙袋を手にぶら下げ階段を上る。

 

 5階のドラッグストアを素通りして屋上に上がった。高いフェンスに囲まれており自動販売機とオープンスペースだけのサッパリとした空間。

 

 人っ子一人いない。それはそう。屋上なんて下手すれば地上よりも暑い場所に来る人はいない。デパート内で涼しむことだろう。

 

 遠くで飛行機が飛んでいる。

 

 自動販売機の前に立ち財布を取り出す。

 買う飲み物はミックスオレ。ピカチュウの大好物だし俺も好きだった。

 

 飲み過ぎると胸焼けするから注意。

 今はおいしいみすが1番かもしれない。やっぱ水が正義ですよ。人間を構成している60%から70%が水分。人間は水の塊みたいなもん。

 

 因みにマナフィは体の80%が水らしいです

 

 ミックスオレの値段は変わらず350円。

 ……数年前は滅茶苦茶飲んだよな。金がなかったからピカチュウと回し飲みしてさ。

 

 時には無銭飲食も……ピカチュウに電気でちょっとやってもらったり。普通に犯罪だし反省はしている。

 

 …一度加減を間違えてスロットのラッキーセブンみたいに飲み物が吐き出された時は警備員に追いかけられたこともあった。なんとか逃げることができたけどあの時はガチめに焦ったよな。

 

 悪ガキやってたよなぁ…ほんと。

 

 今じゃ懐かしい思い出。あの日から何も変わってないな…俺も、ピカチュウも……。

 

 はぁ…暑い暑い……350円……あちゃー小銭が足りない。仕方ないから1000円札で……ん?

 

 ピカチュウが肩から降りる。…赤いほっぺをぱちぱちと鳴らして自動販売機に電撃を浴びせ…ピカチュウさん!?

 

 待って!ぴったし持ってないから…ぁ…。

 ガタンッと飲み物が出てくる音が響く。

 

 ピカチュウは取り出し口から飲み物、それもミックスオレを手に取り抱えて振り返った。

 

「…ピッ……ピ…?…」

 

 ……今にも泣きそうな顔で……ううん、もう泣いていた。耳をタレ下げボロボロと泣き嗚咽漏らしている。

 

 驚いたようにミックスオレを落として涙を拭うピカチュウ。それでも涙は止まらない。

 

 倒れ転がっていくミックスオレを止めて立たせる。

 

「……ピカ……ピッ……カ……」

 

 ピカチュウがなんで泣いているかなんて全く分からない。なにひとつ理解できない。前兆は見られたけどそれだけ。

 

 片膝をついてピカチュウを見る。戸惑いを隠せない上目遣いの泣き顔。落ちた涙が地面を濡らす。…そっと手をピカチュウの背に回して抱きしめた。

 

 震えた体。止まないピカチュウの涙はジャケットを濡らしていく。構わずピカチュウを撫でる。

 

「……ピッ…ヵ……」

 

「どうしたんだピカチュウ」

 

 あやす様に問い掛ける。…表情は見えない。顔を隠すように胸に埋めていて小さな嗚咽が心臓に届く。

 

「……分からない?」

 

「………ピッ……」

 

 …顔を上げて頷くピカチュウ。涙を指でそっと拭う。それでも涙は決壊したダムのように流れ続けている。

 

 ピカチュウ自身なんで泣いているのか分からない。多分、精神的な問題……それも結構不味いやつ。心の不安、涙は感情の……それよりも──

 

「…深呼吸しよう。吸って…吐いて…吸って…吐いて……」

 

 背中をトントンしながら一緒に深呼吸。

 落ち着いてきたのか呼吸が安定してくのが体越しに分かる。

 

「……大丈夫。大丈夫ピカチュウ」

 

「…ピ………カ……」

 

「俺はここにいる。…大丈夫どこにもいかないから安心して」

 

 安心させる為の言葉。そのつもりだった。

 コツンっと額をピカチュウの額にくっつけた。

 

 ピカチュウの瞳孔が開く。溢れ出す涙にジャケットを強く握り締めて顔を埋める。

 

 先程よりも大きな声で泣き始めた。

 ……よしよし怖い夢でも見たのかねえ。

 

 やべっ…ミックスオレがぬるく…なってた。

 足元の絶妙にぬるーいミックスオレを手に取り立ち上がって1000円札を隙間に挟み屋内へ入り階段を駆け下りた。

 

 1階まで降りて外に出てもピカチュウは泣いていた。……オーキド博士に相談した方がいいかもしれないな。

 

 それよりもこのままじゃ干からびる。

 ……暑いし眩しい…。帽子を脱ぐと蒸れた髪が熱風に吹かれる。

 

 額に張り付く汗が首に流れ滲んでいく。

 …帽子をピカチュウに被せた。熱中症になったら大変だからね。

 

 ミックスオレを開けて飲みながらポケモンセンターに向かう。…甘ったるくてぬるい。…くっそ不味い。

 

 手で顔を隠しながら空を見上げる。飛んでいた飛行機は消えて飛行機雲が漂っていた。ポケモンセンターに入り肌寒さを感じつつモニター付き公衆電話(仮)でオーキド博士に連絡。

 

 だけど……画面に映ったのはオーキド博士ではなくてハナコさんだった。珍しい…というかなんで白衣を着ているんだ?

 

『君か!大変なんじゃ!マナフィが…!』

 

 ???????????

 待ってくれませんか?タマムシデパートの一件もあって頭が回らないんですよ。

 

 ……ハナコさんがのじゃ語で喋ってるとかどうなってんすかね。これはこれで似合ってるというか……じゃなくて!!

 

「…ピ……」

 

 ピカチュウ?大丈夫だよ。ミックスオレ飲む?…飲むのね。はい、どうぞ……。

 

 現実逃避したい。見たかったことにしたい。

 ミックスオレの飲み口をピカチュウの口に付けてゆっくり傾けていく。

 

『……ピカチュウ。何かあったみたいじゃのう。気になるところじゃが大変なんじゃよ。君に置いていかれたと知ってマナフィが泣き出してしまってのう。触覚が光ったと思ったらハナコさんと入れ替わってしまったんじゃ』

 

 ……オーキド博士とハナコさんが入れ替わった?……ハートスワップ!?嘘ん!?てことは目の前のハナコさんはオーキド博士ってことになって……。

 

『それだけならまだ良かったんじゃがのう。…マサラタウン全域で入れ替わりが起きていてパニック状態なんじゃよ』

 

 ………え、あ…不味い不味い不味い!!

 とんでもねえ事が起きてやがる!なにしてんだよマナフィ!お前がハナコさんから離れないから気を使って……ああ、もう!!

 

「……安心してください。ハートスワップは時間が経てば元に戻ります。……あと、マナフィを転送していただけませんか」

 

『ハートスワップ…というのか。分かった…マナフィをタマムシシティのポケモンセンターに転送しよう。今わし…じゃなくてハナコさんがあやしてくれているから……ハナコさんとも話しておくか?』

 

 あ、大丈夫ですマジで……ほんと大丈夫です。

 オーキド博士の顔でハナコさんの言葉遣いは…その……キツイです、はい。

 

 ポケモンセンターで待ってます。また連絡します。……では……。

 

 モニターが切れる。……はぁぁぁぁぁあ…!

 疲れた…疲れたってばよ。

 

「……ピ」

 

 飲み終わった?…空になってるね。

 ……うん、大丈夫そうだね。…良かった。

 

 だらしなく椅子に座る。

 ……疲れたよ。真昼間だってのに眠い。

 

 少しだけ仮眠を取ろう。…ピカチュウも泣いて疲れただろう?…大丈夫。一緒に寝ればいい。

 

 腕の中のピカチュウを見つめる。帽子の影から泣き跡が残る顔がほんの少しだけ微笑むとゆっくり目を閉じて寝息を立て始めた。

 

 …空寝じゃないことを確認し目を閉じる。力を抜いて前のめりに頭を傾けて意識を飛ばし……。

 

「待ちなさい!」

 

「マナ!マナマーナ!」

 

 …たかったな。…顔に張り付いたマナフィのひんやりした体温を感じながらそう思った。

 




タマムシデパート…案内板ってゲーム内でも中々みないですよね。

またアンケート出しときますので適当にポチってくれると嬉しいです。

次の行動

  • タマムシシティ続
  • ヤマブキシティ
  • シオンタウン
  • セキチクシティ
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