魔が溢れる町に主人公みたいな奴等が複数も居たらどうなるのだろうか? 作:クロスディアトリニティ
第1話
昼と夜とでは街の景色が変わる。
この世界ではよくある事だ。
だが、この街────神無都はどの街よりも大きく変わる街だった。
『くそっ、可笑しいだろ!この街は!!』
人が誰も立ち寄らないだろう街を駆け抜けながら異形はぼやく。
この街が異常なのは知っていた、有名な話だ。
この日本において何処よりも俺達が住みやすいのに、どんな奴等も近付こうとしないと………
『────当たり前だ。こんな場所、誰かが住んで良い場所じゃない!!』
────俺は見た、自分を棚上げしたくなるくらいの化け物共を!
────俺は見た、そんな化け物共と戦う怪物共を!!
『来るんじゃなかった、こんな街………』
────この街は地獄だ。
この街に住んでる奴等はどうかしている。
そんな思考を嘲笑うかの様に、夜の街を歩く人間達は笑っていた。
楽しそうに、幸せに満ちた様に笑っていた。
────ふざけるな!!
『くっ、バカだ俺は!』
これは理不尽な怒りだ。
俺が見えていないから、そう振る舞えているだけだ。
そうじゃなくても可笑しいだろ、何でアイツらは笑えてるんだ?
俺を嗤ってるんだよ。
『やめろ、俺を惑わすな!!』
どうしようもない怒りが込み上げてくる、感情のコントロールが全く効かない!!
このままじゃ────
『知性の欠片もなくなって暴れる凡夫に成り下がる結末が待っているのさ。』
『なっ────』
コイツ、いつの間に俺の後ろに────
『────だ、誰だお前!?』
『私かい?私はこの闇夜に支配された街の案内人さ。君の様な迷い子を導く立場でもある。』
黒いローブみたいな物を被った存在はそう答えた。
声色的に女か?いや、それ以上に胡散臭い。
どうしようもなく胡散臭い、俺を嗤ってるかの様な笑みもイラついてくる。
────しかも、案内人だと?
そんな妖気を撒き散らしといて、どの口が言うんだ!!!
『酷い言われ様だね、私は善意で現れたというのに。君は私に可哀想だと思わないのかい?』
ヨヨヨと泣いてる様な素振りが余計に怒りを加速させる。
もう良い────
『死『あ、止まった方がいいよ。』ね────は?』
この女?に向けようとした手が消えた。
何故?どうして?俺の手は何処に────
『ほら、此処だよ。くっつけられるかい?』
女?の手には肘から先が無い手が握られていた。
間違いなくなく俺の手だ、それなのに心がその事実を拒む。
一体、どうやったらそんな事が出来るんだ!?
『次元斬だよ。相変わらず彼の技は凄い切れ味だね、惚れ惚れするよ。まぁ、本当に好きな子は別に居るんだけどさ♪』
『じ、次元斬?』
『ん?この街に住まう強者の1人の技さ。少々特殊な奴でね、今誰かと戦ってるみたいなんだ。で、その流れ弾が君に飛んできた訳だ。』
な、流れ弾?
そ、それだけで俺の手が!?
『おや、彼も彼女達も暴れてるな。お、アレまで重い腰を上げたな。あ、君も出るんだね♡ふふ、今日はお祭りだぁ♪』
理解できない、理解したくない。
コイツの口振りが確かなら、流れ弾で俺の手を断つ様な奴等が暴れているというのか?
『そうだよ、此処は神無都だからね。』
女?は俺の疑問を残酷にも肯定した。
そして、この街で見た誰よりも恐怖を覚える様な顔で手を差しのべてきた。
『さぁ、君も混じろうよ。仲間外れは寂しいだろう?』
★★★★★★
???Side
『あ~あ、逃げちゃった。』
哀れな子羊が居たから助けようとしたのに、酷いなぁ。
『まぁ、来るもの拒まず去るもの拒まずが案内人の私としてのモットーだ。』
案内を拒んだ者を助ける義理はないしね。
はてさて、あの妖怪君は生き残れるんだろうか?
楽しみだなぁ、本当にもう………
『よし、案内人ロールプレイ終わり!次は傍観者の番だ。』
さぁ、今日はこの街で何が起きているだろうか?
君はどんな事が起きていると思う?
『私は楽しい事が起きていると思っているよ。』
この街に住まう主人公達よ、自分しか描けないストーリーを描いておくれ!
その行動こそが私の退屈しのぎ、人生の娯楽になるのだから!
さぁ、君はジュースは用意したかい?成人済みならお酒でも良いよ?お菓子は?それともツマミ?
何かを飲みながら、何かを食べながら彼らの物語を見届けようじゃないか!
『これにて、はじまりはじまり♪』
続く
闇夜に血が舞い、肉が飛び散らされる
この街ではよくある事だ