転生した特典が鼻かんだティッシュよりしょぼすぎる!〜ゴミ武器はゴミとしてぶん投げる〜   作:bouton

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第二十二話    風評

「あの、そんなに気持ちいいですか?」

 

「そりゃーもう…え?!」

 

 俺はとっさに振り返ると、そこにはさっきの娘が立っていた。

 え!ここって、混浴なのか?

 更衣室は別々だったのに。

 そうか。入り口は別々でも、風呂自体は同じなのか。

 しかもこの娘、デ…デカい!

 デカすぎる。

 さっき食堂で見た時は服を着ていたから分からなかったが、今見ると逆によくこの大きさで、あのサイズに収まっていたな。

 服が悲鳴を上げてるぞ。

 

「いや、この湯があまりにも気持ちよくて…」

 

「お隣いいかな?」

 

 俺は驚いて唾を飲み、それから声を出すことも、これ以上彼女の方を見ることもできなかった。

 

「じゃあ、入るね」

 

 おいおい。何もいっていないのになんか勝手に承諾して入ってきたぞ。

 そうして彼女はとても丁寧に湯船に入って、俺の方に近づいてきた。

 

「さっき食堂にいた人ですよね?

 噂は聞いていますよ。

 あなた、この町を救う勇者なんて言われているんですよね?

 なんかすごいものを持っているなんて話も聞いて、ずっと気になっていたんですよ。

 さっきは村長さんがいて話しかけることができなかったけど、今ならたくさんお話しできますね」

 

「それとさっきあそこで、私のことめっちゃ見てましたよね?」

 

「それは、少し気になって……」

 

 俺は震えたような声で、

 

「君、大丈夫なのか?こんな夜遅い時間に。

 しかも、もしこんなところここの人に見られたら…」

 

「大丈夫ですよ。あの人、私の母なので」

 

 は、母親?!てことは、この娘はここの温泉の娘だったのか。

 村長、もしかしてそれを知っててわざわざあんなことを…

 

「母は英雄が現れたと大騒ぎしていたけど、こんなに早く会えるなんて。

 名前はなんというんですか?」

 

「えっと…なまえ?」

 

「そう。名前です。是非是非教えてください」

 

 彼女はそういって俺にどんどん近づいてきた。

 いや、当たってる当たってる。

 背中にめっちゃ当たってるのに、こいつ、気づいていないのか?

 でも声を聞いている限り、そんな変な気はなく、純粋に名前を知りたがっているみたいだ。

 当たっているのもたまたまらしいが..

 

「えっと、俺の名前は…」

 

 やばい。今は名前どころじゃなくて、背中に当たっていることで頭がいっぱいだ。

 

「へー名前、そうやって言うんだ

 私の名前は…」

 

「あ、それは村長から聞いたよ。

 キーヌって言うんだってね」

 

「なんだもう知っていたんだ。

 そっか村長がね…

 これからよろしくね」

 

「こちらこそよろしく」

 

「そうだ!あっちの方がもっと眺めがいいんだ。

 ついてきて!」

 

あっちって、ただの家じゃないのか?

 

「ほら。ここ、めっちゃいい景色でしょ?」

 

 そこには、すぐ下に崖があり、前を見ると野原が広がっていた。

 

「ひゆーーーーー」

 

 急な崖になっているせいか、風が強く吹いていて少し寒いな。

 

「あそこのお城見える?

 あれがこの国の王都なんだよ」

 

 あれがあの王都か。

 国の中心だけあって、流石に立派だな。

 

「この景色はね。こっちの方角からしか眺めることができないの。

 しかも、こっちにあるのは民家だけだから、この眺めを見えるのはこの温泉からだけなの」

 

「確かにいい景色だ。

 転生前はあまり周りの景色などは見ず、スマホばっかりいじっていたが、外の景色を眺めるのも意外に悪くないな。

 写真を見ればいいと思っていたが、見るだけでは感じることのできないものもいっぱいあるな

 転生した後も、ずっとダンジョンの中にいて、それから村を歩いてただけだから、なんかすごく新鮮で、気持ちがいいな。

 

「どう?気に入ってくれた?」

 

「ああ、こんな気持ちよくなったのは初めてだよ」

 

 もしかしたら前の世界でも、たくさんこんな景色を見えたのかもしれない。

 なのに俺、そんな大切なものをたくさん見逃していたなんてな。

 これからはもっと周りを見てみるか。

 異世界でもたくさんいい景色が見れそうだな。

 食べ物といい、景色といい、初めての体験をするとそのものの良さが再発見できるな。

 そう考えていると突然彼女が耳元でこう囁き出した。

 

「一つ聞いて欲しいことがあるの

 聞いてくれる?」

 

 近い近い近い!

 だから背中に当たってるんだって!

 その上、耳元で話されると息が耳の中にふきかかって、温かくねっとりした温もりを感じると共に、耳の中から脳まで直接刺激が入っているように感じてる。

 

 

「聞いて欲しいって何を?」

 

「あのね。実は私も…」




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