転生したらチートアイテムが弱すぎて詰んでしまいました 作:bouton
倒れきった俺たちが起き上がり始めたのは、この町に着いて30分くらい経ってからだったか。
「村に着いたのはいいが、どこにいって何をすればいいんだ?」
「なんども言っただろ?
それの強さを君に知ってもらうのが目的だ」
そう言えばそうだったな。
必死になって走っていたから、俺はつい目的を忘れていたが、こいつはブレずにずっと覚えているな。
「では早速、この村の村長のところへ行って、僕たちを認めてもらおう。
そうすれば、君はたちまち英雄扱いだ!」
「まて、村長のところって、俺はまだお前が言っていることを信用していないんだ。
確かに英雄になるのは、前から憧れていたことだ。
だが、いきなりそんな偉い人のところに行って、何も起らなくて赤っ恥をかくなんてことは嫌なんだ」
「分かった。それなら、通りすがった人に見てもらおうか。
「別にそれならいいが…」
「一応メモ書きの中身を確認しておくか。」
俺はノートの中身を捲り、確認していた。
結局ただのメモ帳じゃねーかよ。
痛いことばっか書いてあるな。
こんなの人に見せたくないのに、なぜここまでやらないといけないんだ?
すると通りすがりの男が…
「君!今君が持っているそれはなんだ?」
「?!」
「お?早速これのすごさに気づいてくれる人がいるじゃないか!」
また偉そうなことを言いやがって。
そしてその男は俺に近づき…
「君が持っているそれを、少し私に見せてくれないか?」
「えっと、いいですが」
「なんだ。僕の時は君は渡すのをあんなに躊躇っていたのに、見知らぬ人にあったら急に渡せと言われておきながら渡すなんて」
「いいだろ。お前はあんなに怪しいことを言っていたんだ。
誰だってそうなるだろ」
そんな話をしていると、その男は丁寧だが、どこか奪うように、俺のメモ書きを持っていき…
「ぱらぱら」
「すごい…凄すぎる!」
てか、こうやってきちんとノートを見る前からこれがすごいって言っていたが、この世界の人はどんだけ視力いいんだ?
「あのー少し声が大きいような…」
「この人は救世主だーー!」
「なんだなんだ?」と、周りから続々と人が集まってきて、俺のメモ帳をまじまじとみ始めた」
「俺のノートってそんなにすごいのか?」
「だから言っただろ。
そこに書かれているのは、それほどのことなんだ。
私だけが変でないことは分かっただろ?」
確かに村人の反応を見る限り、このノートに過剰な執着を持つのもこの世界では普通みたいだが…
「君もあっさり渡してしまったが、大丈夫なのか?
僕は誰かに盗まれないか、心配で心配でたまらないのだが…」
「わからない。わからないが、なぜかこの人たちなら大丈夫な気がするんだ」
そして俺の身なりを見るなら
「しかも一番硬くて高い弓を持っているぞーーーー!」
いや、別にそれはすごくないだろ!
やっぱりなんだよ。硬くて高いって!
「彼は、この村の英雄だ!」
「この村を救ってくれる!」
「英雄!」
「英雄!」
「英雄!」
すげー。村に来て、別に敵を倒したりとか、子供を救ったりしていないのに、持ち物見せただけで英雄扱いだ!
「やっぱりお前の言っていたことは正しかったんだ!」
「だから言っただろ。これからも僕のことを信じてくれよ!」
「えー静か…ー静か…する…じゃ…」
なんだ?静かにしろと聞こえた気が…
「カンカンカンカン!」
缶を叩くような音が聞こえ、突如村人たちはたちまち静かになった。
「静かになってくれてありがとうな」
そう言いながら、謎の老人は俺に近づいてきた。
「これは君のものか?」
彼は手に俺のノートを持っていた。
おそらく村人のだれかが彼に渡したのだろう。
「そうですが」
「村長!彼はこの村を救ってくれるのです!」
村長?!この人がこの村の村長なのか?
「まあまあ。分かっておる。」
一体、何が起こっているんだ?
未だに状況の整理が追いつかない。
トンプリーは安堵の表情を浮かべているが、それはノートが盗られなかったからなのか?
「若いの。私のところへついてきなさい。」
村長は歩き出し、俺たちは村長について行く事にした。
逆にそれ以外の選択肢はなかった。
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